【正統派彫刻表札『浮き彫り』】井波彫刻|藤井碧峰×山﨑新介×吉本知正
【『浮き彫り』の正統派彫刻表札|井波彫刻】

正統派彫刻表札に『浮き彫り』仕様が誕生しました。
浮き彫りの表札は、字の周りの地を彫り下げて字を浮き上がらせ、更に細部を仕上げていくことにより、立体感で量感のある、生命感あふれる表札になります。
元々彫刻表札は『かまぼこ彫り』から始まったのですが、藤井碧峰の字を活かすための彫りを彫刻士と何度も話し合ったうえで、非常に繊細であり、生命感、立体感がある字の良さを更に引き出し、活かせる彫り方で進めてきました。
昨年の3月から彫刻表札の制作を始めて、次の展開も考えていたところ、当初避けていた浮き彫りでのご依頼を関口様から頂きました。
失礼ながら最初はお断りしていたものの、それでも浮き彫りでとの念押しがありましたので、普通の浮き彫り表札ではない完全に新しい表札、そして最高の浮き彫り表札を生み出すつもりで職人と綿密に話し合い、この表札が生まれました。

一般的な浮き彫りの表札は、字は浮き出るものの平面的に作られることが多く、機械で加工した跡が残っていたり、サンドペーパーで仕上げられていることが多く、何処か冷たい印象を与えます。(上記画像の状態に墨を入れたようなもの)
それでは藤井碧峰の字が元々持つ立体感を駄目にする可能性が高いため、当方では作らない前提でいたのです。


その弱点は強みに変わり、手間は掛かりますが、鑿(のみ)で細部まで仕上げることで、木の本来持つ温もりを感じる表札になります。(上記画像参照)
字を浮かして品良くまとめるにも程よい浮かし具合があり、浮かした字の細部を彫って整えていくにも、彫る側の書への正しい理解が必要です。
彫刻士の山﨑新介氏、吉本知正氏は頻繁にお会いするため、いつも「こういうところが生命感に繋がっているので大切にしてほしい」とか「字数が多いのでこう彫ってほしい」「ここから少しずつ強く見えるように彫ってほしい」等とお伝えしています。
それもまた受け取り手自身のセンスも要求されるため、信頼あっての制作が可能となるわけです。



浮き彫りは重厚な表情が出る一方、かまぼこ彫りは端正な表情となります。
それぞれの個性としてお好みのものをお選びください。
なお、浮き彫り仕様で使う木材は”ケヤキのみ”の設定で考えております。
硬さのある材料で無ければ、木が欠ける心配があったり、字の周りの地を彫り下げて字を浮き上がらせる際に、平面に整えるのも難しいためです。
また白めの材料で浮き彫りにしても、安っぽく見えるなどの問題があり(時間経過とともに色づいてこれば問題無いと思いますが)、現時点ではケヤキのみとなっております。
もし他の木材をお求めの際はお問い合わせいただければ、制作の可否やお見積等連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

なお、今回の関口様の表札の制作を担当したのは吉本知正氏です。
制作を担当する彫刻士は、各自の状況を見ながら藤井のほうにて采配いたします。
- 77,000円 [税込]
【正統派彫刻表札『浮き彫り』|井波彫刻】 書道家藤井碧峰がお客様のオーダーに合わせて手書きした字を、富山が世界に誇る彫刻の街、南砺市井波の彫刻士山﨑新介氏、吉本知正氏が彫る『浮き彫り』の表札です。 お客様のご依頼に対して、最高の技術で最高の一品を作り続けるのが我々工芸作家としての使命であります。 正統派の書の職人と彫刻職人による、徹底的にこだわり抜いた彫刻表札を是非味わってください。 【浮き彫りについて】 浮き彫りの表札は、字の周りの地を彫り下げて字を浮き上がらせ、更…
『浮き彫り』表札の誕生に際して
昨年彫刻表札の制作を開始して以来、想像していた以上にご依頼いただけたこともあり、大変嬉しく思っております。
井波彫刻で有名な井波町(南砺市)は、地元砺波からも近いことと、母方の家があることもあり思い入れの強い地域でしたから、書道家として起業した時から「必ず井波彫刻と一緒に仕事をしたい」と志して活動していました。

書に関しても彫刻に関しても、一般のお客様への作品販売というのは昔に比べて低調と言わざるを得ない状況にあります。
それぞれに良い時代があったようですから。
一方で、時代を言い訳にせず本気でそれを多くの人に届ける努力をしたら、必ず欲しがってくださる人がいて、そこで最高の仕事をしたいと考えてきた自分には、最高の技術を持つ2人の彫刻士との出逢いは非常に有難いことでした。
大きいことを言うようですが、自分が頑張れば少しでもお互いの世界が盛り上がれるのではというワクワク感があり、彫刻表札のご依頼を頂くたびに楽しくて仕方ないのです。

今回浮き彫りの表札を作るに際して、普通の浮き彫り表札ではない完全に新しい表札、そして最高の浮き彫り表札を生み出すつもりで職人と綿密に話し合いました。
従来にない、自分たちでも見たことの無いものを作りだすことにもワクワクしましたが、墨入れ前の画像等も見た時に、彫刻士の素晴らしい技術に感激しました。
浮き彫りの表札は風水的にも運気を高めると言われます。
私のスタンスでは「我々の届ける表札は、最高に良いものを作ってお客様に満足していただく、その時の気持ちが良い運気を呼び寄せるものになりますよ」というものなのですが、そこに加えて風水も意識してお求めいただければ幸いです。

実際に先日、関口様のお宅に納品に伺った際に、出来上がったこの彫刻表札を見ていただいた際に大変お喜びいただけて、こちらも本当に嬉しかったですね。
気持ちが高揚したなかで暮らす日々の中に、運気を上げるための大切なものがあるはずです。
こんなに人を魅了する表札は、手作りでなければ、木で無ければ生み出せないのだと思います。
浅草寺本堂扁額【施無畏】の彫刻

4月5日に東京の浅草寺に行ってきました。
山﨑新介氏の出身であり、吉本知正氏の従事する南部白雲木彫刻工房が制作を手掛けた、4x1.35メートルの巨大な扁額を見るためです。
豊道春海氏の揮毫した「施無畏(せむい)」の書をかまぼこ彫りで、ケヤキの一枚板に彫ったもの。
ケヤキの材料は4か月かけて見つけて、九州から持ってきたそうで、周りの彫刻と合わせて総重量は700kgです。

かまぼこ彫りもその都度彫りの深さが変わるのですが、この扁額では下から見上げた時に筆の筆力が伝わるように、常識外の5.5センチを彫っているとのことです。
実際に近くで見るとおおー!という存在感でしたね。
こちらの扁額ではカスレも彫っているのですが、カスレがあると余計に彫ることになるので大変とのこと。
今のところカスレを取り入れた表札は作っていませんが、そのうち皆様にお見せできる日が来ることと思います。