藤井碧峰
1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。
INFORMATION
5月1日から5月31日まで開催させていただいておりました、北陸銀行砺波支店における「藤井碧峰書作展」が無事終了いたしました。
わざわざ現地に足を運んで作品展を見て頂いた皆様に心より感謝申し上げます。
実際に見に行かれた方からは、「今回の展示は今までと雰囲気変わったね」とのコメントをいただきました。
狙ってそうしたわけでもありませんが、この展示の場は単純にその時その時の想いをぶつける場であって、今の自分の生き様がそこに現れたのかもしれません。
一般の方が多く出入りする場に飾るうえでは、結構攻めた内容であったのは間違いありません。
でもそんなことは置いといても、見た人が心の豊かになれる場にしようと努めた作品制作でしたね。
今回お越しいただけなかった方のためにも展示作品の紹介をいたします。
毎回の作品展と同様、展示作品の販売をしておりますが、当方の想いもあり価格はあえて提示しないことにしております。
お手数をおかけしますが、気になった作品があった場合には、お問い合わせフォーム等にてご連絡をお願いいたします。
商品ページの作成は後々行いますが、一品モノでありますので商品ページの有無にかかわらず連絡した者勝ちとなります。
ご理解の程よろしくお願いいたします。
【第一義】(220x70cm)
<意味>第一に行うべき道。究極の真理。本質的で最上の価値あること。
義の武将、上杉謙信の育った林泉寺にも掲げられている字。
自分自身、起業当初より「義」と「誠」の精神を大切にしてきた。
仕事をするうえでも、人として何が正しいのかを常に考え、世に問いながら実行してきたつもりだ。
そうしていれば周りがとやかく言おうと気にならない。
何をするかより、人としてどう生きるかを大切に。
3月に師である石飛博光先生の個展【律動する書】を見に徳島県立文学書道館へ行った時の感動から、「もっとスケールの大きなこともしないと」と思って勢いで制作したパネル作品。
「第一義」は2月に新潟県上越市の林泉寺に行った際に、自分の大切にしてきたことはこれだなと感じて、書きたいと思っていたもの。
林泉寺のものは横書きで、この作品は縦書きということで”一”の字が非常に困った存在だったなど、色々な苦労があったがお気に入りの作品になった。
【おかげさまで】(39x36cm)<売約済>
何事も一人で成し遂げることは難しく、知らず知らずのうちに誰かの助けがあるもの。
だから”おかげさま”という気持ちを忘れたくない。
決して自分本位になってはいけない。
生かされて今があるという現状に感謝する他ない。
【敬天愛人】(43x40cm)
<意味>
天を敬い人を愛すること。
我々の生きる道とは天から与えられたものであって、人はそれに従って生きているのだから、まず天を敬うことが必要だ。
天は他人も自分も同じように愛するのだから、自分を愛するように他人を愛すべきだということ。
ここ数年、オーダーメイド制作のご依頼で度々書かせていただいている言葉。
西郷隆盛(西郷隆永)の言葉として有名だが、彼が書いた字に流されることなく、意味に応じて書いたつもりだ。
自分が小さい頃から持っている筆のタッチが自然に表れた作品のような気がしている。
【龍徳】(60x45cm)<売約済>
<意味>すぐれた徳
今回の作品展示は、これまで意地でも展示してきた楷書の作品を飾らず、隷書作品3点(手書き表札を含めて)を飾るという暴挙?に出た。
隷書は書ける分には書けるけど、「何で自分が書くのか?”」という視点で見た時に、楷行草ほどの有意義さが見えなかったため、これまであまり出さずにいた。
この龍徳に関しては、出したい表情、いわば味付けとなるところが明確であったため、それを追及して何度もやり直しながら制作した。
【どんな一瞬にも意味がある(自作)】(35x45cm)
独立起業して5年間歩んできて思うことは、ほとんど無駄な瞬間が無かったということ。
ぱっと見マイナスにしか捉えられなかったことも、今では栄養になっている。
何事も捉え方次第で自分の成長に活かせる。
だから多くの出来事に運命を感じて大切にすることができた。
【端直】(30x40cm)
<意味>心や行いが正しくまっすぐなこと。
周りの評価は都合よく変わるが、自分の根底にある考えは変わらない、ぶれない。
とにかく物事における原理原則に素直に向き合ってきたことが、ここまでの良い風を起こすことができた要因のように思う。
如何なる時も自分の本心に嘘はついてはいけない。
それが多くの人々の心を射止めるほどの確かな意義ある思いであれば、きっと大きな力を得ることとなる。
【オリオンの真下春立つ雪の宿(前田普羅句)】(45x35cm)
俳句と言うと松尾芭蕉、種田山頭火といった有名な俳人がいるが、富山で詠まれたものは何故か少ない。
ずっと探してきたなかで前田普羅という富山に移住して、県内各地の自然風景を詠んだ俳人に出逢い、この句の見せる世界に惹かれて書きたいと思った。
普羅の俳句には自然の壮大さ、その風景を想像させる感じるものが多く、これからも取り上げてみたい。
【臨 褚遂良 「枯樹賦」】(190x60cm)
<釈文>「東海有白木之廟西河有枯桑之社北陸以揚葉爲關南陵以梅根作冶小山則叢桂畱人」
<意味>(天来書院「枯樹賦・文皇哀冊 褚遂良」の現代語訳より引用)
東海には白木でたてた廟が有り、西河には枯れた桑でたてた土地神をまつる社が有る。
北陸には揚葉という名の関があり、南陵には梅根という名を冶(鋳銭のところ)とする。
小山ではむらがりはえた桂のもとに人を留める。
毎年恒例の古典臨書作品の掛軸だが、多くの人が好きだと言ってくれる枯樹賦を書いた。
書においては意味云々もそれなりに大切だが、まずその作品の持つ表情、雰囲気を感じ取っていただきたい。
私にとってこの古典は、書くたびに”わびさび”のようなものを感じる存在である。
この枯樹賦によって、起業時には見えていた大きな壁を取り払うことができた。
自分の見えていた景色が間違いではないと感じることもあった。
やはり何だかんだ言って、自分にとっては特別な存在と言える古典である。
【星降る夜森の巨人達を横目に歩く美女平(自作)】(50x50cm)
4年前より自分の目で見た世界や経験を言葉にするようになった。
今回の詩は奉納登山の際、真夏の星降る夜中の2時頃に暗闇の美女平で、ヘッドライトで周囲を照らしながら立山杉の寝顔を横目に足跡を刻んだ時のことを書いたもの。
当初は詩を書くことも恥ずかしい感じがしつつも、起業時より自分の言葉を自分で表現することが貴いと感じていた。
書家として誰かの言葉をお借りして書くのは誰にでもできるが、己のなかから湧き出るものについては他の人にはその心境には完全にたどり着けない。
藤井碧峰だけのものを創り上げていくためにも大切なことだと感じている。
【蕩蕩】(40×37cm)
<意味>おだやかなさま。ゆったりしたさま。
字典か何かでこの字を見た時にこの作品の完成形の雰囲気が想像できて、書きたいと思って書いたもの。
色紙に1字と見せかけて2字書きだが、落款の位置も含めてなかなか考えさせられた作品。
一番にはこの線質が奥深くて大変だった模様。
【誠者天之道也(「礼記」中庸より)】(170x50cm)
<意味>至誠は天の道である。人間は努力して私欲を除き、誠を我が身に実現する必要がある。
なかなか難しい字面の言葉を選んだ。
我が事業も6月で5周年を迎えることとなり、今回は起業時から大切にしてきた想いを、泥臭くも純粋に盛り込んだ。
そのなかで「誠」と「義」の字は外せないというところで、単純に1字書というのも微妙だなと言うことで、辞典を調べていたところこの言葉に自分の考えが表れていたので書くこととなった。
先の『蕩蕩』と同じく、最高級の羊毛筆で書いたもの。
この手の繊細な渇筆の作品は特に実物を直接自分の目で見ないと、その良さが分かりにくいかもしれない。
【盡(尽)】(90x90cm)(売約済)
<意味>きわめる。すべてを出す。だしきる。
「人事を尽くして天命を待つ」と時に言うが、結果がどうなるかは運任せだとして、それまでは徹底的に自分のやれることを”これでもか”という気持ちでやり抜くことが大切なように思う。
以前より書きたいと思っていた字ではあるが、正方形の紙に書くにはなかなか難しくて今回改めてトライした。
経営者としても挑戦者としてもこの一字は大切にしたい言葉で、友人が起業した際に名刺を制作した際にも、この一字を入れてあげた。
【信じた道をゆく(自作)】(45x35cm)
生きていくうえで様々な道があるけど、進める道は何時でも一つ。
行く道を決めた段階でははっきりと正解か失敗かは分からなくて、その道を正解にするために、自分を信じて徹底的に努力する他ない。
「どんな一瞬にも意味がある」と同様、ポップなフレームの額を使用し、若く前向きな気持ちを表現した。
結構書作品でこの手の明るい色のフレームは使いにくいこともあるが、自分の字の場合は書き方によっては合うことが分かっている。
現代の生活空間に馴染むような書作品づくりを意識して、今後も額選びを大切にしていきたい。
【「川島」表札】(15x15cm)
最近時々作る正方形表札。
お客様のご要望から生まれた商品ではあるが、地元の知人主体でお求めいただけたことで、実際の取り付けた雰囲気も確認できて、尚更自信もって送り出せることとなった商品。
洋風の家に合わせられる材料と字は少ないなかで、他の誰が真似しても絶対に勝てない唯一無二の表札を作ったつもりだ。
今回は大きな作品4点で目を引きつつ、他は小さめの作品を並べることになりました。
それも最近では詩文書作品(漢字かな交じり書)が半分弱くらいあったものの、漢字と詩文書の比率が9対5ということで漢字比率を高めました。
それだけで結構雰囲気は変わるのですが、やはり起業5周年を6月に迎えるにあたって、元々自分が漢字作家であるということを意識したというのが、その比率に現れています。
初めての銀行展示の時から『自分にしかできない地域貢献をする』という大義のもと、相当身を削ってやっていますが、実際にはほとんどの人は興味が無いという現実を目の当たりにしてきました。
でも求められていないところに行って戦うのが挑戦者として良いな、といつも思ってます。
実際それで書や起業に興味持ったり、違う視点が持てた、価値観が変わったという人が沢山いて、それは非常に価値があることだと感じています。
例えみんなが嫌だ、見たくないと拒絶しても、「伝えたいことがある、見てほしい」と言って、一人でも興味無い人を振り向かせるのが自分の仕事です。
個展というのは興味のある人が来るので、どうしても書道関係者や知人友人が見る対象になってしまいますが、あえて銀行で作品を飾り続けることの意味は一般の方々へのトライとなり得るのです。
もちろん藤井碧峰書道教室の生徒さんからは、「平日のその時間に見に行けない~。土日にやってほしい。」という声を頻繁に聞きますが笑
自分の銀行での作品展示は他者の喜びのために行うものであって、その考えは極めて独特と言えるかもしれません。
一人だからこそできるという風にも捉えられますし、経営者だからこそそう考えられるというものかもしれません。
貴重な場を提供していただいているのだから、その場を誰よりも有意義な使い方をして、一人でも多くの人に何かを感じ取っていただける機会となるよう、今後も展示活動に励んでいきたいと思っております。
次回の展示は7~8月にけんしん(富山県信用組合)出町出張所での展示になります。
その際にはこちらの投稿にてご案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。
過去2年の銀行ロビー展の作品紹介はこちらにまとめられておりますので、是非ご覧くださいませ。
「富山県信用組合出町出張所【藤井碧峰書作展】2022作品紹介」
「北陸銀行砺波支店【藤井碧峰書作展】2022作品紹介」
「北陸銀行砺波支店藤井碧峰書作展2021作品紹介」
「けんしん藤井碧峰書作展2021作品紹介」
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