【屋内用】貴重な栃縮杢を使用した表札｜トチノキ、栃、橡
栃縮杢との出合い。そして表札の企画への道
日々天然銘木の表札の制作を手掛けているのですが、仕入先の銘木店に行って倉庫を見る度に夢が膨らむものです。
その中でも、数年前から気になっていたトチノキ（栃、橡）の縮杢は非常に目を引く存在で、木材の中の宝石のように見えました。
”いつかは”と思っていたところ、最近彫刻表札が好調に注文をいただくこともあり、益々木に愛着が増していくなかでチャレンジしてみました。
しかし、表札用に材料を作っていただいてから彫刻職人に言われて気づいたのは、屋外での使用には適さないということ（←先に調べろや）
でも、こうして考えないでも行動に移してしまうほどに、この栃縮杢という材料は魅力的だとも言えます。
先に念入りに調べて、考えて行動するとリスクを取らない方向にしか行かないので、このイノシシ的スタイルが生きるのです。
凸凹しているわけではないのに立体感・奥行きが出るところが素晴らしく、材料ができてからもしばらく家で眺めておりました。
そこで、お客様や知人からの声を思い出しました。
「藤井さんの表札カッコいいけど、ウチ、もう掛けてある表札あるしなあ～」
表札は玄関に掛けるもの、という概念はいらないのでは？
思えば知人からの依頼で、以前字が書かれていた屋久杉を用いた表札で、削って新しく面を出し、書き直したことがあったのですが、その人は「もったいないから」と言って内玄関に飾っておられるとのこと。
それを言えば、他のお客様（数名）も「こんな立派な表札、外に出さんと家の中で大事に飾っておきたいね」と言われて、僕は「そんなこと言わんと外に飾って、駄目になってきたらまた注文してください！笑」と返すのですが、そういう需要はあるのかなと思いました。
時々お客様のご自宅へ納品に伺ったり、古い建物巡りをしたり、応接間等へ足を運んできたなかで、この表札がその場にあっても全く違和感が無い、むしろ良いなと感じ、商品開発を進めました。
その人の名を、その家の今後も希望の光で照らしてくれるような、そんな表札となるはずです。
栃縮杢による、上品に輝く表札の制作
木材は特になのですが、先に墨入れしてみて様子を見ないことには、お客様のもとに安心して送り出せません。
と言うのも、木によって滲み具合や繊維の硬さ、墨の色の映え具合等が異なるからです。
今回はいつも大変お世話になっている、上市町にある内山精工の内山彰博社長の字をお借りして、制作させていただきました。
タイミング的に、2024年11月の「第２３回熟練者空手道選手権大会」男子個人５０～５４歳の形の部と組手の部で、それぞれ優勝されたこともあり、私からお渡しする金メダルのつもりで書きました。
写真を撮るのが非常に難しかったのですが、実際の表札はもっと良く見えます。
少し斜めに見ると良い感じに光が反射して、栃縮杢の良さが現れます。
内山精工との繋がりは、こちらの記事でも触れております。
【「あくなき挑戦」「祝 成人の集い」揮毫｜内山精工スローガン、中野公民館】
内山彰博社長は空手においてもご活躍されていますが、経営における”人を大切にする”という点において、こんなに愛を感じる接し方をされ、良い熱さを持っておられる方は貴重だなと感じております。
自分を飾られる方でも無いのですが、私からするととても輝かしい存在でして、まさしくこれを飾っていただくに相応しい方でした。
さて皆様は、どんな方に贈り物としてこの表札を贈ってみたいでしょうか。
自分自身にプレゼントというのも、良いと思います。
何せ、ご自分のお名前はご自身が一番大切にすべきですからね。
栃縮杢表札のご依頼について
まだ販売方法は試験段階ですが、【在庫している材料の写真をホームページに掲載し、その材料に対して発注いただく】という流れになりそうです。
今のところ、在庫しているのはこの材料（品番：2403A）です。
実物はもう少し明るいのですが、写真だと白くなり過ぎるため、明るさを落としております。
字を入れたイメージサンプルも少しだけ作ってみました。
内山社長の字を書いた際に、正面から見ると少しマットに見えることが分かり、少しだけ加工して合成してあります。
富山県民なので「前田利長」に登場いただきました。
あとは「高山右近」「清水」です。
屋内展示用の表札が受け入れられるかどうかは、正直言って難しいかもしれません。
ただ表札の定義として、屋外に掲げられる家を判別するための看板として存在するのなら、それを壊して新しい提案として世に問いたいです。
今回の表札は、世の中の伝統あるお店の中で掲げられている、店名を書いた扁額というものも似たようなものかと言えます。
その名に深みを感じさせるのが書であり、施設内にある作品です。
是非この商品を手にしていただければ幸いです。
