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立山山頂雄山神社奉納登山と北日本新聞掲載

8/10北日本新聞朝刊にて

8月10日の朝刊にて、立山山頂雄山神社への看板奉納登山についてご紹介頂きました。

北日本新聞に掲載。立山奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰

1時間半ほどの取材で沢山のことをお話させて頂いたのですが、お伝えしたいことを分かりやすくまとめて頂き感謝しております。

先日のブログに記しましたように、私は心から立山を愛する書道家なのではありますが、いつどんな時に行っても毎回違う表情を見せる立山に惚れ込んでおり、またここで多くのことを学んできました。
この感謝の気持ちをどうしても奉納登山で示したかったのです。

土肥さんが常願寺川河口(海抜0メートル地点)より出発する理由は、立山山頂雄山神社の足元にある丸い石の話に関連しています。

いつも山頂で宮司さんより伺っているのですが、社にある願い事が書かれた丸い石は、河口や海から持ってくるのが慣わしとなっています。

それでは同じようにして、この社に納めさせて頂く看板は河口より持ってくるべきであろうと考え、今回の常願寺川河口からの登拝を目指すこととなりました。

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰

この看板の裏にこの奉納登山について書かせて頂いております。

「徒歩にて、富山湾、常願寺川の河口より登拝を目指し、岩峅前立社檀、芦峅中宮祈願殿にて参拝し、この立山山頂峰本社に奉納する。 令和元年」

雄山山頂では読まれることの無い文かもしれませんが、これも土肥さんと何日も悩んで考えたものです。
とにかく奉納の仕方にこだわり、立山の歴史や雄山神社について深く知ったうえで、奉納者として我々はどうあるべきかを問いながら準備を進めて参りました。  

8/10 奉納登山1日目

9時過ぎに岩峅寺 雄山神社(岩峅前立社檀)へ。

車のエアコンも追い付かない暑さのなか、朝5時に常願寺川河口より出発された 土肥さんを待つと、ほぼ予定通りに到着されました。

宮司さんに奉納登山の報告をし、お祓いと奉納登山成功の祈願をして頂きました。
先週ご挨拶に伺った後に私の投稿をご覧になり感銘を受けたと、有難いお言葉を頂きました。
私たちの奉納登山が多くの方の理解に支えられていることも実感することとなりました。 

雄山神社の宮司さんは定期的に雄山山頂峰本社の宮司さんと交代されるため、今回お会いできたのもご縁だなと感じます。 

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰

一旦土肥さんとお別れし私は立山博物館へ。
何度も訪れている場所ではありますが、改めて立山信仰について勉強して参りました。

立山信仰というのは神仏習合の信仰であるのですが、古くより多くの方から信仰されており、日本三霊山と呼ばれてきたこともあり、先人たちがそれぞれに想いを抱いてこの地を訪れたことを思うと気が引き締まりました。

芦峅寺雄山神社(芦峅中宮祈願殿)で土肥さんと合流し、神社の方に報告のお話をさせて頂いたのですが、地元の書道の先生方との繋がりがある方だということが判明し、書の話になりました。
神社にいらっしゃる方は毎回同じではないこともあり、これも不思議なご縁のように思います。 

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰 

その後私は砺波に帰り、土肥さんは立山駅に向かわれました。

体力への不安を残しつつ、寝れたのは2時間弱という状態で22時半頃に家を出発して立山駅に向かいました。  

8/11 奉納登山2日目

出発地:立山駅(475m)
目的地:立山雄山山頂 雄山神社(3003m)
距離:約30㎞

0時に立山駅にて土肥さんと、同じく奉納登山に参加して頂くお二人と合流。
4人での奉納登山が始まりました。 

立山ケーブルの横にある材木坂という登山道を登りました。
約1.6kmの間に約500mを登る大変な急坂であり、一般的ではない登山ルートのため2時間ほど掛けて美女平(977m)へたどり着きました。

今ではケーブルカーを使用すれば7分で登れるのですが、立山曼荼羅にも登場するこの材木坂は歴史ある道だという点でも奉納登山にぴったりな道でした。

途中、そんなに時間の経っていない熊が木を引っ掻いた痕があり少し動揺しました。

美女平に着き、室堂ターミナルまでの22㎞、標高差1473mの道のりは高原バスの道を歩きます。

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰 

称名滝を見られる滝見台では暗闇で音が聞こえるだけでしたが、道に寝そべり夜空を見つめると無数の星が輝き癒されました。
やはり光の無い場所というのは星が美しいのですね。 

標高1300m付近になると夜が明け始めました。
歩いても歩いても立山の姿すら見えず、延々と車道を歩くなか、弥陀ヶ原付近へたどり着くと高原バスの通る時間(6時半頃)となっていました。

遠くには薬師岳(2926m)
あの山の標高が雄山より低いことを考えると、遠くから見ても高く見えるのに今日中に雄山の山頂に到着することは無謀のように思えました。
立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰

反対側には大日岳。
こちらも2500mほどの山で、こんなに近くで見ても高く見えて500m以上も高い雄山は現実に見えません。

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰

そして目指す立山雄山の方向にはその姿すら見えません。

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰 立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰 

日差しも強くなり、また体もほとんど言うことを聞かなくなりながらも、ただ修行と思い足を進めるのです。
最高の天気になってきました。

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰

ひたすら勾配のある道を歩き、振り返ると自分たちより高く見えた鍬崎山が下に見えてくるようになりました。 

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰

天狗の鼻(2120m)周辺を抜けるとようやく立山の雄姿が見えてきて勇気づけられました。

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰 立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰

いつも高原バスから眺める弥陀ヶ原も、ゆっくり立ち止まり見るとこの広大さがよく分かります。 

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰 立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰

バスが多く通りますので、見つけて頂きやすい側に移動しながら注意して歩きます。

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高原バスで何度も通った道も、自分の足で歩けば、より大きな世界を見せてくれ感動すら覚えます。
地獄谷より流れ落ちるソーメン滝(別名:赦免滝)も見え、また山々の間から見える剱岳の雄姿。

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かつて立山信仰に訪れた先人たちも見たであろう景色を、ゆっくりと味わいます。 
何と広大な景色なのだろうと、感動すら覚えます。

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰 立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰

しかし立山雄山山頂は遥か遥か遠くです。

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰 

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰 

切り立った岩場の先にある雄山神社峰本社に本当にたどり着けるとすら思えない自分がいながら、看板を揮毫した者としての務めを成さねばならぬと使命感にかられる自分もいました。

室堂ターミナル(2450m)到着は9時45分頃。
交通機関を使えば1時間の道を10時間弱で歩みました。

10時50分、室堂ターミナルを出発。
いつも歩きにくいと感じる一ノ越までの整備された道が更に体を苦しめます。

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰

12時頃に一ノ越(2700m)に到着し、今度は一気に岩場を登ります。
いつもなら何でもない岩場も、今は絶壁のように見えます。

だけどここまで来て引き返すわけにもいかず、激しく痛む肉体に目をつぶり、這いつくばってでも行こうと自分自身に言葉を掛けます。

13時頃、雄山山頂到着。
そして山頂 雄山神社に看板を奉納致しました。

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰 

神社での参拝はあっという間でしたが、自らの手で書き上げた看板を、今回奉納登山に参加した4名で支え合いながら、この場所まで持ってきたことに感激しました。

自分一人では到底為し遂げられない、一世一代の大仕事をさせて頂いたことに感謝です。

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰 

14時頃下山開始。
15時半頃に室堂ターミナル着、高原バス、立山ケーブルカーを利用して立山駅に18時到着。

これにて無事に奉納登山が終了しました。  

奉納登山を終えて

土肥さんからのご提案で始まった奉納登山では、この身をもってして様々な教訓を得ました。

いつも”限界”だとか、自分で勝手に決めがちな私たちですが、限界などあるようでありません。 

小さい頃から運動が苦手で、人並み以下の体力で生きてきた自分でさえ、こんな過酷な道のりを乗り越えられました。

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰 

先日もブログに記したように、看板奉納への道のりも険しかったです。
奉納のあるべき姿を問い、また筋道を立てながら準備を進めて参りました。 

今の時代にこんなにアナログな手段で、正当な手段でお届けする奉納登山というのはなかなか無いと思います。
しかし、我々としてもちゃんと道理といったものを考えて進めてきたことが良かったです。

心を込めて揮毫させて頂いた看板が、これから何年、何十年、また遥か先の未来でも愛され続けますように。

立山山頂雄山神社奉納登山|富山県の書道家藤井碧峰 

当日、誰よりも体を張って頑張った土肥さん、お二人の奉納協力者をはじめ、この奉納にご協力して頂きました皆様には心より感謝申し上げます。

この記事の著者

藤井碧峰

1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。

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