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制作の時に考えること~銀行作品展示を前にして~

その時にしか書けないものを

藤井碧峰書作展 

後日改めて投稿しますが、来週の9月5日(月)から11月4日(金)まで、砺波市内の富山県信用組合(けんしん)出町出張所にて作品展示を行います。
それに伴い、普段お会いした人にしかお話しないようなことを、正直に書いてみましょうか。

私自身個展をしない人なので、銀行と山町ヴァレーでしか作品展示をしたことがないのですが、それでも2019年の山町ヴァレー、北陸銀行(砺波支店)、2020年のけんしん、北陸銀行、2021年のけんしん、北陸銀行、今年の北陸銀行と展示をして、回数はそれなりに積んできました。

高岡市山町ヴァレーにて作品展示中|富山県の書道家 藤井碧峰

最初した2019年の展示は貧乏過ぎるなか、連続(一時的に同時開催)で山町ヴァレーと北陸銀行の展示をしたので、当時はさほど作品も書かないし在庫もほぼ無いしということで、ほとんど裏打ちやパネル貼りなどを手掛けて(不器用故に失敗も無数にして)、とにかく必死でしたね。
パネルは自作したものもありますね。
裏では大分の書友がLINEでアドバイスを沢山くださっていて、本当に助けられました。
この友人はInstagramで出逢ったということもあって今の時代ならではなのですが、一度二度お会いしただけなのに、ここまで応援していただけるところに、この事業の意味があるのだなと今改めて感じるところでございます。
事業を始める前に九州に行った時にお会いして、その時に彼らと2日間お話したことのなかで”ああしたい、こうしたい”ということを考え、始めた当時から言ってましたから。

とは言え砺波、いや富山では一匹狼でしかないわけです。
助けを借りようにも、借り方すら分からない。
だけど良い展示にしたい。
そしたらとにかく考えるしかないだろう。
ずっと書道を必死にやってきたわけじゃないから変にこの書道界の既存の考え方を知らないし、自分にあるのは頭に叩き込んだ経営学とわずかな経験のみでしたね。

藤井碧峰書作展@北陸銀行砺波支店|富山県の書道家藤井碧峰

当時から色んなものを書いて飾ろうという気持ちはありました。
でもそれは意図的にそうしよう、と言うよりかは書きたいものを書く時に全部同じ意味ではないのだから、表現するとなると自然と違った書き方になるというものです。
それも3年前はレパートリーが少ないですから当然書けないものもあって、今になってようやく書けるものもあります。

書く言葉を考えるのも経験を繰り返すことでようやく上達するものです。
当時から風景は頭に浮かんでいるんですけど、語彙力の問題でそれが言葉にならなかったり、ただ思っていることを書いているだけでは作品にならなかったり、というところでした。
最近は確かに毎回苦しさはあるものの、時間はかからなくなりましたね。

審美眼について考える

こうしてこの書道家を生業としている身としては、作品が売れるということの意味は大きいことです。
絶対必要なものではないですからね。
それでも必要として、お金を払って求めてくださるというのは、日常生活を超えた美しい取引だなと感じます。
要らないものを買うには、余程の魅力が無いと手が出ません。安くないですしね。

書き手とすれば作品展示したものが売れれば嬉しいですが、だからと言ってあからさまに売れるものを書きたくない。
これだけやってくると、どういったものがそういう傾向にあるか分かってしまいます。
それを書いたら負けだと思っているんですよね。
銀行という皆さんのスペース、一応銀行の店舗内だけどみんなのスペースなんですよね。
ここをお借りしているということはどういうことか、と考えた時に売ることが目的じゃなくて【見た方に喜んでいただく】というのが第一だなと思うわけです。
その目的が達成された先に作品を買っていただけることもあるかもしれませんが、それは結果であって目的であってはならない。
本当に資金無くなってみすぼらしいほど貧乏であっても、そういうことだけは守ってやってきたつもりです。

書道家という資格も必要のない仕事をしておりますが、それを名乗ってこうした活動をしていると、書道関係の知人・友人から色んな期待が寄せられます。
以前から「これは碧峰くんらしいところだよね」みたいなことを言ってくださる人がいて、自分にしかできない書をつくっていくことも使命のように感じたりもします。
どうしても師につくと似てくる点はあり、それを揶揄されることもありますが、一旦は近づかないとそこにある本当の良さも分からないというのが持論です。
その本質的なところを理解したうえで、金子鷗亭先生の仰る「師を否定せよ」という言葉を実行できると信じています。

8/2~9/3 北陸銀行砺波支店にて作品展示

銀行ロビー展は見た方に喜んでいただく場所。
そしたら「自分はこうだ」と見せることも大切ですが、喜んでいただくためには自分の全てを出して、一つでも気に入っていただけるようにしたいというのが本音です。
しかも興味の無い人にも興味を持っていただけるきっかけになるのが、この見ず知らずの人が大勢訪れる場所なわけです。
だからそういった原理原則に基づいて色んな挑戦をしています。
書道関係者は見てくださる分には嬉しいですが、やり方に対して書道関係者としての批判的な意見を通そうとすればするほど、一般人の方の求めるところと遠ざかっていく可能性が高いということを自覚されたほうが良い、と言えてしまいそうなほど、一般の見てくださる方のために考え尽くした場所になっています。

藤井碧峰書作展

作品の書き方に関しては、その時その時自分の旬なものをお届けするようにはしていますが、それも自己満足に走り過ぎるといけないし、身近に感じていただける書を飾りたいと思っているので、書き方を含め額装の仕方も幅広くやってみています。
額装する時は書道用品店や画材屋さんと共同開発みたいなものです。
以前から選択肢としてはあるけど新しく見えるもの、みんなが選ばないもの、そんなものがまだまだあるので、こういった機会に積極的に試しています。
ただ額装もそればかりが際立っては駄目で、トータルで良い雰囲気を醸し出せるかが大切。
縁の下の力持ち?みたいな存在であるのが額装かなと思ってます。
なので奇抜なことは思い浮かびはするものの、自分の考えに合わないと思えばやらないですね。

藤井碧峰書作展

制作に関してはベースとなる考えはあるものの結構自由な気持ちでやっています。
とにかくその時その時のベストを尽くすことが、今後長く活動を続けていった先で過去を振り返った時に大きな意味を持ちます。
今年は同級生のシンガーソングライターの北村瞳さんとのコラボを楽しみながらやってます。
来年には来年のテーマがあるでしょうし、生活も諸行無常で変わりゆくことと思います。
そのなかで今しか書けないもの、今の自分にしか感じ取れないことだとか、頭の中にある共有したい言葉、そんなものを作品にのせ、見た方が満足できる場所にしたいなと思います。

この記事の著者

藤井碧峰

1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。

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