藤井碧峰
1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。
INFORMATION
私書道家 藤井碧峰が経験したことを”リアル起業”として記しました。
私自身、起業に至るまでは長き月日を費やし、様々な準備を行ってきました。
自分の経験を起業の志を持つ方に活かして頂きたくこの記事を書きました。
ここでは独立起業のメリット・デメリット、起業アイデアの考え方や、創業に役立つ情報等、ありのままに紹介させて頂きます。
目次
2018年6月に起業して以来、私は書道家として事業を行ってきました。
それから1年半が経とうとしていますが、良いのか悪いのかここ最近は身の回りの友人たちにも刺激を与えてしまったようで
「(藤井の活動を見て)自分も独立起業したくなった」
と声を掛けていただけるようになり非常に嬉しく思います。
仕事にはなりませんがそういう彼らを“同志”として素直に応援したくて時々相談に乗ってアドバイスをしています。
自分と同じように挑戦して何かを掴み取っていってほしいです。
何かを手に入れようとした時、何かを犠牲にします。
その犠牲を分かっていながらも挑戦していくことを人は恐れ多く感じるのかもしれませんが、何をしていても犠牲は生じるものということを知って頂きたいです。
もし安定を選んだなら、良くなることも悪くなることもあまりありません。そこには運任せであったり他人に頼ったりと、自分で動かしていく要素はさほどありません。
私には小さい頃からずっとコンプレックスがあり、それがあるから苦しむこともありますが、常に良くしていくしかないという自覚の中で自分を奮い立たせて生きてきました。
低いレベルにいるという自覚があるなら、自分でレベルをあげていかなければいけない。
そのためには当然のように挑戦し続けないといけないし、とにかく前に進められるように常に思考を張り巡らし、日々変化を求め続けることが大切だと感じています。
スティーブ・ジョブズの名言に
『If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?』
という言葉があります。
『もし今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?』
というような意味なのですが、それをあなたも自分に投げかけてみてください。
自分にそう問いかけた時に堂々と「本当に自分がやりたくて仕方ないことだ」と自信もって言える人間は社会人の中に5%もいないと思います。
以前、私は自分という人間を大切にしていませんでした。他の大切な人が幸せになってくれれば良いと思っていました。
でも実際には自分が満たされていなければ、他人の幸せも素直に喜ぶことはできないのです。
自分を大切にするということを考えた時に、色々と現代人は自分以外のことに時間を使いがちです。酷い言い方をすれば時間を奪われています。
会社員時代、会社のために過ごしている時間は、ほとんど自分という時間を生きていないなと感じました。
その反動で休日になるたびに山に行ったり、サーキットに行ったり、スキーに行ったり、ドライブに行ったりと思い切り楽しみました。
会社に時間を奪われているのに残業手当、休日手当が出ないこともあります。
会社員として過ごすのなら会社に改善改革を訴えかけることはできますが、労働組合の活動であろうと何を頑張ろうと、結局は自分にとって最高の環境を作り上げることはできないのです。
世間ではよく“ホワイト企業”“ブラック企業”などと言う表現が使われていますが、完璧なホワイト企業など絶対に存在しません。
それを理解した上で会社人として理解しながら生きていくことも必要かもしれません。
また、最近多いのは
「楽をしたいけど沢山稼ぎたい。文句ばかり言っていて何もしない」
という人。
こんな人たちにはもう「黙って自分たち挑戦者の姿を見ていてくれ」としか言えません。
個人的には会社員として生きているのと、事業経営者として生きているのとでは全く物事の見方や考え方が変わってくるように思います。
それは自分が実際に独立起業して変わっていったこともありますし、多くの経営者にお会いして感じた次第です。
自分自身まだ大きな成功を収めたわけではありませんし、まだまだこれから伸ばしていかなければならない事業だと感じています。
書道家的にも未熟で起業家としても未熟なわけですが、どちらにしてもやはり他の方になかなか真似できないものをつくりあげるのは大変なことです。
独立起業にも様々なスタイルがあり、個人で事業を始めるのと複数人で始めるのとでは結構違ってきます。
私の場合は個人事業主であり、たった一人の事業です。
こうなってくると事業を始めた時のことから現在に至るまでのことまで全て一人でやっているので、経験したことなら経験したなりに分かる状況ではあります。
私も起業に至るまでは何人もの事業をされている方にお話を聞かせていただきました。
起業に関する本は70冊以上読んできましたし、ネットの記事にも敏感にして起業までの数年間を生きてきました。
色々な思考を巡らせながら事業を立ち上げて良かった点もあれば悪い点もありました。
そんな中で自分が感じたことを他の方にも伝えていくことを使命のように感じています。
書道家という立場からではありますが誰かしらの今後の参考にしていただけるなら幸いです。
私は中学生の頃に読んだ本であったり、世間をにぎわせていたライブドアの堀江貴文氏の影響を受けて、どことなく「将来は起業するものだ」と感じていました。
ただ漠然としていて何をやっていきたいかは見えていませんでした。
そんな中で大学は現在の書道家という仕事には全然関係ない富山大学経済学部経営学科という道へ進みました。
まさしく将来的なことを見越しての進路でした。
しかし実際のところ経済・経営に関する様々なことを学べはしたものの起業アイデアは思いつかず、多くの大学生と同じように就職活動をして会社員になりました。
会社員になってからも本を読み学び続けました。それでもアイデアとは浮かぶものではありません。
いや実際にはアイデアは沢山あるのですが、自分で実際にやるとなると、それをするための『大義名分』がなかったのです。
自分に合う事業、自分に合うやり方・・・、考えてもなかなか無いものです。
そんな時、車好きだったことが幸いして地元で活躍されている企業の社長さんと出会いました。
藤井「起業したいんですが、事業アイデアが思いつかずにずっといて悩んでいます。
自分で何かをしたいのは分かってはいるのですが・・・」
社長「そしたら藤井さんの好きなことをとことんやってみると良いよ。
案外好きなことをやっていると見つかるものだよ。」
とアドバイスを頂きました。
それが2015年6月の話で、それからは狂ったように(笑)趣味に打ち込んできました。
書道、車、スキー、卓球、読書など元々多趣味でしたが、2015年の9月には長年やりたいと思っていた登山を始めました。
「貯金なんかするな。今という時間を大切にして自分に投資していこう」
という気持ちがずっとありました。
平日は仕事に全力を出して、帰宅してからは書道。
休日は積極的に外に出て趣味に励みました。
多少なり結果も得られるようになった中で、それまで自己否定ばかりしてきた自分の中にも少しばかり自己肯定感を持てるようになりました。
この自己肯定感というものは生きてきた世界によって全く異なると思います。
とはいえ事業を行っていく上では「俺自信ないんよ・・・」みたいな感じの人のもとには仕事を任せられません。
私は性質上、自信がありすぎる人には到底なれませんが、良い経験であったように思います。
あとは好きなこと、自信を持てたことを活かしていかにして事業にしていくかです。
考えてみてください。
あなたが好きなことをしている時に不便だなと感じることはありませんでしたか?
また他人が何かをしているのを見て
「自分ならこうするのになぁ」
「自分ならもっと高いクオリティで作れるのになぁ」
と感じるようなことにもアイデアはあります。
ネット業界がそうであるように常にニッチな分野に事業アイデアがあるものです。
アイデアはあっても大企業ならできないこと、そこに個人の入る隙があったりします。
それがもしあなたの好きなことであれば、他の追随を許さない事業にしていける可能性があります。
好きじゃないことを事業にするのは、苦も多くなるので要注意です。
よく知り合いの社長と話すのですが、例え一週間全部仕事でも我々は苦ではありません。
それはやはり『好きなことで仕事をしているから』です。
だから利益を上げることだけが全てではないということをつくづく実感します。
(雇用し始めるとそういうわけにもいかないと思いますが)
自分の手で事業を始めるとなると当然わからないことだらけになるため、準備も相当入念に行おうという気持ちになるかと思います。
私自身、良いヒントを得られるように、不足の無いようにと開業前には頻繁に書店に通い、良い本を見つけては購入していたので沢山の本を読みましたが、途中で「本を読んでいることで事業を始めるために必死な自分」を演出しているような気がしてやめました。
読書をして様々なことを知ることは大切なのではありますが、結局はそれもやりすぎると行動を始めるときの妨げになってしまいます。
良い本には素晴らしいことが書かれていることでしょうが、あくまでも他人が経験したことに基づいて書かれたものであり、そこに未来の自分が忠実に映し出されることはありません。
そういう点では「まずは行動しよう」と言って怖いもの知らずな感じで起業できる人は強いと思います。
私は大学で経営学を学んできてはいますが、実際にはあまり起業には関係なかったりもします。
一番の学びは実際に行動しながら学ぶことです。
学校では知識を沢山得られますが、社会に出てそれをフルに活かして仕事をしている人は滅多にいないでしょう。
必要なのは経験して得られた“ノウハウ”です。
何をしても経験がモノを言いますし、他人に話すうえでも経験値があるのとないのとでは説得力に雲泥の差があるのと同じです。
ここまで言っても実際に始めるとなると足が重いかもしれません。
そういう場合は事業を始めるを決めて、家族内でも良いので周りに言ってしまいましょう。
それでも先延ばしにしてしまうような人でしたら起業は向かないと思います。
【鉄は熱いうちに打て】と言いますが本当にその通りで、「独立起業したい」という感情を大切にしていただきたいです。
自分は25歳のころから「会社員でい続けるか、起業するかは27歳のうちに決める」と心の中で誓っていました。
それはこれからの人生を考えても、当時いた会社の状況を考えても良い誓いだったと思います。
人事異動が頻繁にある会社でしたので、やるなら時間のあるうちにと考えていました。
また自分の性質上、どこに異動させられても楽しみを見つけてしまうので「あともう少しここで頑張ってみよう」という先延ばしするような考えを持たないようにと、決断のタイムリミットを作っていました。
会社員でいるうちに沢山の経験をしておくことは良いことです。
会社とはお金を頂きながら学ぶ場所ですので安心感もあります。
しかし一方であなたの時間が失われていることを忘れてはいけません。
言ってしまえば人間は死へと日々歩み続けている生き物です。
年を取るほどやれることは少なくなり、体も動かなくなってきます。家
族がいれば生活のことも考えなくてはいけない・・・。
それが事業をするうえでの一番の障害になってしまうこともあるから『今、この時』に賭けて勝負するタイミングが大切になってきます。
有名な書道家の方々は名前もあるし、他に従業員がいたりするので価格を下げられなかったりするのですが、新参者な書道家の私は意外とそのできないことを可能にできています。
また小さいころからパソコンを扱うのがそれなりに得意だったので、身の回りの書道家の先生方と比較してもネット関係やデータ処理は
得意だという“優位性”を持ってして事業を行っています。
(得意とはいってもそれ専門で学んできた人には到底及びません)
得意だということはどういうことかというと、その分野についてそれなりに知識があるということです。
事業を行っていると日々様々な業者からのお問い合わせがあったりします。
95%は下らない営業電話ですが、残り5%ほどは良い電話だったりします。
なかには「全部断れば良いじゃないか」という事業主の方もいらっしゃるかと思いますが、良いパートナーは事業をより良く成長させます。
自分の事業のことで手がいっぱいで営業電話に時間を奪われたり、集中力を落としたくないという気持ちもあるかと思いますが、それをちゃんと見抜くためにも判断できる能力が求められます。
私は幸運にも事業を始めてすぐにJetBさんに見つけていただいてこのホームページを作ったのですが、良いページであるとともにサポートが素晴らしいのでネット上でも見ていただけるページになり、定期的に大手企業さんからもお問い合わせを頂くことがあります。
ちょっと話がズレたように見えますが実は大事なことで、優位性を持っていることは掛け合わせることでオンリーワンになれる可能性を持っています。
書道人口は400万人と言われており、書道家として仕事をしている人もネット上にこれだけホームページがあるのですから相当な人数だと思われます。
その中で私は「正統派の書道家×ネット」という特性を生かした事業を行っています。
これは思い込みで始めたわけでなく、ちゃんと“ネット内の書道家事情”みたいなものを調査したうえで道を選んだかたちになります。
案外あなたの進もうとしている道にもこういったパターンの攻めどころはあるかもしれません。
こうやって書くと「私の長所って何だろう」って思う方がいるかもしれませんが、私は余程のことがない限り誰でも良いところがあると信じています。
それと同時に世の中はそれぞれの人に何かを求めていて、早くそれに気付いてほしいです。
書道家 藤井碧峰の事業の特徴として周りの書道家の先生方や業者さんが応援してくださっており、いつも相談に乗って頂いたり、事業アイデアを頂きながら自分の進む道を一緒に作っていっています。
もちろん根底には自分の“譲れないもの”があり、それを認めてくださっているからこその支援ではあるのですが、味方は大いに越したことはありません。
私につきましては、古典臨書をベースとした正統派の書を広めるために事業をしていますが、これは今の書道界の状況やメディア関係のこともあり、歯痒い想いをされている方が多いこともあってご支援頂いているようなかたちです。
私については生意気にも29歳で書道家を名乗っていますが、ずっと書道で生きてきたわけでもないので分からないことも当然あります。
そんな時も親切に、それこそ無償の愛を頂きながら仕事をしています。
応援が無くても頑張らなくてはいけないのが独立起業ですが、応援があると尚更頑張らなきゃいけないと感じられます。
事業を始めて色々な人にお会いするうちに、誰かしらあなたなり、あなたの事業を否定する人が現れます。
「書道家?そんなもんやめておけ」
「若くして会社辞めて事業なんかやってもヘタレやと思われるぞ」
など。
そういう人たちは大抵自分目線でしか物事を考えていないので気にする必要は無いと言えます。
もし気にしていたとしら今日の書道家藤井碧峰は無かったのです。
そのうち良い仲間にも出会えます。
良い仲間は
「失敗しても良いからチャレンジしてみると良いよ。こんなのやってみたらどう?」
と背中を押してくれたり、他にも事業アイデアを親身になって考えてくれたりします。
最終的には、会社を辞めて自分で事業を行うとなれば、付き合う相手はあなたが選んで良いのです。
わざわざ不愉快な想いをしてまでも付き合う必要はないですからね。
でも良い人も嫌な人も、どちらも会ったら会ったで自分のためにはなります。
嫌な人についてはあまり一緒にいるメリットは無いかもしれませんが「今に見ていろよ」と見返す気持ちでいましょう。
私の場合については書道家という仕事をしているわけですが、他の人間が色々と否定してこようと「でもあなたは書道家をやったことないでしょ?」と思ってしまうわけです。
更には自分でちゃんと金銭面やりくりしているのに「どうせ親のスネかじって生きているんやろ?」みたいに勝手に被害妄想されてしまうわけです。
こういう人たちは偏った見方が目に付いているので気を付けなければなりません。
そういう人に出くわそうと、そうでなかろうと“自分というもの”を持っていれば心が揺れ動くこともありませんし、“絶対にやりきる”という強い心を持つことが経営者には必要です。
自分は学生時代からいつも答えを言っています。
「これは正しい」
「こういうやり方は駄目だ」
「これは好きだ」
「こういうのは嫌いだ」
生半可な答えを出していても何もならなくて、ずっとこの先も答えだと信じられる答えを出す。
もしかしたらその答えは何年後、何十年後に振り返った時に間違っていたと思うことがあるかもしれないけど、考えることに意味があります。
何も答えを言わないでいたら自分の進むべき道も、信じる道も見えてこないと思います
私の父親は
「自営業は自由業だ。必要に応じて他社の手伝いもしながら仕事をすればいい」
と教えてくれました。
最初開業した頃は、「意地でも書道だけで食べていけるようにしていこう」と誓ったものです。
1年半ほど経って、その意地のようなものがあったからハイスピードで色々なことに取り組めたということもありますが、一方で損したなと感じることもあります。
もちろん1年半という短い期間のことですので、早いうちに気づけただけでも私は幸運でした。
“自営業は自由業”ということですが、それは自分の生活リズム・予定は自分である程度融通が利くということです。
1日フルに朝から夜まで頑張って、次の日は何もしない、という生活もできます。
それは自営業なら当然のことですが、どこかの企業の一社員では無いため、自由に他社で仕事ができます。
近年は副業、複業と言われるようになりましたが、それよりもっと自由に動けます。
なぜなら副業は普通に会社員をしていて、夕方からの時間、もしくは休日を利用することが多いからです。
自営業の場合には先述の通りで、自分のさじ加減次第でもっと自由に働けます。
今やっている事業が夢の実現のために始めた仕事だったとして、他にもやりたかったこと、憧れていたこと、楽しいこと、それをやっても良いのです。
私も実際に地元の2社にお手伝いで時々行きますが、書道家という枠組みに縛られることなく、幅広く仕事しています。
また他社で働くことで自分のネットワークが広がっていくのが実感できますし、それが仕事にも繋がっているのも事実です。
どうしても従業員・正社員として働くとなると人間関係等色々大変なことがありますが、バイト・お手伝いの身ならそれほど気が重くありませんし、自分に合わないと思ったなら簡単に辞めれば良いのです。
私は書道家という事業をしている身ですが、「書道家がこんなことするの?!」という力仕事も結構します。
それは静かに内職ばかりしていると人間的に弱ってしまう、自分の中でも何となく不安があったからというのもあります。
また一人で書道だけを主に仕事をしていても変になってしまいそうですし、個人事業主として「もう誰かの下では働きたくない」と意地を張っていても、考えが偏ってしまいそうな気もしたからです。
以前いた会社にはあまり仕事が好きで、楽しんで仕事をしているような人はあまりいなかったように思いますが、書道家として独立起業してから様々な会社の経営者や従業員の方々と触れあっているうちに、世の中には自分の仕事を愛して、楽しみながら頑張っている人がそれなりにいることを知りました。
日本には「一度就職した会社には極力いたい」「一度転職したら転職を繰り返しそう」「転職したら給料が下がる」「周りの人に申し訳なくて」などという考えが多いようです。
でもどうなろうと“自分の幸せとは何か”ということを真剣に考えた時に選択肢は絞られるはずです。
そこにはエゴイズムも必要かもしれません。
良いお給料を頂くことも理想の一つかもしれませんが、お金では意外と人は満たされません。
できることなら裕福ではなく、幸福になりたい。
そう考えた時に、自分のやりたいことは何なんだろうか。
人生のほとんどを仕事のために生きていかなくてはいけない世の中で、その仕事の時間を楽しく生きていくための手段を真剣に考えていく必要性があると言えます。
2018年6月書道家として肩書きも、知名度も全くないところから事業を始めた私。
ホームページ編集ツールや画像加工ツール(Photoshop、illustrator)の使い方も分からない状態でした。
最初の事業は筆文字Tシャツ、筆文字スマホケースのネット販売でしたが、予想していた通り最初からあまり売れずにいました。
(まともに販売を始めたのが8月後半だったのもある)
その後北海道胆振東部地震チャリティーの企画販売や、佐久全国臨書展での最高賞天来賞の受賞と今の師匠である石飛博光先生との出会い。
2019年に入ってからたまたまInstagramに投稿した「誠」の字が東京都日野市の新選組グッズに使用されたり、楽天からのスカウトで楽天市場に出店したり、新元号【令和】の発表後10分でYouTubeに動画を投稿して新聞記事になったり、となみ夜高まつりで大行燈に字を揮毫したり、個展を2箇所同時開催したり、日本三霊山立山雄山山頂雄山神社に看板奉納登山をしたり、ラジオ番組に招待されたり。
事業を始めてから1年半で一気に活動が広がりました。
また裏では有名テレビ局から番組取材、世界的イベントでの書道パフォーマンス、全国的飲食チェーン店からの依頼がありつつも実らなかったものもありました。
総じて言えることは、今もずっと成長段階にいるということです。
事業を始めた頃から「この事業はずっと良くなり続ける」と信じてきました。
良くするには常に動き続けないといけないし、ある程度は運も必要です。
不思議なことに私はそれほど営業的な活動もしてきませんでしたが、自然と思ってきた理想とする書道家の姿に近づいてきました。
それは事業を始めた頃から蒔き続けていた種が長い時間を掛けて花を咲かせ始めているからです。
また、良いタイミングで良いご縁があって、良い方向に導いてくださったことが大きいです。
ご縁というのは自分の力では致し方ないようなことのように思えるのですが、書道家として事業を行っているうちに
「頑張っていれば自然と良いご縁を導くことができる」
と思えるようになりました。
“どうしてこの人はこのタイミングで自分の目の前に現れたのだろう”
ということがよくあります。
その都度、そのご縁をご縁と感じ、チャンスとして捉えることができているのが私の強みかもしれません。
もちろんこのようにして書くと、「ずっと上がり調子なようで羨ましいね」って思われる人もいるかと思いますが、裏では色んな困難に出くわしています。
個人事業主は一人で仕事をしている関係上、どうしてもその悩みを一人で抱えることが多いです。
誰かに相談したとしても、結局は自分が一番悩むことになります。
「これからどうすれば良いのだろうか・・・。もう駄目かもしれない」と思った時に限って、自分の闇を照らし出す明るい話が出てきます。
これは非常に不思議なことなのですが、この1年半何度もそれを繰り返して前に進んできました。
大きな事業をしている人から見れば小さなことなのかもしれないですが、等身大の事業を行っている身としては大きな感動なのです。
若い頃は「大きな会社を作りたい」と思っていた私ですが、雇用をすることが前提で、組織として動くイメージが強かったようです。
最終的には小さい規模で良いと感じ、一人で起業し、書道家として一人で仕事を受けています。
一人で良かったなと思うことは物凄く沢山あります。
それは自分の想いを素直に仕事に反映させられること。
そしてその想いのつまった仕事を体感、商品を手にされた方々から喜びのお言葉を直接いただけること。
これが本当に嬉しくて楽しいです。
書道家という仕事は自分の手でオリジナルのものを生み出す仕事です。
それは自分以外の人には代えられないものです。
それだからこそ自分を選んで頂いた時に自分という存在を肯定することができるし、感謝して頂けた時に生きがいややりがいを感じます。
世の中には“書道家”と名乗る人は沢山います。
私より経験豊富で実力も素晴らしい書道家が沢山います。
ネットの中だけでも沢山います。
そんな中から自分を見つけ出して、お仕事の依頼を頂いた。
好きなことに一生懸命取り組んだ結果、お客さんに喜んで頂けた。
これが幸せと言わなくて何が幸せなんだろう、と思います。
それだからこそ土日祝日構わず毎日仕事でも全然苦にならないし、収入が少なかろうと心が満たされていることがどれだけ幸せに結びついているのかよく分かります。
正直なところ起業は多くが失敗します。
その多くが資金不足で終わっていくと言われています。
会社員をずっとやっていた人でしたら貯金や退職金を当てにして起業しようと思われるかもしれません。
しかし会社員を長くやってきて、退職して事業を始めるとなると知らず知らずのうちに支払っていた年金、社会保険料、税金他の費用が物凄い負担に感じられるようになります。
すぐは前年度の収入をもとにして税金が引かれていくわけですので、無収入であってもどんどんお金が無くなっていきます。
正直なところ「生きていることは罪だな」と感じたわけですが、他の同じ経験をされた人も同意見でした。
そうして息をしているだけで貯めていたお金も大方無くなってしまいます。
起業する前、会社経営者の方から「起業するなら3カ月は無収入でも食べれるようにしておきなさい」と言われました。
道具さえそこそこ揃えていれば初期投資の少ない書道家という仕事であっても地味に費用が掛かるものです。
個人的には3カ月でも良いですが、半年以上の余裕があった方が精神的に楽なように思います。
だけど半年何もしなくても食べられる貯金をするために、起業前の自己投資を怠ることは駄目です。
私は起業前の数年間は、意識して自己投資と浪費を見極めて行動していました。
会社員をしていれば安定的に給料は頂けるわけなので、その時に自己投資を出来る限り行っていき、起業に向けての準備体操をしていくことが大切だと思います。
また、先ほどの経営者の方に、
「もし藤井さんが起業するとなったら今乗っている車(当時はインプレッサ)も、好きでも手放さなければならない時がくるかもしれない。そういう好きなことを犠牲にしてでもやる覚悟が無いと起業は難しいよ。」
と言われました。
当時、自分には取り柄は車しかない状態でした。
しかし最初から覚悟はあって、車を購入する前から“万が一のことがあっても売った時にお金になる。資産としての価値のある車を”と思って購入したのがインプレッサでした。
実際に、インプレッサは手放しました。
小さい頃からの憧れの車で、この車で成し遂げたいことも沢山あっただけに色んな想いがありましたが、それも書道家として事業を存続させていくためには仕方ないことでした。
会社員生活3カ月目にして260万円で購入したインプレッサは5年ローンで、会社員時代に完済していたのですが、7年半で7万キロほど乗って120万円で売却しました。
そう考えると非常に良い買い物であったとも言えます。
(一部の車好きからは非難されそうですが・・・)
書道に関しては特殊ですが、書道家として起業し、事業を行っていくには結構厄介な障害が沢山あります。
どうしても誰かのところで習っていると師弟関係というものがあります。
弟子が表に出ること、目立つことを良しと思わない人が多いのが実のところ。
(嫉妬ってやつです)
また師弟関係になくても、ちょっと知っていたりすると「若いやつが生意気な」と思うそうです。
「何十年も書道やっている人でも滅多に成功することの無い厳しい世界なのに、書道で食べていけるとでも思っているんですか?」
という言葉も何度も聞いてきました。(定型文として存在するんかいな)
でも書道家として仕事をやってはいけない理由など無いのです。
周りの書道に関係ない人からすると単純に変な業界です。
そもそもは趣味として始める人がほとんどの世界なわけです。
趣味として始めて、色んなくだらないことに心を一喜一憂させられて、それは一部の勘違い権力者のエゴでしかないと思うのです。
純粋に【やりたいならやれば良い】それに尽きます。
やりたいならやれば良い、でやってみて、駄目だったなら駄目だったで自分に返ってくる話です。
何でも否定してくる人には関係ない話。
あなたの人生はあなたのもの。
後悔の無いようにしたければ、自分の信じたい道を歩むことです。
好きなことで食べていくためには綺麗事だけを言っていても上手くいかないのも現実です。
人は好きなことをするために稼いでいるのが世の中の常識のようなものですので、どうやって収入を確立していくかということも、一家の主となる男性が起業する場合には特に大切になってきます。
収入というのは固定的収入と変動的収入に分けられると思います。
固定的収入とは毎月安定して得られる収入のこと。
変動的収入とは、不定期に入ってくる収入のこと。
私はこの固定的収入を後回しにして、変動的収入を事業立ち上げ時に重視しました。
この変動的収入の対象に入るのが筆文字商品(=筆文字Tシャツ、スマホケース、命名書、表札等)のことです。
これはインターネットでの商品販売をする時に先行して行っておかなければ、後々作業時間を作ることができず時間を苦労することが見えていたからです。
よく「インターネットを使えばモノが売れる」と簡単に考えている方がいらっしゃるのですが、インターネットの世界はそんなに甘い世界ではありません。
例えカッコいいホームページを持っていようと、良い商品を持っていようと関係ありません。
楽天市場・ヤフー、Amazon等のショッピングモールに出店していようと同じです。
当然無料で出店できるBASE、minne等のショッピングモールは更に大変です。
出店料や手数料の少ないショッピングモールは集客力に欠けるため大手と比べた時に、人のあまり住まない山奥に出店するのと大都会で出店するような違いが生まれてきます。
インターネットの世界でモノが売れるためには他人には理解されづらいかなりの労力と時間を費やさなければなりません。
それを時間を掛けて私は行ってきて、結果が少し見え始めてから固定的収入となる書道教室の企画を考え始めました。
これもホームページを活用するうえでは非常に大切な戦術でした。
書道教室が何故固定的収入になるのかというと、“一度利用して終わり”という関係では無いからです。
大抵の方はある程度の期間継続されるものですので、人数がいればいるほど安定した収入を得られるようになります。
私のように書道の盛んな富山県で書道教室を行うとなるとライバルとなる教室が多く、そのような“安定収入”という言葉には程遠いのですが、最初は収益に結びつかずとも自分の勉強になることもあり、書道家として生きていくためにも大切なことだと思って始めました。
大抵の人はとりあえずブログを書いてみたり、SNSを始めたり、YouTubeに動画を投稿してみたり、ホームページを作ってみたりとしてみるのですが、これも有効に活用するためにはテクニックが必要です。
私も色々と教わりながら日々試行錯誤を繰り返してやってきました。
やりたいことも沢山ありますが、ひとり起業の場合は自分ひとりで何でもこなすことになるので実際にできることは限られます。
自分に合った方法を見つけ、ちゃんと効果を測定しながら活用していくことがインターネットを利用した事業に求められます。
この記事では起業に関して私が伝えたいことの半分くらいは書けたように思います。
良いことも悪いことも含めて起業。
それを体験できるのは本当に一握りの人間だけです。
もし自分で、自分の手で多くのことを動かし、変えて行きたいと願うのなら、この道はあなたに大きな可能性を与えてくれると思います。
男であっても女であっても、また年をとっていようと、若くても挑戦して欲しい。
「やる前から諦める奴は一番下らない奴だ」という言葉をプロジェクトXで聞いたことがありますが、本当にその通り。
できない理由を探しているうちは、結局はやりたくないだけ。
求められている、求められていない、そういうことも想像していても結局は始めないことには何も分からない。
とにかく動き始める。
そうして実体験をもとに答えを出していって欲しいと思います。
学校で起業や経営を教育指導している人がいても、実際に社会に出て、その身になった人にしか実情は分かりません。
起業のメリットもデメリットも実際に経験した人にしか、またその経験の中でしか語れないものです。
私が今回記した起業に関する話は、あくまでも富山県という田舎に住む一人の書道家としての起業のリアルです。
起業する人の立場・考え方、起業するジャンル、目指すものなどによって感じ方も大きく変わってきます。
起業を志している方たちにとって、この記事がお役に立てたなら幸いです。
書道家、作家を志している方にはこの記事もおすすめです。
【書道家、作家として直面する問題(売れない、著作権等)と解決方法】(2022年執筆記事)
【書道家のリアル起業。起業のメリット、アイデアの考え方などを紹介】
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