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楽天市場を撤退した理由と出店のメリット・デメリット

ネットビジネスの世界で、成功と失敗は紙一重であるなか、6月20日をもって書道家藤井碧峰の楽天市場店を閉店・撤退しました。

楽天市場を撤退した理由と出店のメリット・デメリット

本記事では、書道家藤井碧峰が楽天市場から撤退するに至った理由を述べ、同時に楽天市場出店のメリットとデメリットを経営者視点にて触れます。
出店料の引き上げが大きな要因となった一方で、広範な顧客アクセスやブランド力の向上といった魅力もありましたが、ユーザーとの期待値の違い、高い手数料や運営コスト、楽天市場のシステム運用の難しさが課題となりました。

これから楽天市場に出店を考えている方や、すでに出店中の方へ向けて、実体験を基にした洞察とアドバイスを提供しますので、あなたのビジネス戦略の参考になれば幸いです。

楽天市場撤退の理由

個人事業主としての書道家である私が楽天市場から撤退を決意した理由は多岐にわたります。
その中でも特に大きな要因となったのが、出店料の引き上げです。
この節では、その具体的な状況と影響について詳述していきます。

出店料の引き上げ

楽天市場への出店は、当初は収益拡大と認知向上を目指す上で魅力的な選択肢でした。
しかし、今年発表された突然の出店料の引き上げが大きな負担となりました。
この料⾦改訂の具体的な背景としては、楽天市場の全体的なサービス向上やシステム運営の費⽤増加があるとされていました。

しかし、実質的には楽天モバイル事業が上手くいっていないため、その補填に好調な楽天市場事業が使われているようにしか見えませんでした。
いずれにしても個人事業主である私にとって、この追加コストは見過ごすことができないものでした。

【楽天市場 基本出店料 値上げ】
とGoogleで検索していただければ、詳細について書かれた記事が沢山出てきます。

書道家 藤井碧峰楽天市場店

最初に楽天市場に出店した際、毎月の出店料やシステム利用料、決済手数料を計算に入れたうえでビジネスモデルを設立しました。
私の場合は表に出ていないプランで、楽天市場側からスカウトがあった場合のみ入れるプランでした。月額4,900円(税抜)、システム利用料や決済手数料を合わせて16%近く、それに合わせてポイント付加分の手数料が引かれる仕組み。
なので、楽天市場出店の時点で、利益を確保できる価格設定に切り替えました。(随時調整しつつ)

これにより、一定の収益を見込むことができました。
しかし、新たな料金体系の導入、利用していたプランの廃止により、これまでの計算が大きく狂い始めたのです。
例えば、出店料の引き上げは来年の春まで15,000円の出店料の増額で、その後は20,000円の増額でした。
当然ながら販売手数料が安くなるメリットもありますが、月額出店料が高いと出店における元を取ることに必死にならざるを得ません。
しかし、これまでも販売の拡大には手を打ってきているなかで、更なる拡大は無理と判断しました。
数を多く売ることが難しい、このニッチな分野の事業者にはトドメを刺された気持ちでした。

「価格の見直し」

また、書道家として特に重視したい点は、商品の正しい価格設定です。
以前卓球ゼッケン代筆サービスを1,000円値上げした際、とても名残惜しく諦められたお客様がいました。
こちらとしては、割に合わない仕事を減らしていかなければということで、正しい価格に合わせていったのですが、同様にして価格の変動には敏感な消費者も多いです。

出店料が上がれば価格に転嫁する必要が生じるものの、それにより顧客が離れてしまうリスクも無視できません。
元々誰でも買うわけではない色紙命名書1枚5,000円を8,000円にしても厳しいものがあるでしょう。
これが、商品の需要と供給のバランスを大きく崩す要因となり得ました。

さらに、出店料の引き上げに伴って考慮しなければならなかったのが、他の運営コストの増加とコストカットで、楽天市場の都合でしかないのに、身を削る必要はありません。
最近では宅急便や材料のコストが上がりましたが、費用の増加が連鎖的に発生し、総合的な経営戦略を再考せざるを得なくなったのです。

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出店料の引き上げによって、収益からコストを差し引いた利益が劇的に減少したことは、撤退を真剣に検討させる主要な要因となりました。
さらに、限られたリソースを効率的に活用するための方法を模索する中で、他のECモールや自社サイトの強化にリソースを移行することも一つの選択肢として浮上しました。

結果として、これらの理由から楽天市場は私にとって出店継続の妥当性について疑問を抱かざるを得ない状況に至りました。
このような状況下で、最終的に撤退を決断せざるを得なかったのです。

顧客の減少

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売上の小さなお店ながら5年も楽天市場での出店を経験してきたなかで、この半年ちょっとほどは明らかに楽天市場内にお客様が減っていると疑わざるを得ませんでした。
購入数はもちろん、問い合わせの数も減り、月額利用料に見合う売上も立たなくなっていました。

おそらくはポイント還元システムの改悪によるところですが、楽天モバイルの顧客獲得のためにモバイルユーザーを優先したポイント還元にしたことが大きい気がします。
他にも大型ECサイトがあるなかで、お得でなければ顧客を獲得することも難しく、顧客が減るのも致し方ないことです。
顧客が来なければ私達出店者側は、家賃ばかりを取られているようなものですので意味がありません。

出店者として努力できるところはと言うと、書道家という立場上、クーポンやポイントなどは使えば使うほど安っぽく見えてしまうので駄目。
楽天市場も出せば売れるという簡単な場所ではなくて、他にも手を打つところは売って、目を引くページにする努力はしていただけに、ここ数か月間は撤退の2文字がずっと頭によぎっていましたね。
そのうえでの基本出店料値上げは撤退を促された気持ちでした。

楽天市場への出店のメリット

厳しいことを述べつつも、楽天市場は日本最大級のオンラインショッピングモールであり、多くの事業者にとって魅力的なプラットフォームです。
特に個人事業主や小規模事業者にとっては、楽天市場への出店が多大なメリットをもたらします(もたらしてい”ました”)。
以下に、その主なメリットをご紹介します。

広範な顧客アクセス

楽天市場を撤退した理由と出店のメリット・デメリット

楽天市場に出店する最大のメリットの一つは、楽天経済圏に入ることによる広範な顧客へのアプローチです。
世界的に見てもユニークなビジネスモデルだと言われるポイントビジネスですが、楽天グループの様々なサービスを利用することや、楽天スーパーセール等の様々な機会に沢山ポイント獲得できて、お得に買い物ができるというもの。

日本全国から多くの消費者が楽天市場を利用しており、月間の訪問者数は数千万を超えます。
この大規模な顧客基盤にアクセスできることは、書道家のようなニッチな事業者にとって非常に有益でした。
例えば、田舎街に住む私にとって、地域の限られた顧客だけではなく、日本中から注文を受けることができるのは画期的なことです。
言わば、山奥の人の通らない道に面して店を構えるのと、人が沢山通る街中の道に面して店を構えることの違いです。

楽天市場を撤退した理由と出店のメリット・デメリット

楽天市場のプラットフォームを利用することで、広範なマーケティング活動が可能になります。
例えば、ポイント制度やクーポン、セールイベントを利用すれば、より多くの顧客を引き寄せることができます。
これにより、一度に多くのお客様に商品、書作品を紹介し、購入していただく機会が増えるのです。

信頼性とブランド力の向上

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もう一つの楽天市場出店における大きなメリットは、信頼性とブランド力の向上です。
楽天市場はその長い歴史と堅固なブランド力により、多くの消費者から高い信頼を得ています。
出店者数が他のECモールに比べて少ないという点ですが、優良な事業者を選んでいるが故にそうなっていると、楽天市場担当者から聞いております。

このプラットフォーム上で商品を販売することで、出店者も自然にその信頼性の一部を享受することができます。
書道家としての私の活動も、他の書道家が出店できていなかった楽天市場に出店することで、より多くの方々に信頼されやすくなるという利点がありました。

特に楽天市場の出店者レビューや評価システムは、商品とサービスの品質を可視化し、自然に信頼性を向上させる機能を備えています。
高評価を受けることで、新規顧客も安心して購入に至る可能性が高まります。

このように、楽天市場への出店は多くの顧客にリーチすることで購買機会を増やし、信頼性とブランド力を向上させる絶好の機会を提供します。
これらのメリットを最大限に活用することで、売上の向上はもちろん、自身のブランドをより強固なものへと築いていくことができると言えます。

楽天市場への出店のデメリット

楽天市場は、日本国内で最も有名なECモールの一つで、多くの優良な事業者が出店しています。
しかし、出店には一部のデメリットも存在し、それらを理解し、慎重に検討することが求められます。
以下に、楽天市場におけるデメリットについて記します。

ユーザーと出店者の想いレベルの違い

お金のやり取りに関する見え方

楽天市場では、多数のユーザーが期待するサービスと出店者が提供できるサービスの間にギャップが存在します。
「起業からの書道家としての想いも商品のひとつ」と考えている藤井碧峰の事業のなかでは、その想いが楽天市場のサイト内では伝わりません。
このホームページではブログ等コンテンツも充実しており、そこを経るのとそうではないのとでは、買っている物の感覚が変わってきます。

楽天市場での販売は、純粋に物を見て選んでいただいていることが多い。
藤井碧峰のホームページが窓口の場合は、想いも汲み取っていただいていることが多い。

お客様とやり取りしていると、それをひしひしと感じております。

特にお名前に関するオーダーメイドの商品は、藤井碧峰に任せられる人でないと後からクレームになってしまう可能性が高いため、任せられる=信頼をつくるための場として厳しいものがありました。
消費者の期待に応えられなかった場合、低い評価や悪いレビューがつく可能性もあり、これが販売機会を減少させるリスクとなります。

高い手数料と運営コスト

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楽天市場への出店には、各種手数料や運営コストがかかります。
特に注意すべきは、月額出店料、売上手数料、広告費用などです。
出品数が少ない、あるいは売上が伸び悩んでいる場合、これらの費用負担が経営を圧迫することになります。

月額出店料を踏まえると、1点あたり20%近く手数料を取られるという、この高い費用構造は、個人事業主にとって大きなハードルとなるでしょう。
ただ一方で、実店舗を構えていない事業者としては、家賃に値するものでもありますので、そこは思考の持ち方や商品の性質次第では当たり前のようなものだとも言えます。

システムの運用の難しさ

楽天市場の運営システムは非常に多機能である反面、操作が複雑であることが多いです。

出店者が商品を登録する際、詳細な情報を入力しなければならず、その際の操作や設定ミスが売上に直結することもあります。
商品ページの作成は、HTMLタグが絡んでくるため更新が億劫でした。
そしてシステムの他の箇所に関しても年々複雑になってきている気がします。

また、セールやキャンペーンの設定、注文管理、顧客対応など、日々の運営業務も負担となります。
特にITスキルがあまり高くない個人事業主にとっては、これらのシステム管理は大きなハードルでしょう。
メールアドレスに関しては、直接お客様のアドレスを知ることができず、楽天市場のシステム内でやり取りするしかないものですから非常に不便でした。
直接取引して、楽天市場を仲介されなかった場合に損するが故の防止策だと思われるのですが、万が一お客様のほうでメールが確認できなかった場合、自分の他のメールアドレスで送信するなどの手も打てキャンセル処理せざるを得なかったことも多々あります。

書道家が答える書道教室・習字教室質問あるある集

確定申告・帳簿処理の際の話ですが、システムのAPIを利用してデーターを落とし込むのですが、APIの設定が地獄のように大変でしたね。
他のECモールでもSTORESのシステムからの出力内容は非常に分かりやすいのですが、楽天市場は複雑怪奇で理解するのに3年ほど掛かりました。
そこそこ簿記のこと理解しているはずの人間でもこれなので、学んでいない方が楽天市場の帳簿処理をするのは相当無茶だと思います。

以上のように、楽天市場への出店には多くのデメリットが存在します。
ユーザーの期待に応えることの難しさ、高い手数料と運営コスト、そしてシステムの複雑さなどが挙げられます。
これらの要因を総合的に考慮し、書道家としての活動をより良い環境で行うため、撤退を選択することに至りました。

今後の展望

次の手としてはヤフーショッピングでの出店を試みているのですが、1か月以上トライしていても出店審査を通過しません。
落ちる度に色々対策をしても落ちた理由を知ることもできず、問い合わせして聞いても答えられないと返答が来て困り果てています。
現在個人事業主のため法人化しないと信用が無くて無理なのか、そもそもこのオーダーメイドスタイルが駄目なのか。
書道家としての事業を盛り上げることは多くの関係者、若い子たちの希望にも繋がることなので、ヤフーさんにも頑張っていただきたいものです。

でも、楽天市場でずっとプレーできれば良かったというのが本音です。
それくらい多くの希望を見せてくれたのが楽天市場です。
感謝の気持ちとともに複雑な気持ちでいます。

いずれにしても諸行無常。
自分の手で今の状況を良くしていきたいと思います。

書道家起業・経営の中で実現し、証明したかったこと

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