”左馬”を書いて考えた、左利きの方が右手で毛筆を書く理由
左馬を裏面に書いた表札
時々「左馬」の将棋の駒を見たりしたことがあるのですが、表札屋さんとしても書かせていただいたことがあります。
僕が左馬を説明する際に一番使うのは、馬を逆から読むと「まう」で”舞う”を連想させることから縁起が良いということです。
あとは良いことが天から”舞い降りてくる”という連想もして良いかなと感じています。
人間との関係性において、馬は人が引くものというイメージがありますが、馬に引かれれば招かれている(お客様を呼び込む)といった意味もあるようです。
※諸説ありつつも字書の類に出ないものなので、凄く気になる方はGoogle検索して調べてみてください。

ということで、2年前に「左馬」を裏側に書いてほしいとの要望で、納品させていただいたお客様の表札をご覧になられたお客様から、同じように左馬のご依頼を受けました。
ヒノキの色合いに左馬が映える表札になりました。
普段は表面と左側面にしか書かないのですが、裏面にも書くとなると色々と手間が増えるので少し追加料金を頂いて、また縁起物故に僕が良いと感じた左馬で書きたいので、この字の書き方はおまかせで受け入れさせていただいております。(表のお名前はお選びいただきました)

いつもはこんな感じで馬の字を書いています(ちなみに僕は午年生まれの36歳です)
この形だと、自然な筆の運びで書けるので、あまり考えずに手が動くのですが、左馬はそれが左右逆転します。
書道の線は基本的には、上から下、左から右の動きが多いです。
それに対して、上から下の流れは変わらずとも、右から左の動きが増えたり、縦画の起筆も左上を向いていたものが、右上を向いたりと、頭脳ゲームをしている気分になります。
そのなかで自然で、気持ち良い線を書けるように色々と試してみました。

そんななかで、良い左馬を書けたと感じているのですが、実際に木に書くとなると、スピードや墨量等によってにじんでくるので、非常に試される字だったなと感じています。
どうやったらスムーズに書けるかと言うと、真正面から向き合って書くと上手く書けないことが分かったのが、今回の大きな学びです。
左利きの方が右手で毛筆を書く理由|書道を習うにあたって
というわけで、左利きの人が何故右手で字を書くように強制されるのか、改めて考えた次第です。
パッと説明しやすいように2点取り上げてみました。
・字の線は基本的には、上から下、左から右の動きが多いため、毛筆だと特に横方向へ行く際に毛先が進行方向に逆らいやすい
↑線はひくものなので、上記の状態だと押すという感覚になるのではないか(画像は左右に反転して想像してください)

・左手でも筆の角度や、紙に対する書き手の角度を意識して書けば成立するが、手で書きたての線が見えにくくなる
↑気持ちよく書けるかどうかでいうと、どちらが良いか判断しかねるが、早めに右手で順応できたなら楽できることが多い

2番目は割と邪魔になりまして、僕の手が大きすぎることもありますが、非常に書きにくいと言えます。
右手で書くと視界が極めて良好です。

左手で書くにしても、線が見えにくいことに加え、字の構造上、腕を自由に動かして伸びやかに字を書きたいものの、抵抗となる方向に動かすことが非常に難しいことが分かります。
左馬を書いて、どうすれば左馬を書きやすいか考えたのですが、左利きの方の大変さにも少し似た大変さを感じました。
藤井碧峰書道研究所の調査が少しでも参考になれば幸いです。笑




