藤井碧峰
1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。
INFORMATION
去年の4月に広島熊野筆の仿古堂(ほうこどう)さんにお邪魔しました。
ここには筆屋さんなので筆があるのはもちろん、巨匠と呼ばれた書道家の方々の作品もあります。
上田桑鳩先生の書いた「仿古堂」の字。
他にも比田井天来先生、金子鴎亭先生などの作品があり、見所たくさんです。
筆づくりの体験もできます。
私はここ数年、仿古堂さんの筆のおかげで一気に字が変わり、人生まで変わってしまったのですが(笑)、筆を作っている伝統工芸士の方、社長さんにもお会いすることができました。
自分の大好きな筆が生まれた場所に行って、作った方々にお会いするのですから感動モノでした。
ここからは藤井碧峰の溺愛する、仿古堂さんの高級羊毛筆「暖心」「遠鴎」「鴻飛」の紹介をさせて頂きます。
(頼まれたわけじゃなくて好きすぎるだけでお届けして参ります。笑)
【暖心】
上田桑鳩先生の選定筆。
通常の筆は違う穂長を組み混ぜ合わせた円錐型ですが、この暖心は円柱型で毛先にボリュームがあります。
これによって重厚な線を生み出すことができます。
彫ってある字をご覧ください。
今時、価格帯問わず結構レーザー加工で彫ってある筆が多いですが仿古堂は手彫りです。
しかも切れ味が良い字でカッコいい!!
結構字のセンスも問われるところですが、本当にセンスが良いとしか言いようがありません。
今度買う時は自分の名前彫ってもらいたいなと思います。
【遠鴎】
金子鷗亭先生の選定筆。
暖心より少し先をすいてあるあるので穂先が効きます。
重厚な線を出しつつもデリケートな線も出せる万能筆です。
名前も彫刻なのに筆脈が感じられて本当に素晴らしいです。
【鴻飛】
石飛博光先生の選定筆。
開発するのに長い時間が掛かったという相当な技術が秘められた筆で、他の筆屋さんにも
真似できなかったという逸品。
穂先も効くけど根元も効くという魔法の筆です。
この3品は彫刻も芸術的で満足度が高いのですが、軸自体も非常に良くて、格好も良いしバランスも絶妙に良いように感じます。
軸の先端部が少し太くなっており、また一体型で滑らかな形が美しいです。
芸術を生み出す道具が芸術作品だなんて素敵じゃないですかー♪
あまり参考にはならないかもしれませんが、それぞれの筆で書いた作品を紹介します。
【暖心】
暖心という筆は先揃えなのですが、先揃えの弱点は穂先が効かないということです。
それによって小さい字を書きにくくなったり、細い字は書きにくくなります。
また転折やハネが苦手ですが、そんな弱点をも消してしまうほどの魅力的な重厚な線はこの筆ならではのものだと思います。
癖のある筆ではありますが、癖のある筆は癖を使いこなしてナンボです。
【遠鴎】
遠鴎は暖心より使いやすいです。
金子鴎亭先生が近代詩文書を書かれたように、多彩な書を書ける筆であり、高級羊毛筆入門には良い筆だと思います。
【鴻飛】
この3本の中で鴻飛は一番穂先が長い筆なのですが、一番穂先が効く筆ですので半切の3行書きとの相性が非常に良いです。
また仮名の半切や、落款(名前)を書くところまでオールマイティに使えるので素敵です。
仿古堂さんのこの3本の筆は性能の割にお得だと思います。
私は羊毛筆の線を愛していますが、なかなかこの2~4万円程度の価格で半切用の羊毛筆を買おうとしてもこの線が出る筆はありません。
作品展や競書は線質で評価されることも多いだけに見逃せない点です。
筆で人生が変わってしまった人間としては、これからも筆にこだわっていきたいと思いますし、他の道具のことももっと詳しくなり、使いこなせるようになりたいと思います!
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