競書誌書作 新春書作誌上展にてグランプリに
臨褚遂良「文皇哀冊」
競書誌書作の新春書作誌上展にてグランプリに選んでいただきました。
一昨年に書作の師範資格を取りまして、10年近くマメに半紙作品を提出していた成果が出たのか、漢字師範のランキング2位に掲載され、今回の出品の対象になっていました。
という書き方だと分かる人にしか分からないということで、少し説明を。
こちらは昨年写真掲載掲載されていた欧陽詢「九成宮醴泉銘」の臨書作品なのですが、1年を通して半紙の臨書課題を提出し、師範の人は毎回順位がついてポイントが付く仕組みです。
写真に載るような作品ならポイントが沢山頂けるということですね。
誌上展は
・自由課題(臨書・創作どちらでも可)
・近代詩文書
の2点を出せるとのことでしたが、書く時間も極めて少ない中で、ウケを狙うわけでも無く、ただ書きたい古典を選びました。
文皇哀冊は、自分自身が2014年秋頃に地元競書誌の課題で書き込んで、今の書き方のベースを作った特別な存在です。
これが当時の作品ですが、見ると癖だらけですね・・・笑
この課題が写真に載ってから色々と良い波に乗れたと感じていて、定期的に書いて振り返る古典です。
そんな古典の臨書作品で、いつも通りの向き合い方で、自然体で数枚書いたものから選んだ1枚がグランプリに選ばれたことを有り難く思います。
過去にはこんな感じの文皇哀冊の臨書作品が競書誌で写真掲載されたことがありました。
単純に臨書が上手くなれば写真に載る機会が増えるのは事実です。
この本を通して多くの人に知っていただけて、今回もInstagram他で沢山コメントを頂けて嬉しく思っております。
一方で自分は書道家として生きていまして、特に古典に根ざした正統派の書を大切にして生きているが故に、普段の古典臨書を仕事で役立てることを非常に大切にしています。
例えばこの中野地区除雪センターの木製看板は、まさしく文皇哀冊の雰囲気を表したもの。
菓子処あら木さんの「宗豊」の掛け軸も、文皇哀冊を意識して書いたタッチのものがお店に掛けられております。
今の書の世界に求められるような、パッと目に入るような、目に刺さるものは書かないかもしれません。
いつも書くものは地味であったり、トータルバランスを求め、佇まい、品の有り方を考えたものです。
割と狙いがあって、写真版で他の人の作品と並んだ時にどう見えるかが(自分との)勝負のポイントとなっています。
書作は10年前に出合いましたが、幅広い古典に出合える素晴らしい本だと思います。
特に金子鴎亭先生の参考作品を多く目にしてきたことが、自分の書に一番影響を与えてきました。
沢山の古典と向き合うなかで、自分の書を創り上げていくことが大切でたあるといったことを、金子鴎亭先生や天来門流の先生方は伝えられてきましたが、この本の構成がそれを教えてくれている気がします。
今後も古典をベースに書を学び、マイペースに地道に歩んでいきたいと思います。
この度は良い機会をありがとうございました。