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BLOG 書道・筆文字 書道家藤井碧峰流【本気の仕事論】

書道教室を通して良い環境づくりを考える

強制しない指導

藤井碧峰書道教室が始まって2年半ほどになりますが、日々指導として、環境として、どうすれば良い方向に持っていけるかを考えています。

藤井碧峰書道教室

5年ちょっと前から卓球のコーチをしていた時に経験していることですが、プレイヤーの中にはやる気のある人もいればそれほどでもない人が存在するものです。
とりわけ部活動という状況下では”必ずどこかに所属しなければならない”みたいなところはあるので致し方ないのですが、時間が勿体ないのもありますし、せっかくやるのなら有意義な時間を過ごして頂きたいと思って大人たちは動くわけです。
よく”チーム一丸で”みたいなことを聞いたりしますが、一人残さずやる気がある状態に持っていくのは難しいです。

昔からやる気が乏しい人が現れた場合に、大人はプレイヤーを叱って動かそうとしているところがあったりしましたが、これはほとんどの場合意味を為しません。
それは論理的思考が欠けているからで、プレイヤーもやる気がなくてズラズラと過ごすより、メリットが明らかになっている場合では”動いた方が得”なのですから、それをどうやって見せるかです。

この場合において強豪チームというのは組織としても強いです。
というのも「動いた後にどうなるか?」という答えが身の回りにいるわけですから分かりやすい。
その一方で、あまりにも活躍しているプレイヤーがやる気のない人から遠い存在過ぎても、追いかける対象にはなりにくいものです。

ではどうすれば良いか?となると大人が頑張るしかありません。
しかも強制的ではない方法で。

一番には【指導者自体がプレイヤーにとって魅力的な存在である】こと。
「ああいうプレーをしてみたいな」
「ああいう人になりたいな」
といった対象であることが大切で、口先だけの理論を投じる者にはこれは演じられません。

次に大人が【プレイヤーが気持ちよく、自然に、頑張る気になれるように”仕組みづくり”をする】こと。
できない、やる気のない理由をプレイヤーに押し付けるのではなく、できない理由をチーム運営のシステム的な問題だと捉え、いかに自然に頑張れる状況に持っていけるかということです。
そこには宗教チックなことも、洗脳も必要ありません。
あくまでもプレイヤーの内側から”やりたいんだ”という想いを、自然に引き出すことが重要です。

「想」藤井碧峰書道教室

このことを考える際にお寿司屋さん「すしざんまい」のマグロ大王こと木村 清社長の話が凄く良いなと感じるのですが、ソマリア沖の海賊を壊滅させたという話です。
少し前までこの海賊問題が国際ビジネス的には大きな関心を集めていたのですが、それもアジアとヨーロッパを結ぶスエズ運河へと繋がる重要な海上交通であるからです。
これを避けてアフリカ大陸を回っていたのでは大幅に日数が増えますし、コストも余計に掛かってしまいます。

この海賊が増えた背景には無政府状態が続くソマリアの不安定な情勢が問題だとのことですが、海賊も元々は漁業をしていたのです。
しかし魚を釣っても売る術(加工技術や売り場)がない。
そこで漁業指導をして、船を与えて、獲ってきたマグロは自社で買い取る、という仕組みを作ったことで、海賊をしているより漁業をしているほうが良いという状況になり、海賊を徐々に減ることに成功したとのことです。
(※大分省略したので、詳細はすしざんまいさんのホームページへ!)

この問題を考える時、武力で海賊を減らすことは多少できたとしても、それは根本的な解決になっていないという事実が重要です。
海賊という犯罪行為をせざるを得ない状況にさせている要因が貧困であり、彼らもちゃんとした仕事があって収入があるのなら、それほどリスクのある手段を使う必要は無いのです。
この事柄から学ぶことは非常に多いと思います。

書道家 藤井碧峰作品集

書道教室でも、大人と子供ではやる気の持ち方が変わってきます。
教室に入会する際、大人は色々経験してきた上であれこれと考えて、それに掛けるお金と時間を考慮した上で入って来られることと思います。
それに対して子供は自分で働いたお金ではなく、基本的に家族が負担するものですから判断基準というのも変わってきます。
自分が労働をしているかどうかで、その御月謝代が安いと感じるか、高いと感じるか。また、その金額分の元を取ってやろう、という気持ちが持てるかどうかという差が現れます。
なので大人の人は基本的に不真面目な方はいらっしゃいません笑

でも真面目な方でも古典臨書に足を突っ込める方はごく一部です。
それは「古典臨書やりなさいよ」と言っていてもどうしようもない話で、古典の良さを知って頂き、何故学ぶのかということをちゃんと説明できなくてはいけないし、古典を学んで良くなった自分もお見せできないといけません。
そして内的動機によって”古典臨書やるしかないやん!”と思って頂ける状況にするということですね。

子供はやる気が変動しやすいので、そこを如何にしてやる気の比較的高い状態をキープできるかが、運営側の腕の見せ所。
やるからにはちゃんと腕も上達するように。
もちろんウチの教室は雰囲気を大切にしているので、あくまでも楽しめる教室、良い場所でありながらです。
やる気が今ひとつ出ない子がいるなら、それはやる気を引き出せない環境の問題であるので、色々と思考を巡らせます。

卓球のコーチをしていた頃は、自分はあくまで5人ほどいるコーチのうちの1人でしかなかったので、指導者がそれぞれ想いのまま動いてしまい、子供たちも「藤井コーチの言うことは分かるけど、他のコーチはこう言ってくる」みたいな状況になって難しかったものです。
今は自分が主宰として方向性を決めるので、生徒さんが気づかないほど自然な仕組みづくりをやって、良い環境を作ることを大切にしています。

・・・と、ここまで書いておいて、私の書道教室での実際の対応方法については述べません。(お読み頂いた方はモヤモヤすることでしょう)
絶対的な答えが無いことなので、必要なら各々で考えて頂ければ良いことなのですが、本当に大切なことは抱えている問題を個の問題とするのではなく、それを生み出している仕組みの問題と捉えることです。

この考え方があれば、もしかすると会社員の方々でしたら”働かないオジサン問題”を解決することができるかもしれません。
また、仕事も無いのに無駄な残業をしている人も減らせるかもしれません。
自分の場合は会社員時代の最後の2年ほどは残業してなさ過ぎて問題視されましたが、お金を得ることより自由な時間の方が有意義に感じていたからです。
その代わり”以上”となるメリットを提示することで、問題は自然と解決されていきます。

書道家 藤井碧峰作品集

この記事の著者

藤井碧峰

1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。

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