藤井碧峰
1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。
INFORMATION
起業からもう少しで5周年となる書道家藤井碧峰の活動ですが、起業当初から看板、ロゴ、題字揮毫のご依頼を頂けるような事業になるように努力してまいりました。
事業としての目的、言わば大義は【本物の字を多くの人に届けること】なのです。
それは平成の時代を生きてきて、自らパソコン、スマホを積極的に活用する身として、このままでは活字に負けて手書きの字の良さが分からない世の中になってしまうという危機感から、そういった目的意識を持つようになりました。
一人一人が直接書道の作品を求めてくださる世の中になるとは到底思えません。
となると会社・お店の看板や、プロダクトや企業案件を得られるような書道家に積極的になっていくことが、私の使命だと感じた次第です。(こんなこと書くの初めてですね)
今回は5年の間に手掛けた事例の紹介をさせていただきます。
と言うのも、自分ではこまめに制作事例を紹介してきたつもりですが、書道教室の生徒さんが案外知らなかったので、これはいかんと思ったのです。
身近なところから大切にしなきゃですね。
いつもは【看板、ロゴ、題字揮毫等|企業案件等制作事例】のページにて写真掲載させていただいているのですが、そちらのページをベースに解説させていただきます。(敬称略とさせていただきます。)
【三笑楽酒造 「純米酒」「純米吟醸」「原酒」「山廃仕込み」】
三笑楽酒造の「三笑楽」は、まさしくお酒を飲んで他の日本酒との違いを知ったうえで、時々(結構行きました)蔵でお酒の仕込みも手伝いながら何か月もかけて仕上げていったものです。
三笑楽は山のお酒で、力強い味わいで五箇山の料理にも大変合います。
それらの三笑楽らしさを字で表現することを心掛けました。
一方で、左右対称の字が3点並ぶので、結構頭を悩ませました。
2020年冬頃の字ですが、今じゃできないくらいに攻めた書き方をしたなと感じており、それがまた良いなと感じていたりします。
先の写真の商品は、富山県内の日本酒販売店でお目に掛かる機会の多い三笑楽のお酒たちです。
「純米酒」は温かみのある楷書体にて、「山廃仕込み」は優しいタッチの楷書にて、「純米吟醸」は軽やかな隷書体にて、「原酒」は字数が少ないので少し強弱をつけて書きました。
最近のほとんどの三笑楽に貼り付けされている「楽しく、笑って、三笑楽。」は優しいタッチで、誰でも読みやすく、親しみやすい雰囲気で書きました。
言うまでもないかもしれませんが、頭を取って左から読むと「三笑楽」になるように構成されております。
なお藤井碧峰の普段飲みのお酒は「山杯仕込み」で、常温で部屋に置いて、いつでも楽しめるお酒として愛しています。
【三笑楽酒造 「純米大吟醸」「大吟醸」】
「純米大吟醸」はエレガントなイメージを持って、しなやかな雰囲気の行書で書いたもの。
「大吟醸」は”大”で目を引く感じで、”吟醸”には繊細さも持たせた行書で書いたもの。
「しぼりたて新酒」は平仮名が多いので太さを出しつつも、漢字側をしなやかに書いて全体の調和をはかりました。
箱の「サンショウラク」は強弱をつけて、実際より大きく、奥行きのある字に見えるようにしたもの。
商品は専門店での取り扱いがメインです。
しぼりたて新酒は期間限定で、炭酸が効いているので乾杯のお酒にも良いかもしれません。
【三笑楽酒造 「純米生貯蔵酒」】
「純米生貯蔵酒」は木簡調で書いたもの。
ロゴ自体が楽しい雰囲気のお酒となっておりますが、実際にどんどん進んでしまう飲みやすいお酒です。
こちらは生酒ですので冷蔵庫で保管してください。
【三笑楽酒造 「魂-kon-」】
こちらの「魂」(KON)は2020年10月頃に発表され、話題になった三笑楽の技術をフル注ぎ込んだ渾身の酒。
藤井碧峰らしからぬ大胆さで?しかし「魂」という言葉の響きをダイレクトに書で表したロゴです。
なお記事にあるアルコール度数は非公開ではなく、ちゃんと17度と公表されております。
じゃないとまずいのは業界の方なら分かると思いますが、まあ記事が間違っていたということです。笑
【三笑楽酒造 「大吟醸」 しずく酒】
「しずく酒」の黄色いラベルのものは昨秋ごろに限定販売されていたもの。
平仮名3字+漢字1字という構成ながら、しっかりとした、でも愛嬌のある字で書きました。
3枚目から写真は2020年の春ごろに、令和元酒造年度金沢国税局酒類鑑評会で金沢酵母の部優等賞を受賞した時に記念に出したもの。
商品自体は小さいものの、新しい「三笑楽」のロゴが初めて商品に使われたという点で、思い出深い存在です。
印の「HEKIHO」は自分で刻したもの。
三笑楽の山崎社長曰く、「五箇山の合掌造りにも近しい形で良いよね」とのことで、なるほどと感じました。
【三笑楽酒造 山廃純米「直汲み生原酒」】
「直汲み生原酒」は横基調の直線的な書き方で仕上げたもので、ポップな雰囲気もあるかと思います。
このお酒も飲みやすくて、どんどん進んでしまいます。
生じゃない「山廃純米」だとまた結構違った味わいで、日本酒は熱入れ一つで変わる繊細な世界であるなと感じます。
【三笑楽酒造 「RAINBOW」山廃純米吟醸】
こちら2020年の春ごろに出された、コロナ禍に際して企画された特別なパッケージで、地元専門店でのみ販売されていました。
「SANSHORAKU」の字は他にも使われていますがポップな雰囲気で、筆で書くアルファベットの良さを最大限に引き出したもの。
自分で言うのも変ですが、このアルファベットの字が結構好評です。笑
【三笑楽酒造 「甦る」純米吟醸】
こちらの【甦る】も2020年春ごろに出されたもので、コロナ禍に立ち向かっていこうという気持ちで企画されたものです。
”甦”と”る”って画数が極端に違うので結構難しい字だったり。
この商品は専門店のみならず、雑貨と贈り物のお店Amingでも販売されていました。
【三笑楽酒造 「山廃純米 備前雄町」】
「備前雄町」は得意の柔らかい楷書で書いたもの。
ちょびっと褚遂良 の雁塔聖教序を意識。
このお酒も大好きで、専門店に行っては手にしてしまいます。
【三笑楽酒造 「山廃純米吟醸 富山県産亀の尾」】
「富山県産亀の尾」もまた楷書で書いたもの。
シンプルだけど奥深さを感じられるものを、と意識しました。
【三笑楽酒造 大吟醸「仁義」(台湾での販売)】
「仁義」はまさしく仁義のイメージで書いていますが、正統派の正面を向いている堂々とした字を意識しました。
台湾でどのように売られているかは不明ですが、このようにして商品になってしまえば、さり気なく海外進出してしまえるという例でもあります。
【雄山神社前立社壇 「うまくいく守」】
2019年8月に立山山頂雄山神社峰本社への看板奉納登山(ブログはこちら)をして以来のお付き合いのある、雄山神社の前立社壇にてお取り扱い中のうまくいく守です。
「うまくいく守」「雄山神社」の字を手掛け、更には全体のデザイン(色合いなど)も含めてトータルデザインで整えました。
(紹介ブログはこちら)
「うまくいく守」ですから、この企画自体がコケていてはどうしようもありません。
なので、既存の御守りにはできなかったことを、外部の人間だからこそやってみせました。
青緑色は立山近辺に流れる水の色のイメージで、水は生命の色なので選びました。
黄色(オレンジ色)は心温まる色のイメージで、日の出の色合いも意識しました。
これは欲しい人自ら手ら求める場合も、家族他の方からプレゼントされる場合にも、ちゃんとこの「うまくいく守」を求める意味合いを持たせました。
神社のお守り等はネームバリューが大切にされている傾向があるなかで、唯一無二の存在となることで本来の役目を果たしているのではないかと思います。
【刺繍工房エテ 「誠」】
2019年の正月に書いた「誠」の字を気に入って、採用してくださった刺繍工房エテさんによる誠グッズです。
この時すでに事業も精神的にも苦しい状況で、何をすれば良いか試行錯誤まみれの日々でした。
それゆえに商品化のお誘いを頂いて非常に嬉しかったです。
「誠」の字は元々起業時より大切にしている言葉ですが、ストレートな気持ちで力強く書きました。
”成”の上から下まで逆ぞりで突き抜ける線が、自分の唯一無二の線だなと感じております。
バッジは刺繍なんですが、この上なく質感が高くて驚きましたね。
書き順通りに刺繍されているので立体感もあります。
Tシャツは日野市の新選組同好会公式Tシャツとなっており、結構な数が出ているそうです。
知らず知らずのうちに自分の字が広まっているのは嬉しい限りです。
【刺繍工房エテ 「局注法度」】
こちらも新選組に関連して、局中法度の内容と誠の字をかけ合わせております。
字数が多いので、見ていて飽きないように愛嬌ある字で書きました。
トートバッグや巾着、ポストカードにされているようです。
【盛田甲州ワイナリー株式会社 「シャンモリ山梨」 】
「山梨」の字は元々のラベルのこともあり、極端にイメージが変わらないように、極めて正統な筆字で書きました。
このワインはもっと高くても売れるのになというコストパフォーマンスの高い商品ですね。
オンラインショップでもすぐに手に入るので結構おすすめです。
字を書いた際には遥々山梨からご挨拶にお越しくださいました。(ブログはこちら)
お互いの事業のことをお話する機会も、経営者として、職人として非常に有意義な時間です。
【盛田甲州ワイナリー株式会社 「シャンモリ 勝沼」 】
「勝沼」は先に商品ラベルがあった山梨と違い、このラベルが最初なので前例にとらわれることなく、自分の得意のパターンの行書で出しました。
このスパークリングはさわやかな酸味が印象的で、何度も手にしたくなる一品です。
【国稀酒造株式会社 「鬼ころし梅酒」】
北海道増毛町にある、最北の酒造の商品です。
絵を描いたのは僕じゃないですが、非常にかわいらしくてお気に入りです笑
「梅酒」は梅酒なので、丸みのある愛らしいシルエットで書きました。
2019年10月頃に書いたもので、当時ハマっていたタッチの書き方が活きています。
【夜久野物産株式会社 「丹波黒豆煮(和栗入)」】
「丹波黒豆」も”黒豆をイメージして”とのリクエストでしたので、丸みを意識して書きました。(2021年4月頃)
漢字の場合どうしても直線的なものなので、下手に丸みをつけると収拾がつかなくて締まりのない字になります。
こういった時に、日々本物の字を求めて書に向き合い続ける者の腕が試されているなと思います。
【株式会社 中京医薬品 「薬屋さんが考えた加圧玄米」】
「加圧玄米」は加圧するだけに力強く書かせていただきました。
それも2019年4月頃に書いたもので、当時の中での”思い切りのある字”がここに現れています。
【福徳長酒類 株式会社 「ウイスキー東海」】
当方の「魂」をお気に入りいただけて、あのテイストを取り入れながら書かせていただきました。(2020年11月頃)
実際には字面が違い過ぎて相当難しいリクエストなのですが、我々は正統に書をやっているものなのでリズム感で調和させます。
背景のデザインも素敵で、結果として大変良い商品パッケージになりました。
コロナ禍で現地にはなかなか行けず困っていたところ、名古屋の書友がこのウイスキーを送ってくださりました。
周りにも助けられながら、充実した書道家ライフを送っております。
商品ロゴは商品の性質、品質を示したり想いを示す存在だと、ずっと前から感じてます。
安っぽい、薄っぺらい字を採用すれば、その程度の商品だとしか思われません。
何故なら書は雰囲気を持つものだからです。
そして伝達ツールでもあります。
伝えるということを大切にするのなら、それなりのもの(可読性、品、雰囲気等)でなければ伝わらない。
そこに【本物の字】の存在意義があります。
特に藤井碧峰の手掛ける商品ロゴとしては、実際の大きさよりも大きく見えることを前提としておりますが、ここで周りの書道家への競争優位性を得ています。
力強い字でしかそれをできない人も多く、私のように静かな字でも成立させることができる人は、今後もなかなか現れない気がしています(ネット上には)
それも経営学オタクとして、「自分が関わるからには絶対に成功させる」という意気込みがあるからです。
字を書くだけでなく、最高のお客様のベネフィット(便益)を追及して、今後も挑戦し続けて参ります。
想いのある方、是非ご依頼くださいませ。
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