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音楽と書道の関連性 -雰囲気の大切さ-

何がきっかけでその作品を好きになるか

先日ラジオの収録の時に「好きな曲を3曲選んでください」とのリクエストを頂き、3曲を選んでみたのですが、どれもが雰囲気から入って好きになった曲でした。

 宇多田ヒカル点と線  

私は宇多田ヒカルが「Automatic」でデビューした頃からずっと大ファンなのではありますが、好きになった曲はやはり雰囲気を持っている曲です。

一番好きな曲が中学生の頃に出た「Letters」という曲で、雰囲気が好きで気に入った曲なのですが、最初は歌詞の意味もよく分かりませんでした。

その後宇多田ヒカルの本「点」「線」を読んでいるうちに見えてきた感じで、ものすごく奥深い曲だなと感じた次第です。

さて、このブログをご覧になっているあなたは歌詞から好きになるタイプでしょうか?
それとも、メロディーなどの雰囲気から好きになるタイプでしょうか?

音楽を好きな人なら何かしらの傾向があるかもしれませんね!

書道もまずは雰囲気が大切

石飛博光先生門下グループ展 第21回飛鴻会書展|藤井碧峰 

書道をされていない、あまり興味の無い方はよく
「これはどういう意味なの?何について書かれている文なの?」
と質問されます。

こう聞かれた時に少しでも説明できなければ、書をやっているのではなく”線を書いている”と思われても仕方ないのでちゃんと説明する義務があります笑

(確かに書道は線の芸術ではあるが、字・文を書いているという感覚がなければ何でもありの、絵みたいな世界になってしまう)

特に漢字作品で字数が多いものは読めません。
何故なら漢文なので、今の中国人の方でも読めない人がほとんどかと思われます。

そうなった時に【雰囲気】を持っていることが、違いを出す際に大切です。

「義」書道直筆パネル作品
「寿」書道直筆作品(額付き) 「一期一会」書道直筆作品(額付き)

一つ一つの作品に雰囲気があること。
それは【趣】に似たものでもあるかもしれません。

漢字なら漢字で、その言葉の意味に合った表現をしていると、より多くの方に作品の想いが伝わるはずです。

これは作品展に合った作品作りにばかり熱心になっていると忘れ去られがちです。
目立つ、激しい作品ばかりが受賞してしまいがちなので、その危険性があるように思います。

これが近代詩文書(漢字かな交じり書)になった場合は尚更大切かもしれません。

「誰にも逢はない山のてふてふ」(種田山頭火)書道直筆パネル作品 「共に生きる」書道直筆パネル作品

「しばらくは花の上なる月夜かな」(松尾芭蕉)書道直筆パネル作品石飛博光先生門下グループ展 第21回飛鴻会書展|藤井碧峰

これは日本人が読める書、ということになりますので、まずジッと近くで見てから「字の意味が良いから好きだな」ということになりかねません。

『字の意味が良いから好きだ』
というのもある程度は大切なのかもしれませんが、私はあまりおススメできません。

それが全てだとすると、別に沢山の書道家がいる理由もありませんし、多彩な流派、会派が存在する意義もありません。
極論を言うと手書きではなく、印刷された活字でも良いという話になってしまいます。

それでは寂しいですよね。

なので、書を楽しむにはまずは雰囲気で感じ取って頂きたいなと思うわけです。

書道淡墨作品「破壊」滲み
↑は私が書いた「破壊」という作品。
いつもと違う自分を出そうと思って書いた遊びの作品です。

かつて、手島右卿先生が書かれた『崩壊』という作品は、外国人の芸術家の方が見て「何かが崩壊していく気がした」と感じ、その後に意味が「崩壊」であったことを知って驚愕したと聞きます。

やはり書というのは、書を通して何かを伝える芸術であるのでしょう。  

より良く伝えるために

私はいつも何かを伝える時の理想を、【シンガーソングライター】だと言っています。

彼らは自分で歌を作って、歌詞を書いて、それを自分で歌っているわけです。
想いを表現する際のことを考えると、これが理想です。

歌詞だけ提供するというのも悪いわけではありませんが、例えばあなたが書いた詩を作曲家の方が完全に意味も想いも受け止めて曲を作れますか?という話になります。

そう考えるとシンガーソングライターは理想に適ったことです。

もちろん技術力もセンスも問われる世界ですので、私がとやかく言うものでもありませんが、書道家として何かを伝えたいと考えた時に、極力何かからの引用は避けて自分の言葉で表現していたいなと思うわけです。

書道家 藤井碧峰作品集

それもまた文章力や語彙力など大変難しいことではあるのですが、是非やってみたいですね。

でも、それでも何かが足りないとなった場合には、絵を描いたり写真を合成したり・・・
何かしら表現の仕方はあるはずです。

いずれにしても【雰囲気】を創り出すことで、圧倒的に世界観が広がります。
1人の書道家として挑戦していきたいことです。

この記事の著者

藤井碧峰

1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。

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