藤井碧峰
1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。
INFORMATION
5月2日から6月1日まで開催させて頂いておりました、北陸銀行砺波支店における「藤井碧峰書作展」が先日無事終了いたしました。
わざわざ現地に足を運んで作品展を見て頂いた皆様に心より感謝申し上げます。
今回お越しいただけなかった方のためにも展示作品の紹介をいたします。
毎回の作品展と同様、展示作品の販売をしておりますが、当方の想いもあり価格はあえて提示しないことにしております。
お手数をおかけしますが、気になった作品があった場合には、お問い合わせフォーム等にてご連絡をお願いいたします。
商品ページの作成は後々行いますが、一品モノでありますのでご注意ください。
【意】(70x70cm)
<意味>気持ち。思い。
毎回この場所で大きな一字書を展示していますが、今回は世の中や身の回りに翻弄されることなく、純粋な、ありのままの自分の気持ちを大切にして歩みを進めることが、いかに意味のあることかを活動を通して実感してきた一年であったため、この字を選び書きました。
【やるなら最後までやり通せ(自作)】(35x46cm)
4年前の6月20日に起業した時に強く誓った言葉です。
その時はまだ「仕事辞めた」なんて近しい人にも言えずにいました。
【退路を断つ】と時に言いますが、どことなく自分のなかにも重々しい空気が流れていました。
それなりに長く生きていれば誰でも勝負の時が訪れます。
その時に逃げ出すことなく自分自身を賭けられるか、自分を信用できるか。
これがなかなか難しいことです。
挑戦する時には周りの人から色々言われ、上手くいくようになれば調子の良いことを言われるものです。
そんな他人の言葉の数々に気持ちを左右されてはいけません。諦めたらダサい人になってしまう。
だからやるからには必ず結果を出す気で、高い志をもって挑戦をしたい。
そういう志だけは、今も4年前も変わっていません。
ただの字書き屋と思われたくないし、この歩みのなかでもっともっと大きくなっていかなければなりません。
【雨洗風磨】(27x24cm)
<意味>風雨にさらされながら、苦難に耐えて修行をすること。
目の前に起こる事象の数々は時に受け入れがたいこともあります。
それらの事象は前向きにも後向きにも捉えられ、自分が成長するために乗り越えていかなければならないものと思えば、それに伴う行動の質が良くなります。
厳しさの中で美しさは磨かれていくもの、と何度か聞いたことがあります。
書の道もそうなのかもしれません。
今も古典臨書という答えの見えるようで見えない道のりのなかで、自己研鑽に励む日々です。
【何も何も心配いらないよ every thing is all right because i love you 一番星に願うのは あなたのことばかり(♪北村瞳『一番星』)】(90x45cm)
<楽曲URL>https://youtu.be/orTpYZCQbig
我が子への無償の愛のうた。美しい景色に心が動いたとき、星に願いをかけるとき、いつでも真っ先にあなたを想っているという気持ちを曲にしました。(written by hitomi)
この曲と出合ってからというものの、どれだけ聴いたか分かりません。
本当に自分で歌えるほどで、自分のなかで見事にハマりましたね。
それだけにリズム感が完全に頭にインプットされている状態で、アルファベットという難しい存在と向き合いながらも曲の世界観を大切にして書き上げました。
普段こんなポップなカラーのフレームの額を使うことが無いのですが、北村瞳さんとのコラボで作品展示することを昨年出逢ってから約束しており、そんななかで行きつけの書道用品店にあったこの額を見て「一番星を書こう」と閃いて選びました。
マットを使う、使わない、という選択肢があるなかで、あえて朱墨でラインを入れてみたらピッタリでしたね。
【素朴】(35x68cm)
<意味>飾り気がなく、ありのままなこと。
この作品が今回の漢字作品のなかでは一番の人気でした。
実物を見ないと本当の良さが伝わらないところではありますが、私がずっと研究してきた最も細微な高級羊毛筆での創作に挑んだことが、この書の持つ空気感を作り上げた気がします。
人間としても着飾ることなく、ありのままにいきたいものです。
今のところそうだと周りには言われるのですが、未来の私はそうでいられるでしょうか。
我儘ではありますが応援してくださる皆さま、どうかずっと見守っていてください。
【一生側にいても せいぜい数十年とても足りないな(♪北村瞳『産声』)】(24x33cm)
<楽曲URL>https://youtu.be/E3VzlCzzpbg
JA共済CMに起用中の「産声」の一節。大切な人と過ごす時間の愛おしさを歌っています。(written by hitomi)
富山チューリップTVとJA共済の共同企画CM「産声プロジェクト」にて起用されている曲で、我が家でも木曜日の20時40~45分ごろにTVを見ていると聴こえてきます。
北村さんと出逢った頃に周りの人にこのCMの話や彼女のFMとやまの「北村瞳の万華鏡days」の話をしたら、『あっ、見たことある!』『あー、金曜日の昼間に流れるが聞いたことあるわ』と、沢山の反応を頂きました。
そんな富山で有名人の北村さんと、私のような街中歩いていても誰にも気づかれない人が繋がれていることが不思議なのですが、それも運命という名のイタズラなのでございます。
この作品に関しては少し硬めの筆で横基調な感じで書きました。
私の属する会派では筆の選択肢が極めて広いので、こうして道具を使い分けながら、時に線質や書体を自由に変えながら、それぞれの言葉の持つ響きに合わせて表現を変えることができ、それは書き手としても見る側としても大きな楽しみです。
【臨 欧陽詢 九成宮醴泉銘【居高思墜持滿戒溢念茲在茲永保貞吉】】(138x35cm)
<意味>
高いところにいれば墜ちてしまうことを懸念し、満々たたえられた器を持った時は溢れはしないかと自らを戒められるのである。これらのことを常に考え行動されれば、永く吉祥を得ることになりましょう。
毎年古典臨書作品を掛軸にして展示しています。今回は書道家の多くがやりたがらない楷書の極則と呼ばれる古典、九成宮醴泉銘を書きました。古典臨書には書くための原本があり、それを真似て書きます。楷書は粗が目立つから飾るには勇気が要ります。自分も未熟ではありますが、正統派の書を大切にする書道家として最も大切にしている古典であるので、方向性を示すためにも展示しました。
【耀】(27x24cm)
<意味>かがやく。火が高くかがやく。
砺波の夜高行燈をイメージして、流麗ながらも力強く書きました。
となみ夜高まつりは今年6月10、11日に3年ぶりに開催されます。
そして、その開催場所が今回展示させていただいた北陸銀行砺波支店の前の道なのです。
私も起業した翌年には西町の行燈の字を書かせていただきました。(詳細はこちら)
夜高行燈は何か月も前から沢山の時間と労力をかけて制作され、その情熱は凄まじいものがあります。
これからも熱く、力強く砺波の街を盛り上げていただきたいです。
【澄みきった高志の青空に明日は輝く(自作)】(46x35cm)
高志=北陸道の古称。高く優れた志。
気持ちよく晴れた日には澄んだ青空に立山連峰が聳えるこの富山の地において、人々は何度となくその美しい姿に魅了され、希望さえ感じます。
遥か昔、高志と呼ばれたこの地で生きた我々の先祖も、この景色を見て生活を営み、今の我々へと繋がっていることを想うと、どんな険しい道も乗り越えて行ける気になれます。
この地に生きる者として故郷をイメージして紡ぎ出した言葉を気持ちを込めて書き、イメージに合う額とともに仕上げました。
【清雅】(33x24cm)*売約済
<意味>清らかで上品なこと。
表向きにあまりしない淡墨作品です。
墨を薄めると綺麗な滲みが出る、とは間違いで、良い色の出る墨を選ぶことも大切ですし、墨に合わせて適した硯を使ったり、適した紙を使っていくこと等が求められます。
そのうえ何でも滲ませれば良いというわけでもなく、今回はそんな技術をひけらかすものではなく、シンプルに言葉の意味に合うように意識して書いてみました。
書道をしている人にウケることより、一般の方に楽しんでいただけること、関心を持っていただけることが、この銀行ロビー展における一番の喜びですからね。
【想い 悩み 笑い 泣く君は 素敵だよ(♪北村瞳『home』)】
様々な感情を肯定して、懸命に生きる人たちを励ますつもりで書いた一節です。(written by hitomi)
この歌には人種、老若男女問わず誰もが持つ感情への肯定感があり、きっと多くの方に届く言葉だと思い、そんな表現を心掛けました。
【仁慈隠惻造次弗離節義廉退顛沛匪虧(千字文より)】*売約済
<意味>
人を思いやり、子を慈しみ、他人の不幸に心を痛める。慌ただしく落ち着きのない時でも、その心がけから離れてはならない。
節操・道義・清廉・謙虚。これらはつまづいて慌てたような時でさえ、欠けることのないようにせよ。
いつも意地で1点は書く楷書作品を、今回は2点飾りました。
ずっとこのブログ投稿を見てくださっている方にはご理解を頂けていると思うのですが 、とにかく楷書を大切にしてきました。
楷書は作品にならない、と言われますが、楷書には楷書の良さがあり、楷書でないと伝えられない空気感、文章の説得力があると信じています。
【「藤井」表札】
ここ最近は作品展示で手書き表札を展示しており、今回は自らの名字である「藤井」と書きました。
これには想いがありまして、私が日々沢山の手書き表札を手掛けているわりには、自分の家に木の表札が似合わず掛けられなかったため、この場で書いて気を済ませたかったということです。
極めて贅沢な場所の使い方でございます。
恐らくこの手の銀行ロビー展で多くの方は作品展(公募展)に出すような(出した)大きな作品を飾られる方が多いのですが、私のところでは一貫して生活空間に馴染む程度のものを展示しています。
それは『生活の書』と言うこともできますが、生活空間に活きる書の良さをこの展示の場を通して再認識していただければ良いなと考えております。
【迷ったら前進(自作)】
挑戦者として大切にしたいのは毎日1㎜でも前進し、成長し続けること。
現状に留まることなく、ワクワク感を大切にして選択していきたいものです。
思っていても実際には難しいことなのですが、倒れるなら前向きに倒れたいものですね。
今回は5月の開催ということでしたが、ここまでずっとひと息つく暇もないままいたのに、どういうわけか程よく時間が取れまして、お越しくださる知人の方々と極力銀行にご一緒させていただきました。
銀行の方からは「頻繁に藤井さんの背中が見えました」と言われたほどです。
この時間が生まれたのは、書道家としてそういう運命におかれていたからだと思います。
それは、とにかく現地に行って見た方の言葉、気持ちに寄り添って学べ、ということ。
そういう貴重な時間を過ごさせていただいたのが、今回の北陸銀行砺波支店での展示でした。
北村瞳さんとのコラボ作品展示は、彼女の持つ柔らかく優しい雰囲気が、この展示をより魅力あるものにしました。
藤井碧峰という作家は、基本的に自分で紡ぎ出した言葉を載せて詩文書作品を書いているということもあって、今回は住み分けしたうえで彼女の良さが光るように工夫してみました。
我々はたまたま砺波野に生きる同い年なのではございますが、これから更に多くの人に出逢って、知っていただいて、世界を豊かにしていけたら良いなと思っております。
今後もより自分らしく、砺波人らしく活動ができたらと思っています。
でも自分らしさ、砺波人らしさって何なのか意外と分からないものです。
それを知るためにずっと学び続け、沢山の人に出逢っていく必要があるのかもしれません。
次の展示までに、また多くの人に出逢って、そのなかで得られたことが作品になっていくのでしょう。
次回はけんしん(富山県信用組合)での展示になります。
またその際にはこちらの投稿にてご案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。
過去の銀行ロビー展の作品紹介はこちらにまとめられておりますので、是非ご覧くださいませ。
【作品展示情報】
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