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BLOG 書道・筆文字 書道家藤井碧峰流【本気の仕事論】

成長する人、伸びる人の特徴

書道でもスポーツでも何でも共通する成長する人、伸びる人の特徴

何ごとにおいても成長する人、伸びる人がいて、その逆もいます。
成長する人、伸びる人の特徴が、答えを知るより問題解決の仕方を見つけることを大切にしている人のように思います。

日本の学校教育では答えを覚えてしまえば高得点が取れるようなものばかりで、私も大学受験の際はそんな感じで詰め込んでいましたね。
数学に関しては問題を沢山解いていくことで、作業化するような感じになっていました。

【研究】高い筆(主に羊毛筆)と線質(渇筆)との関係

書道で言えば私がまさしく考えてかいていなかったパターンの人で、ただ大量に書いてクオリティを保っていただけの若き時代を過ごしました。
師範資格を取って、これじゃ実力不足でまずいと感じてからようやく自習を始めたのですが、何をするにも何が正しいのか分からず、そんな時に出逢ったのが比田井天来先生の本や石飛博光先生の本でした。
なるほどと思って学習方法自体を確立させていくことができはしましたが、それでも書き方については何となく書けはするものの、科学的には理解できずにいました。

5年ほど前になって出逢った友人が書き方に対して具体的に説明しながら書いて示しているのを見て、書けない時の問題解決の方法を知りました。
「これはこういう書き方でも書けるけど、(全く違う)こんな書き方でも書けるよ」と言っているのを見て、答えは一つじゃないことも知りました。
そうなると筆法としてやっても良いことが増えていき、古典臨書学習をする意味も尚更感じることができるようになりました。
先日の銀行ロビー展の投稿のとおり、私がネットにいる多くの書道家と称する方々より幅広い書き方ができる理由も、理論立てて書くようになって再現性を得たことと、何か書いてみたい雰囲気の作風があった時に、そこへのアプローチの方法=問題解決の方法を考えつけるようになったことが挙げられると思います。

筆を持つ角度を科学的に考える

これは書道教室で生徒さんの行動を見ていても明らかであって、つまずいた際に解決方法を知っていて、それを実行できる人が強いです。
その解決方法を私が提示することがありますが、全員に一度は言ったことも、いざつまずいた際に思い出して実行できるかどうかで言うと、あまりできる人はいないのも事実です。
解決する方法は面倒な手法であったりもするのですが、その過程の中に考える要素が沢山詰まっています。
その考える要素が、書く時に手助けしてくれるのであって、先の苦労を取ってでも後から楽すべきだと思います。

書道にしてもお手本(古典)があって、それを何の気なしに見てひたすら書くのと、一旦立ち止まって「何で上手く書けないのか?」を様々な角度から捉えるのとでは大きな違いです。
この行為の中で、書き手本人の中に蓄えられていくものに大きな差が生じるのは致し方ないです。
スポーツにしても同じで私は卓球の指導に時々行きますが、「何でその練習をしているのか?」「何でそのプレーをしているか?」等、ちゃんと考えている生徒は基本的にいません。
考えるだけでもそれによって何を得られるかを知ることに繋がりますし、お互いの時間の無駄も減ります。

生活・人生を変える書作品を届けたい

次は道具選びと言う観点から見てみましょうか。
小さい頃からずっと側に書道教室という存在があったおかげで、先生が買ってきた道具を使い、先生の書いたお手本を見て、先生の言っていることに従って書くことで、それなりの字は書けるようになります。
先生が「手漉きの薄くて破れやすい紙が良い」と言えば、無知な人間にとってはそれが唯一の答えのように見えてきます。

でもとある公募展に出すことになった際、丁度いいサイズの筆を持っていなかったので、先生に頼らず書道用品店で筆を買いました。
1本目は2万円の筆で失敗したんですよ笑
それで納得いかなくて、続いてそれより高い筆を買って、自分の求めていた線が出ることが分かり筆選びに成功しました。
紙も業界的に一番良いと言われる画仙紙を手に入れました。
墨も学生用をずっと使ってきたので、少し高いものに。
自分で買うようになれば先生に旨味が無い(教室の流れとしても、収入としても)ので最初は嫌な顔をされたり、こんな紙じゃアカンとか言われましたが、必然の流れだったと思います。

それから少しずつ色んな筆を買っては書き味の違いを学び、そこからそれぞれの筆の特性や構造について学びました。
コロナ禍になった際は仕事が無かったので書道用品店に行き、紙のサンプルで実験をしまくって、紙の選定の仕方や特性について学びました。
墨については書きやすさと色とコストの兼ね合いで選んでいますが、これも紙との相性次第で全然違った印象を受けるので、色んな銘柄を試しましたね。
硯は銘柄の違い、手触りと墨を磨った感触、滲みの広がり方、墨との相性など、まだ実験が進みきっていない感じです。

書道教室を始める際にも機械漉きの紙をそれぞれ一定量買って、ひたすら紙の性質をチェックをしました。
墨は紙との兼ね合いで、程よい滲みを発生させるものを選びます。
筆に関しても価格帯を決めて、各メーカーの筆を何十本もチェックして、最も求める性質に近いものを選定しています。
水書きで大体は分かるのですが、大体数本に絞れた段階で購入して、実際に墨をつけて試し書きをします。

書道家のリアル起業。起業のメリット、アイデアの考え方などを紹介

SNSの投稿をしていると時々「これはどんな筆で書いたんですか?」「どうしたらこんな線が出るんですか?」と質問される人がいます。
これがあまりされたくない質問でして、答えになっていないような返答をするのですが、極めて無意味な質問です。
道具を選ぶのも技術であって、それに掛けた膨大な時間、お金等を考えても、簡単に答えるべき内容ではありません。(と言うと器が小さいように思われるかもしれませんが、お店の方も他の先生方も仰います)

そもそもは一人一人書き方も違うし、技術レベルも違うのだから何の参考にならないです。
先述の質問を平気で聞いてしまうということは、「その道具を使えば出せるんだ」と思われるようなもので、気分の良いものではありません。
答えを知るより問題解決の仕方を見つけることと先に記しましたが、ここにおける先の質問に対する問題解決の方法は、様々な道具を自分で買い、それぞれを使いこなせるように書き込み、そのなかで道具ごとの違いを感じ取る自分の中の繊細なセンサーを磨くことです。 

他人の意見はあくまでも一つの考え方であって、自分の身体と思考回路で書いた時にはまた違う出力が為されますので、一旦無視することが大切です。
私に関して言えば、現師匠に道具の相談をしたことは一度もなく、東京のお店に行くことも滅多にないので手に入れにくいし、極力地元の書道用品店に貢献できるように地元で仕入れられるもので揃えていった方が、書道家活動をしていくうえで気分が良いし都合が良いことも多いです。
そうして道具選びも変わっていけば、自然と師と違った書き方であったり、違った書風になっていく可能性があり、そういった点でもあるべき姿だと言えるのではないでしょうか。

【研究】高い筆(主に羊毛筆)と線質(渇筆)との関係

この筆掛け画像は昨年の夏のもので今は更に筆が掛かっていますが、やはり数を経験して、一本一本と真摯に向き合った時間が、手先の感覚を育ててくれました。
元々は道具に頼らず、自分の努力で改善していきたいタイプなのですが、それも行き過ぎると成長の機会を逃してしまうことに気づき、途中で背伸びしながら道具選びをできるようにバランスを取れるようになりました。

「どうしても上手く書けない」という壁にぶつかった際に、筆を変えると解決することがあります。
それは気分が変わるということもありますが、同じ名前の筆でも手作りであるが故に一本一本違うので生じることだったりもします。
一本で何でもこなせる完璧な筆は無いですし、困ったときに筆のせいにして対応することも、作家として大切なことです。
そのため似たような毛質で、同じようなサイズの筆を何本も買い揃えています。
そんなことも沢山経験して学んだことです。

書道の書き方にしても道具選びにしても、人生においても何でも、不確実で絶対的な答えが無かったりするものですから、答えを知るより問題解決の仕方を見つけることを大切にしている人が、いつの時代も強いです。
私も日々ひたすら考えているからこそ、一人で問題解決できるし、こうして皆さんにその考え方を紹介できたりしているとも言えます。

この記事の著者

藤井碧峰

1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。

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