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筆の持ち方、角度を科学的に考える|上手な掃除の仕方にも関連

筆の持ち方、角度を科学的に考える

先日生徒さんの学校内での書き初め大会が終わりました。
書き初めの時期のみならず学校の書写・書道の授業で言われたりすることなのですが、筆の角度についてとやかく言われることがあるようです。
結構【筆は直立させないといけない】と言われるようで、子供たちは「書道教室で言われることと違う」と戸惑います。
これには指導者側としては毎回腹が立つくらいなのですが(笑)、その理由を教育の場ではちゃんと説明できているのか疑問です。
「大学の教育学部でそう言われたから」というのでは理由にはなりません。

その流派によって持ち方が違うのは事実です。
求める書風が違えば筆の持ち方は変わってきます。
筆法も変わってきます。
その字を成立させるための要因がそこにはあるのであって、その字を書ける方法は一通りではないのなら、絶対的な答えもないということです。
それを学ぶためにも多彩な古典名品に触れて、自分で筆法を学んでいくことが大切です。

世の中の多くが師匠に言われて、「この字はこういう書き方をしなければいけない」と、頭でっかちになっているのが目につきます。
それは思考停止で、そこに自分がいる必要性を感じないなと思います。
それぞれに筆のタッチも違うなかで、最適解を探すのは自分自身です。

ということで、考えるためのベースだけお伝えするので、この点に疑問を持っている方はそれぞれ自分で実験して考えてください。(*くれぐれも当方にメールはしないでくださいね笑)  

画像をもとにお考えください 

筆の軸を傾けた時に筆の穂先がどうなるか、という点に注目してご覧ください。
この筆は分かりやすいように硬めの山馬筆を使用しました。
乾燥状態の筆でこういう動作をすると筆を痛めるのでやめてくださいね。(←説得力ない)

【筆の軸を若干自分側に傾ける】
筆を持つ角度を科学的に考える
筆を持つ角度を科学的に考える

【筆の軸を直立させる】
筆を持つ角度を科学的に考える 筆を持つ角度を科学的に考える

【筆の軸を前傾させる】
筆を持つ角度を科学的に考える 筆を持つ角度を科学的に考える

それぞれの状態で縦線を引いていくとどれが長く書けるか、そして安定感がある書き方をできるか、自在に太い細いを付けれるか等、自分で体験してみてください。
とりあえず前傾姿勢のまま書くのは基本的には難しいことが分かります。

誰もがほうきで掃除をしたことがあると思うのですが、ほうきは天才バカボンに出てくるレレレのおじさん風に、ほうきの先をあっちこっち向かせて掃くとゴミの掃き残しが生じてしまいます。
その理屈をこの筆の傾きと穂先の開き方にならって考えると、床に穂先が接する際に直立していると穂先が開いてゴミを捉えきれないことが多いのが分かります。
直立でも程よく圧を掛けていれば問題なく掃けるのですが、若干進行方向に寝かせ気味に掃いたほうが安定して掃けます。

似たようなことは歯ブラシで歯磨きをする際にも言えます。
歯ブラシにとって前傾姿勢となる状態で磨きすぎると、すぐ歯ブラシが開いて駄目になります。
ほうきも歯ブラシも人によって寿命が違ってくるのは、こういったことや力の掛け方がおおきいのでしょう。

書道家 藤井碧峰作品集

こういう多字数の作品を書く際は、初心者のうちは一字一字墨をつけて書いていたものです。
しかも穂先が整わず、それを直すために墨池で直していたものです。
今は柔らかい筆でも穂先を直す必要もなく、何字かまとめて書けます。
これも先述のことを地道に見つめ直していくことによってできるようになったことです。

これに関しては、小さい頃から習っていた先生から言われたのでもなく、自分で試して遊んで学んできたことです。
何を求めるのかにもよりますが、潤ったり、かすれたり、太くなったり、細くなったりと、多くの線の生じる背景には、何らかの科学的な要因があるということは事実です。

絶対的な筆の持ち方の答えなどないのですから、自分が何を求めているかを考えたうえで、自分自身で試行錯誤して答えを出していけば良いというのが、この記事で私のお伝えしたかったことです。
科学的根拠が無いところには、深い同意は得られにくいです。

この記事の著者

藤井碧峰

1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。

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