藤井碧峰
1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。
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書道やってきて、ちゃんと違いが分かる人になりたいなと思っています。
それは絶対的な答えでは無いけど、「自分はこう感じる」というものを常に持つことが大切かもしれません。
今回日本酒のラベルでご依頼頂いた富山の五箇山の地酒、三笑楽酒造さん。
三笑楽のお酒といっても何種類もありますが、一つ一つに個性があります。
現在在庫している(しすぎ)のが大吟醸、純米吟醸生酒、山廃純米吟醸、純米吟醸です。
自分はしばらく日本酒好きできてはいますが、酒造ごとの違いは感じ取れて、好き嫌いも何となく分かるものの、同じ酒造内だと今一つ分かりませんでした。
同時に飲むことも無いから難しかったかもしれません。
今回は三笑楽を4本揃えておりますので、交互に飲んだりして違いを楽しませて頂いてます。
どれもが酒蔵の中の匂いがして体が覚えている感じですね。
書道ではどうでしょう。
これは道具と切っても切れない世界ですので、違いが分からない人は良い字を書けないかもしれないと言っても過言ではありません。
これも経験したなりにしか分かりません。
いくら知ったつもりでいても、長年書道やっていて沢山投資されてきた方にはなかなか及びません。
書道をされている人には結構多いかもしれませんが、先生の与えられたものしか使わないということがあるかもしれません。
”先生が選定した道具”という安心感があるのですが、そこに自分の考えが伴えば良いのですが・・・
”良い道具だ”と思い込んで頑張るのも良いのですが、他と何が違うのかはなかなか見えてきません。
私自身、師範になった頃から自分で筆を買うようになりました。
最初買ったのが15,000円の羊毛筆。
悪くは無いですが失敗といえば失敗でした。
次は必死であれこれ調べて買った23,000円の筆。
これが大当たりで、それから色々な思い出を残してきました。
今も一番お気に入りの筆です。
あの時に筆の構造や違いについても沢山学びましたし、果たして今の自分に必要なものは何かということもよく考えました。
そのうえで自分の書の弱点も知ることができましたし大きな一歩でした。
人それぞれ感覚は違うんので、自分に合う道具も変わってきます。
だから奥深いです。
その先生によっては自分で道具買うと嫌な顔をする人もいるので要注意ですけどね。
私は色々と文句を言われました笑
普通に書いていても墨の濃度とかも重要ですよね。
紙によっても変わってくるし、硯によっても滲み方が変わってきますし。
これを面倒だなと思うのではなく、楽しめるようになれば自然と良い流れになるかと思います。
書くことにおいても同じこと。
恥ずかしながら私が書いた欧陽詢「九成宮醴泉銘」の臨書をお見せしますが、とにかく原本との違いが分からなければ臨書になりません。
書道・お習字においても同じです。
手本第一に指導をするならば、先生の手本を横に並べて何が違うのか見抜ければ先生は必要ありません。
それを見抜くためのトレーニングを沢山しておけば、きっと将来は有望です。
車でサーキット走っていた時も同じでした。
車高の微妙な前後バランス、数ミリのアップダウンで結構車の挙動が変わります。
タイヤの空気圧、ブレーキバランス等、複雑な世界でしたが、放っておいては真の速さを手に入れることはできません。
スキーにおいては自分はあまり違いが分かりませんでした。
板やブーツ等を変えればさすがに分かりますが、ワックスの違いはスタートワックス以外はよく分からないままで、「ワックスと雪温が合っていれば良い仕事をしてくれるだろう」程度の人です。
長年やっててもこれなので、根本的にセンスは無いなと思ってます。
と、長々と書いてみたのですが”違い”を知るということは大きな一歩です。
以前書いたかもしれませんが、成長するに関して大切なことは【気づく力】です。
これを磨くために、とにかく多くを経験することが大切です。
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