藤井碧峰
1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。
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書道家とか書家と名乗る方は世の中に沢山いますが、実際のところ字が綺麗な書道家、
手な書道家というのはほんの一握りしかいません。
もしかしたら『書道家』=”字が上手い”という印象をお持ちの方がいらっしゃるのでは?
残念ながら答えは違います。
テレビに出ている、ネットで上位表示される、本を出版している、Instagramのフォロワーが多い。
これはあまり指標にならなかったりします。
基本的には字を見てみないことには評価できません。
師匠は誰だったか、どんな賞を受賞したか、どんな資格・肩書きを持っているか。
これもあまり参考にならない指標です。
書き手の字を評価するものは、その人が今書いている字そのものです。
先日『書道家の「南無阿弥陀仏」掛け軸』という投稿では、6年前に先生に書いてもらった「南無阿弥陀仏」の字について触れました。
”良い書とは人の心を動かすもの”とは常日頃から感じることですが、6年前に先生が書いたその1枚は自分の体が痺れる感覚を味わった最高の字でした。
しかし、私は感覚的に字の綺麗・汚い、上手い・下手を判断できるのですが、それも一般の方には書道は身近なものではないので判断するのは難しいと思います。
難しいことを話ししますが、字が綺麗であることは字が上手いということではありません。
これではワケが分からなくなると思うので、とりあえず字が綺麗とは何なのかについて話します。
書道の基本は楷書にあり、字が綺麗な人は楷書が上手です。
(以前書いたブログ「書道における楷書の難しさ」もどうぞ)
これは行書を書くにしても、良い行書を書ける人というのは楷書が上手いと感じることがよくあるからであり、形をしっかりと作れることが字の綺麗さに繋がっていくからです。
こちらは欧陽詢「九成宮醴泉銘」の臨書です。
書道家と名乗る人が上手いかどうかは、この「九成宮醴泉銘」がちゃんと書けているか見れば、その書道家の腕前は自ずと見えてきます。
何故か?
単純に直線を引くことは難しいからです。
また絶妙なバランス感覚で書かれている楷書なので、書き手のバランス感覚も大切です。
上手な人の九成宮醴泉銘は線に伸びやかさがあり、キレがあります。
九成宮醴泉銘は絶対的に原本が美しい古典ですので、これを忠実に臨書(真似)できるかどうかは書道家の腕を見破るのにピッタリです。
実際のところ私の身の回りでも綺麗な字を書ける書道家(もちろん上手くもある)というのは、九成宮醴泉銘が書ける人です。
これも事実、字が綺麗な人、上手い人は性格的に非常に細かいです。
実際のところ北海道胆振東部地震チャリティーのメンバーは細かいです。笑
なかなかデザインの編集の際にOKを頂けなかったのですが、とにかく細かい!
細かいという言い方をすると良くないですね。
こだわりが強い。
本当に細部まで気にされます。
私なんかは『神経質』とまで言われたりします。(ひどい話ですこと)
そこまで気にする人でないと、九成宮醴泉銘はそれなりに書けないのも事実です。
こちら去年の5月に書いた九成宮醴泉銘。
駄目な点が一点あります、どこでしょう?(もっと細かく見れば更にあります)
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
矢印箇所の「之」と「氣」の間合いが広すぎることです。
これを他の書道の人に言ったら、「細かすぎだ」と言われました笑
でもこうして作品の質というは高めていくものなんですよね。
こちらは8月に書いた九成宮醴泉銘。
(写真の撮り方が良くないので斜めって見えます)
空間をちゃんと適正にすると、良い感じに見えます。
私の細かいエピソードで言うと昨日もこんなことがありました。
「しらゆきのともにわがみはふりぬれど こころはきえぬものにぞありける」
高野切第三種という仮名の名品を書いていたのですが、なかなか思うように書けずこの1枚仕上げるために4時間半掛かったりなんかしました。
しかもこれは課題作品ではありません笑
単純に自主練習で書き始めた1枚でしたが、自分で自分の性格に苦しめられました。
そもそも小さい時からそんな感じで、ずっと一人で残って書道教室で練習してました。
それが蓄積されて今に至ります。
学生時代、学校での授業でもノートを取ったりするわけですが、自分が書いた字が汚いと次に進めないという子でした。
そんな理由でノートを取るのが遅い子に・・・笑
↑の字なんかも九成宮醴泉銘を臨書しているわけですが、Instagramでお友達から依頼されて書いたものの、妥協できなくて1時間くらい、30~40枚ほど書きましたかね?
もちろん最初の字と↑の字はそれほど大差ないのですが、細かい点を追求するとこうなります。
性格が細かい&神経質アピールしているような記事になってしまいましたが(笑)、『字が上手いということは自分の字を細かく見ることができる』ということでもあります。
人に習おうと独学であろうと、この自己管理ができずして成長はありません。
とにかく細かく、妥協しないこと。
これが書道家にとって最高の書、最高の字を書くときに大切にすべき点です。
そして綺麗な字を書きたいと考える人にとっても大切です。
では「字が汚い人とはどういう人か?」というと、
・大雑把な人
・妥協する人
・こだわりの無い人
という感じでしょうか。
これは性格なのでどうしようも無いのですが、書道というのは字を綺麗に書くことだけが書道ではないのでそんな方にも書道はおすすめです。
↑の「破壊」のように、単純に思い切って書くことも書道の楽しい点です。
ストレス発散にもなりますし、自己表現のツールとしての書道は楽しいですよ!
お客様に商品をお届けする書道家、筆文字デザイナーとしては、もちろん字が綺麗である前提で仕事をしていますが、それも常日頃の鍛錬があり、その都度の熱心さがあってのことです。
私においては性格的に妥協できないことが商品の品質の良さに繋がっておりますが、できることなら字に関心を持つ方が増えて、綺麗な字を書ける人が増えれば良いなと思います♪
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【藤井碧峰書道教室】(https://original-sho.com/jetb/blog/2813/)
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