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書道家になるには?収入は?有名な書道家は凄い書道家?

#書道お役立ちコンテンツまとめ

書道家になるには?有名な書道家は凄い書道家?

書道家になるには?収入は?有名な書道家は凄い書道家?

「書道家になるにはどのような資格や検定、学歴が必要なんでしょうか?」
「書道家の収入はいったいどれくらいですか?」
「有名な書道家の方は腕前が凄い書道家なの?」

など、書道業界の人間だからこそ知る実際の状況について、書道家 藤井碧峰が個人的な見解を踏まえつつ、皆さんが気になるこの疑問について触れて参ります。

 

 

 

書道家の仕事とはどんな仕事?

 

書道家と呼ばれる方々がしている仕事にはどのようなものがあるのでしょうか?
ジャンルに分けて説明していきます。

 

 

書道教室の講師

書道家になるには?収入は?有名な書道家は凄い書道家?

最も書道家の仕事として一般的なのが書道教室の講師です。

書道家をやっていく上で一番の安定収入となるのがお弟子さん(生徒さん)に指導し、毎月の月謝を頂くことです。
またお弟子さんが作品展への出品をするようになった際には、別途指導料や手本代を頂くこともあります。

最初のうちは生徒数が一気に増えないこともあり、自宅で書道教室をする場合でもない限り、施設使用料や契約料の負担に悩まされることになりますが、
生徒数が増えてきた際には一定の時間に何人も指導することができるようになるため、長期的な視線で見ると大きい仕事です。

 

 

小中高校の学校教員

 

履歴書

小中学校の書写の教員、高校の書道の教員が該当します。
小学校の場合は教員免許、中学校の場合は国語の教員免許が必要です。

高校の書道の教員になる場合には書道科の教員免許が必要です。
高校での書道の授業は小中学校と異なり選択制になっている場合がほとんどであるため、非常勤講師となる場合がほとんどです。

そのため他の5科目の免許取得もして収入を安定させるという手段もありますが、書道に専念するということができなくなります。
書道部がある場合にはその部の顧問となることもあります。

 

 

作品販売

「日々是好日」書道直筆色紙作品(額付き)

自分で書いた作品に値段を付けて、もしくはお客様からご提示いただいた価格で販売します。
書道家によって作品の価格は異なり、非常に安い作品もあればン百万円、ン千万円といった価格を付ける書道家もいます。

書道の場合は額装や軸装などをしてお届けすることが多く、それらの価格が結構掛かることもあり価格は高くなります。

他のジャンルの芸術家と同様、作家次第で人気ぶりも変わってきますし、価格も全く変わってくる世界です。

 

 

題字、ロゴ等、筆文字デザインの制作

新選組グッズ「誠」筆文字Tシャツ

本や映画のタイトルロゴ、商品のロゴであったり会社のロゴを制作します。
またお墓、看板、Tシャツなど、字が活躍する場所に書道家の仕事があります。

データデザイン料に加えて著作権譲渡料を得たりします。
もしくはマージン契約で販売売り上げの何パーセントかを頂く契約をしたりもします。

こちらも作品販売と同様で、作家次第で受注数も価格帯も変わってきます。

 

 

書道パフォーマンス

書道家になるには?収入は?有名な書道家は凄い書道家?

イベント時によく見かける書道パフォーマンスの仕事も書道家の仕事です。

カッコよく、非常に華やかな仕事ではあるのですが、大きい字を書くことが多く、筆や紙の大きさも大きくなり、墨の量も相当な量を用います。

床に書く場合もあれば、壁に貼り付けたパネルに書くこともあり、衣装も含めそれぞれのイベントに応じた対応が求められます。

 

 

筆耕

筆耕、書道家の手書き賞状、卒業証書

賞状書きや宛名書き、冠婚葬祭の際の招待状、卒業証書、のし袋・のし紙の名前書き、看板メニューの手書き、年賀はがきの揮毫、名刺の名前書き、式辞、式次第、目録・・・。

とにかく書くことなら筆耕の仕事と言えます。
結構地味な仕事が多く、大抵枚数が多いため非常に疲れます。
腱鞘炎に要注意です。

 

 

作品の出品・展示(公募展・個展など)

 

藤井碧峰書作展@北陸銀行砺波支店|富山県の書道家藤井碧峰

大きな【公募展】としては日展、毎日書道展、読売書道展、産経国際書展、東京書作展があります。

これに加えて、各会派の作品展、所属する会のグループ展、各都道府県の美術展、各市町村の美術展等があったりします。

また独立して仕事をしている書道家の場合は【個展】を行うこともあり、自分の作風を知って頂いたり、その場で作品を販売するなどの機会ともなっています。

公募展に出す場合には大量に出品されている作品の数々の中から自分の作品に高評価を頂けるように頑張らなければなりません。
このために1枚数百円もする大きい紙に高い墨や筆を使って何百枚と作品を書いたりもします。

また書道教室以外にも所属する団体の練成会等に参加して腕を磨くことも大切です。

作品が入選・入賞すれば大きな美術館に作品が飾られるのですが、現地に行って自分の作品の見え方を確認したり、他の方の作品を勉強したりもします。

 

 

PR活動、SNS、ホームページの更新

 

【月刊Takt8月号】にて紹介して頂きました|富山県の書道家藤井碧峰

テレビやラジオ、新聞、雑誌等のメディア掲載によって書道家としての活動を一般の方に広めていくのも仕事です。

書道教室や作品販売、揮毫依頼などについても、無名の人のところにはなかなか人が寄ってこないもので、多くは有名な書道家のもとに集中してしまうのが実情です。

ネットを利用するのが当たり前の現代社会においては非常に重要な仕事であります。
オフィシャルサイトの運営、Facebook、Instagram、Twitterなどの積極的な更新によって自分の存在を知って頂く大切な仕事です。

 

 

デザインツールでのデータ編集

illustratorで筆文字デザインを編集

デザインを使用する対象物によっては、実際に紙に書いた現物の作品を制作会社等に持ち込めば、デザイン処理などをして頂けたりもします。

しかし、現代社会ではデータの取引が多いためデザインツール(Photoshop、illustrator等)の使用を結構重視されます。

書道家だからといってデザイン業界の一つであり、業者やお客様が求められるそれぞれのデータ形式(psd,ai,PDF等)の形式の編集、変換も自在に行える方が好ましいでしょう。

 

 

オリジナル筆文字商品の企画・販売

筆文字慶弔印、スタンプ、住所印|富山県の書道家藤井碧峰

こちらは私、藤井碧峰のためにある仕事と言っても過言ではないのですが、日々色んな店に行って新しい商品を発案し、商品化しています。

流れとしては、

字を書きデータ化し、デザインツールにてデータを編集、委託業者に発注、サンプルの確認・改善、完成商品を写真撮影してホームページに商品掲載、SNS等に投稿

といった流れになります。

商品の画像は撮り方次第で全く雰囲気が変わってしまうためテクニックが要求されます。
撮影後にも画像編集が必要であるため、書道の腕はもちろん、パソコンの操作も大切です。

また商品や作品を発送する際には梱包作業が必要となり、これらも最適な梱包をしなければいけないため神経を使います。

 

 

書道家の収入はどれくらいあるの?

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書道家の収入は手掛けている仕事内容によって大きく異なってきます。

 

 

書道教室の講師

仿古堂の高級羊毛筆「暖心」「遠鴎」「鴻飛」

書道教室には月謝代や入会金、道具の仕入れ代など色々な収入があります。

月謝代については一般的には2,000~10,000円といったところでしょうか。
私の住む富山県のような田舎でしたら3~5,000円というのが相場のようです。
これも生徒のレベルに応じて、上達していくとどうしても見る手間が増えたりする関係で料金が上がる場合があります。

有名な書道家の先生の場合は高額になるケースも多く、また都会でしたら場所代が高いこともあり地域によってバラつきがあると言えます。

例えば月謝代が5000円の書道教室だったとしますと人数に応じて収入が変動しますので、50人いれば25万円、200人いれば100万円になります。

時給については何とも言えません。
1カ月に何回書道教室を実施しているのかによって大きく変わってきます。

書道教室を行う場所も重要です。
個人で場所を探して、部屋を借りて教室を行う場合には施設使用料(場所代+エアコン代等)で済みます。

一方でどこかのデパートや新聞社、放送局等のカルチャー教室に入った場合には、生徒さんから頂いた月謝代から何割かが引かれます。

それぞれの地域性や自分の方向性など、戦略に基づいて行動しなければ書道教室の経営は難しいのかもしれません。
田舎で書道教室をするのと都会で書道教室をするのとでは全く環境が違います。

パッと見では都会は人が沢山いるため書道教室をするのに持ってこいな感じがありますが、実際のところは書道教室を営む先生の数も非常に多く、有名な書道家の先生方も多いため
余程の魅力を持った書道教室でもない限り成功は難しいと言えます。

 

 

小中高校の学校教員

起業アイデア、ネタを本で探そう

小中学校の学校教員の場合はGoogleで「小学校 教員 収入」「中学校教員 年収」みたいな感じで
ググって頂ければ、他のホームページにて最適な答えが見えてくると思います。
(専門ではないため他力です)

高校については先述のとおり、非常勤講師なのか常勤教諭なのかによって大きく異なってきます。
非常勤講師の場合は一コマいくらという話になってきますので、アルバイト感覚になってしまうかもしれません。
その場合は学校外で書道教室を開講したり、作品の販売など副業を行うことによって収入を増やせます。

これまでの社会では一つの職業に専念して収入を得ていくというのが一つの理想だったのかもしれませんが、今の時代は副業が多くの企業で解禁されているように、その人の能力の使い方次第では夢のあるビジネスをできるようになっています。

自分の時間も持てるため、芸術家として幅広い活動ができるかもしれませんね。
これによって有名になってしまえば、独立起業して書道家として生活することも可能となります。

常勤の場合は収入が安定するかもしれませんが、拘束時間が大きくなりますし副業もできませんのでどちらを取るか難しいところです。

 

 

作品販売、題字、ロゴ等、筆文字デザインの制作、筆耕、オリジナル商品の販売等

書道家のこだわり手書き表札

作品の販売については、額装・軸装商品などについては制作時間も費用も結構なものになるため、一件あたりの価格を高く得られている書道家が多いようです。

自分の作品を高く売る場合には、他のビジネス同様にブランディングが必要です。
無名なほど作品の依頼の数も少なくなりますし、有名なほど依頼が増えますが、根本的に必需品では無いため安定収入という類のものではありません。
 これによって収入も0であったり大きい金額を得たりと変動します。

筆耕の仕事においては、どこかの企業などの下請けとして字書きをする場合にはある程度の安定が見込めるかもしれませんが、1枚書いて数十円、数百円といった地道な作業であるため、総額はそれほど望めないかもしれません。

 

 

書道パフォーマンス

富山県の書道家藤井碧峰meta

イベント時によく行われる書道パフォーマンスですが、これはテレビ等の出演料に似たところがあります。

1回数万円であったり、1日数万円であったり。その書道パフォーマンスの内容や、書く人によっては何十万円も動くことがあります。

金額の大きい仕事ではありますが、その代わり頻繁にある仕事とも言えないのも事実です。

 

 

書道家になるためにはどんな資格・学歴が必要?

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書道家になるには資格があるのでしょうか?
またそのためにはどのような進路を選ぶことが適切なのか紹介します。

 

 

必要な資格について

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書道家になるために絶対に必要な資格というものは存在しません。
実は書道家・書家という職業は、自分で「私は書道家です」と名乗れば誰でもすぐなれるものです。

私は真面目にやっている一人の書道家として辛口で語ってしまいますが、お習字レベルの人もいますし、誤字・脱字を平気でしてしまうような、書の知識など全くなくてファッション感覚で書道家を名乗っている人も書道家です。

書道だけで食べている場合であれ、何か本職があって副業として書道教室等の仕事をしている場合であれ、女性の結婚後のお小遣い稼ぎとしての仕事であっても書道家です。

しかし、ちゃんとした書道家になるためにはある程度の鍛錬は必要です。
書道に関連して【師範】という資格をお聞きすることがあると思います。
(他にも成家など色々あり)

これは自動車免許や教員免許のように公的に認められている資格ではなく、書道の各会派・流派等でそれぞれの団体の基準に達した人に対して交付しているのが【師範】の資格です。

最初は誰もが10級などの低い級からスタートするのですが師範になれば書道教室を開けるようになったりします。

各団体ごとに『競書雑誌』という毎月の課題や各出品者の段級を記載した冊子が発行されており、この課題の作品を提出して審査して頂き、昇級や昇段(段位)を決めてもらうシステムになっていて、この先に師範という資格があります。

この昇級・昇段のスピードについてはその団体によって大きく異なります。
2年ほどで師範になってしまうような団体もあれば、数年経ってようやく一段上がるような団体もあります。

もちろん出品者の努力の度合いによっても大きく変化するところではありますが、この基準次第で段位の数字が変わってくるということもあり、
「私は小学校の時に何段まで取った」だとか「何歳で師範を取った」という話をする人は、
書道の世界をよく知っている人から笑われてしまう可能性があるので注意しましょう。

話がそれましたが、この師範を取得するにあたり難易度の高い団体の競書雑誌を取ることをおすすめします。

年に1度の昇段試験を受けなければなかなか昇段できないといったことも珍しくありませんが、確実に実力を付けることができます。
この団体を選ぶにしても、ある程度大きな公募展に参加しているような由緒ある書道団体を選ぶことが大切でしょう。
段位の数字だけを求めることは駄目です。

書道家と言っても小中高校の学校の教員として書写・書道を教える場合には当然教員免許が必要になってきます。
これについては気軽に取れるものではないので要注意です。

 

 

どんな学歴が必要なのか?

書道 極

上記の通り学校の教員になるためには、小学校の場合は教員免許、中学校の場合は国語の教員免許が必要です。
高校の書道の教員になる場合には書道科の教員免許が必要です。

もしその他の場所、環境で書道家をしていく場合には学歴は関係ありません。
仮に書道の教員を目指さない場合でも、書道家を目指すなら「書道学科」や教育学部内の「書道専攻」などを経るのも良いかもしれませんね。
そのような環境には同じく書の道を志す仲間に出会えるはずなので、腕の鍛錬にも相応しいはずです。

しかし、そこで書道の道に絞ってしまった際に、後からの人生の選択肢が狭まってしまわないか要注意です。

私につきましては富山大学経済学部経営学科輸出ビジネス専攻と、書道家に全く関係の無い学歴を持っていますが、独立起業して書道家をやっています。

ある意味では、この自由な経路でなれる職業という点が書道家の魅力なのかもしれません。
学歴に関しては以上のとおりでありますが、字というのは非常に高度な知識や技術を要するものです。

誤字・脱字といったものは書いた書道家の信頼を損ねるどころか、お客様の損害にも繋がってしまいます。

そのためちゃんとそれらの要素を理解するだけの学力・能力を備えていたいものです。

 

 

書の道で注意しなければいけないことは?

書道淡墨作品「破壊」滲み

書道には多くの会派・団体が存在します。

それぞれの特徴があり、それが書道界の面白い点でありますが、高校の書道部であったり教員免許を取得するために進む大学や、師範資格を取得するために所属する団体にも、何かしらの特徴であったり、流儀のようなものが存在したりします。

富山県の書道家藤井碧峰meta 

近代詩文書(漢字かな交じり書)、前衛書、墨象、大字書、古典臨書、仮名など、またそれぞれに同じ漢字であっても書風が違ったりもします。

まず書道教室自体が結構大きな決断を要することで、その選択次第では今後の自分の書道家としての活動内容も変わってきます。

書道界というのは結構狭いもので、書道教室の先生同士が知り合いだったりすることもあり、容易に書道教室を移動することもできなかったりもします。

また人間関係や行いについても結構難しい点があるので、業界を良く知っている相談相手を持つことも大切です。

 

 

書道家になるための勉強方法は?

書道の書き方を学ぶ古典臨書「顔真卿 祭姪文稿」

書道家は幅広い知識や技術を必要とします。

それを学ぶのが書道教室であり、そこで使用する教本『競書雑誌』です。
競書雑誌には様々な課題が載っているのですが、そこそこのレベルの課題になると解説が付いてきます。

この解説を読むことであったり、師匠から手取り足取りで教えて頂くことで技術は向上します。
大切なことは良いお手本を見て学ぶことです。

競書雑誌の質も非常に大切な点でありますし、師匠のお手本の質も非常に重要であります。
このお手本が下手であった場合には、弟子はそれを見て書くが故に下手な字を習得してしまうことになってしまいます。

書道 太宗「温泉銘」臨書作品 

これに関してはある程度の腕を身に付けた場合には師匠の手本を離れて古典名品を直接学ぶことが良いと、現代書道の父比田井天来先生が仰っています。

古典名品とは何か?と言いますと、中国では唐以前、日本では三筆以前の書かれた石碑の字や書物の字のことです。
これらの字には我々書道家が学ぶべき、書の模範と言える名作が多く残されています。

何故師匠の手本を習い続けるのが良くないのか?と言いますと、先生の手本を学ぶと、先生の流儀を真似た弟子が誕生してしまいます。
その弟子が先生となって教えた弟子は更に偏った流儀を真似るようになります。

これでは書道の芸術的な価値は下落の一途を辿ることになります。
古典名品を直接自分で学べば、先生の流儀に捉われることなく独自の書を作っていけるようになり、これでこそ芸術だと言えるでしょう。

書道家必須、書道大字典、辞典類

書道にはとにかくお金が掛かります。
本だけでも古典名品の法帖、競書雑誌、他の参考書、字典、文例集、詩集、辞典、書道家の作品集など、資料を集めるのが大変です。

「筆」羊毛、兼毫、イタチ 

は数百円から数百万円まで、良い線を出そうとすればそれなりの金額の筆が必要になってきます。
毛の種類についても数えきれないほどの種類があり、それぞれに出る線質が異なってくるため筆は様々に取り揃えたいものです。

 

についても求めていくと高い紙になっていきますし、消耗品なのでいくらあっても足りないものです。
公募展に出品するサイズは大きなものが多く、一般的なサイズで2x6尺というサイズで一枚数百円という紙に書いたりします。

作品展の際には何十枚、何百枚とそれを書くことになるので結構シビアな世界です。 

呉竹固形墨芭蕉

墨(墨液)についても同じく消耗品で、ものを選びます。
求めていくうちに安いものが合わなくなり、高い墨へと移行していきます。

その理由としては、字を書く際の滑らかさや質感、再現性、筆を洗う時の墨の抜けやすさなども関係しています。

固形墨は理想的なものなのですが、機械を使っても磨るのに時間が掛かります。
また一度磨ってしまうと数日後に腐る心配があるので取り扱いがデリケートな点があります。 

端渓硯麻仔坑 

については消耗品ではありつつも、良いとされる硯の数自体が減ってきており、高騰化が進んできています。

良い硯は墨のおり方が違いますし、ヤスリのようなものなので粒子の出来方が変わってきます。

淡墨作品を作ると違いが分かりやすいですし、書いていても抵抗感等が違ってくるのが分かります。

また筆、紙、墨に共通して言えるのが、古いものが良いということがほとんどです。
筆は古い毛の方が良い、紙については年数の経った紙が良い、墨についても年数の経ったものが良いという風に言われ、数が限られるため価格も高くなっています。

書道家の作品購入・制作依頼と価格の疑問、作品を見るには?

書道作品展に足を運ぶことも大切です。
自分がいくら良い字を書けていると思っていても、常に進化し続け良い字を書ける
本物の書道家になっていくためには、良い作品を実際に自分の目で見ることが大切です。

ネット社会では簡単に作品画像を共有できるようになりましたが、書道の場合は作品のスケール感や墨色など、実際に自分の目で見てみないと分からない世界観があるので、積極的に外に出て新しい空気を吸おうと意気込んでいくことも大切です。

 

 

有名な書道家は凄いの?

書道家になるには?収入は?有名な書道家は凄い書道家?

テレビや本で見かける有名な書道家の先生方は凄いのでしょうか?

一概にそうとは言えません。
今の社会ではインターネットの普及等もあり、昔よりも有名になるための手段が大幅に増えました。
何がきっかけで表に出るか分からないこの世界では単純に凄いという点では語れません。

私としては「本物の腕があって有名になった書道家」と「戦略的に成功して有名になった書道家」の2通りがあると思っています。

この前者に関してはほんの一握りになると思います。
各団体の中で実力のある人は上に上がっていきますし、そういった方に大きな仕事が任されることも多いことでしょう。
そうして書道界的にも世間的にも実力が認められている方は、本の出版にも関わっていますしTV番組も持っていたりします。

後者のパターンは最近増えているパターンで、最近のテレビ番組に出てくるほとんどの方はそうなんじゃないかと思います。
私は仮にも経済学部経営学科でビジネスの勉強をしていた人間ですので、この戦略的な要素を持って有名になった方についても凄いなと感じています。

何事もセンスが必要とされますが、何よりも大切なのは行動力です。

「どちらが凄いか?」という点で言えば、書道的には評価を下せますが、「人間としてどちらが凄いか?」と言う視点で見ると、どちらも凄い、素晴らしいです。

 

 

有名な書道家になるためには何をしていけば良いの?

天来自然公園 石碑

上記のように有名になるには大きく分けて2パターンがあります。

「本物の腕があって有名になった書道家」は長い年月を経て腕を磨き、確かな腕を持ってして上に上がり有名になった方でしょう。

これには多くの試練が待ち受けていることと思います。
第一に公募展での活躍が大切になってくるでしょうし、日展などの入選が難しい作品展での活躍なども重要かもしれません。

「戦略的に成功して有名になった書道家」は、メディアの有効活用も大切ですし、先天的に持っている素質なども貪欲に活かしていくことが必要でしょう。

美しい書道家というだけでメディアは注目しますし、話題性のある人には必ず誰かが注目します。

また、書道家と言えど商売であることには変わりありませんので、これには書道家としてのセンス、腕云々よりも、起業家としてのセンスのようなものも必要とされるのではないでしょうか?

時代に応じた戦略というものも求められているように思います。

 

 

本物の書道家になっていくためには

書道家 藤井碧峰作品集

色んなパターンの書道家がいることはここまで述べた通りです。

書道家という職業は、あくまでも字を使って商売していく仕事でありますので、良い字を書けるように心がけたいものです。

それでは「良い字ってどういう字なの?」という話になってしまうのですが、心の込められた字が良い字だというのは言うまでもありません。

どれだけ収入的に確立されていて、一枚ン十万円、ン百万円といった作品を書くような書道家であっても、一枚一枚を疎かにしてしまう人間は偽物です。

立山山頂雄山神社の看板を揮毫|富山県の書道家藤井碧峰

そして良い字というのはそれぞれ求められてる場所に適した字を書くことでもあると思います。

実用書なら誰もが認めざるを得ないような綺麗な字を書くことが、適した良い字を書いているということでしょうか。

お客様の依頼でロゴを書いたり、作品を書いたりする場合には、それぞれに合わせて雰囲気を持った字、作品を書く必要があります。

実際に字を書く時間は短いかもしれませんが、洋服をコロコロ取り換えるように簡単に生み出せるものではなく、多くの経験、知識、感性などが備わって商品が完成します。

とにかく多く書いて、多く感じ取って、多くを経験することによって、お客様への誠意ある仕事が成し遂げられるはずです。

本物と言われるためにはもっと多くの要素を必要とするでしょうが、出来ることなら本物の書道家と言われる仕事をしてみたいものですよね。

 

 

有名な書道家を純粋に信用してはいけない。本物の書道家に出会おう。

「義」書道直筆色紙作品(額付き)

様々な視点から書道家という仕事について詳しく見てきました。

実際のところは書道家という仕事は誰でも目指せるもので、あなたも今の腕が良いor悪いどちらであっても、「自分は書道家です」と名乗った瞬間に書道家になれます。

一般の方が書道家に仕事を発注される際に、こういった書道家が混ざっていると面白く無いですよね。

見る目があればその正体も見破ることができるでしょうが、”有名”という言葉は見逃せないことであり、腕の有無に関わらず得られることがあります。

悲しくもこれが書道界の現状です。

最後に、個人的な意見と意志を述べることとなりますが、書道家を計るものさしは無く【本物・偽物】という基準も無い世界なのかもしれませんが、本物の書を追い求め続け、お客様から頂く仕事に誠意持って対応できる本物の書道家でありたいと願います。


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この記事の著者

藤井碧峰

1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。

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