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BLOG 書道・筆文字 【書の三人展】|中野公民館まつり

書道の歴史、系譜を学ぶと書が楽しくなる!|【書の三人展】

中野地区における名家との運命的な繋がり

こちらは中野公民館まつり特別企画【書の三人展】のために作った系譜図です。

会期中の話を聞く限り、飯田乕山先生は富山師範学校(現在の富山大学人間発達科学部)出身とのことでございますので、上原欣堂先生に師事されていた可能性がございますので、そうなるとまた面白いところです。
水上碧雲先生は今井凌雪先生の通信指導も受けておられて、それは系譜に組み込んでいないものの、入れた場合は辻本史邑先生の下に今井凌雪先生、その下に水上碧雲先生となります。

ここで言いたいことは、書(書道)の系譜図を作ると書風や方向性は全く違えど、親戚関係になって面白いということです。

日下部鳴鶴先生と中野の繋がり

さて、いずれの先生方も日下部鳴鶴先生(1838-1922)が源流となります。
日下部鳴鶴先生は、近代の書に相応しい新しい思想と方法を持っていたことや、それを伝える多くの弟子を抱えていたことから、大きな影響力を持っていました

この日下部鳴鶴先生の揮毫された石碑については、富山県内に確認できる石碑があまり無いなか、砺波市内の中野、太田、東開発という、極めて近い地域に集中して存在します。
それを直接的な関係が無くても運命的なことのように思い、今回の系譜図に絶対に入れなくてはと思ったのです。

日下部鳴鶴先生石碑|【書の三人展】中野公民館まつり特別展示|富山県砺波市
日下部鳴鶴先生石碑|【書の三人展】中野公民館まつり特別展示|富山県砺波市

こちらが中野の立山酒造前にある【藤井經雄君之碑銘】。
現在ほとんど見えない状態になっておりますが、10年前はまだ少し見えました。
そしてこの石碑は今回中野公民館まつりを行った、中野農村振興会館のとても近いところにあるのです。
少し道側へ出たら見えます。

日下部鳴鶴先生石碑|【書の三人展】中野公民館まつり特別展示|富山県砺波市

この位置関係も含めて、中野公民館まつりで【書の三人展】を行われることが運命的だったなと感じるところです。(僕だけそう感じているかもしれない)
いずれにせよ、この石碑が極めて貴重であって、ただ金屋石という摩耗しやすい石を使っているため、今回少しの人にでも興味を持っていただけたことが良かったです。
藤井碧峰書道教室の生徒さんも見に行かれて盛り上がっておられました。

比田井天来先生と中野の繋がり

現代書道の父とも呼ばれる比田井天来

日下部鳴鶴先生の弟子の一人が、現代書道の父とも呼ばれる比田井天来先生であり、俯仰法(古法)を発見し、また書学における古典臨書の重要性を説き、近代書における表現の幅を大きく広げました

その弟子である大澤雅休先生は昭和20年4月、集団学童疎開の児童の引率で砺波市の太田村久泉の光圓寺で少しの期間を過ごし、時に書道講演を行いました。
この頃に藤井一南先生は大澤雅休先生の影響を受け、書芸への目を拓いたと言います。
また戦後、大澤雅休先生は前衛書(抽象書、墨象)の先駆者の一人として活躍し、砺波地域の書に大きな影響を与えました。

もう一人の前衛書の先駆者が上田桑鳩先生であり、書を芸術として昇華させるべく、書壇に新しい運動を起こし、衝撃的な作品を発表し続けました。
その弟子であり、上田桑鳩先生と違った作風で前衛書を広めていったのが宇野雪村先生。
上田桑鳩先生が2年に1度は富山にお越しになられ、以前中野地区にあった旅館「山だや」にてお泊りになられたり、飯田乕山先生宅にお泊りになられたことが今回判明しました。

上田桑鳩先生書状|【書の三人展】中野公民館まつり特別展示|富山県砺波市

こちらがその際の上田桑鳩先生から飯田乕山先生への感謝のお手紙です。
そんな書の大物がこの小さな村に来られていたと思うと、とてもワクワクしましたね。

金子鷗亭先生は文字性に立脚した書を構築し、現代文の書(近代詩文書)を唱えました。
その考えに賛同し、早くより金子鷗亭先生に師事したのが富山の中田大雪先生で、富山に金子鷗亭先生を度々招き講習会を行いました。

【書の三人展】中野公民館まつり・系譜図

このようにして中野の3人の先生方を取り上げるだけで、意外と身近に比田井天来先生の門下生の先生に繋がりました
これは比田井天来先生のことをしばらく調べてきた自分にとっても驚きであったとともに、嬉しかった出来事でした。
しかも藤井一南先生は、関西書壇の発展に尽くし中央書壇からの自立を図った辻本史邑先生に師事。
つまりは読売系の方なので、その点でも驚きでした。

書の歴史、系譜を学ぶと書が楽しくなる!

書の三人展を企画し、3日間展示場で多くの方、生徒さんとお話しして分かったことがあります。
書に限らず、自分のルーツについて興味がある人が多いということです。

【書の三人展】中野公民館まつり特別展示|富山県砺波市

「ルーツを知って書に取り組むと、自分の字も変わる気がした」と感想を持った生徒さんが一人。
「書道って知るほど奥深くて面白い」という方も。

普段の教室では、ほとんどの方が字を書くことに専念していますが、その字の書き方も解像度を上げていくと色々な会派があり、それぞれに求めるものが違ったり、判断基準が違うことが分かります
その分水嶺となっているところで何が起きていたかを知ることは、今自分がやっている練習や指導者の考え方を正しく理解するための第一歩となるかもしれません。

また何よりも今、ご自身が関わる書への理解と肯定感が増すこと
そして、周りの会派への肯定感も増す可能性も高く(逆もありえますが・・・)、広い視野で書を楽しむきっかけになることでしょう。

書道は「書く楽しみ」以外にも「見る楽しみ」「集める楽しみ」「学ぶ楽しみ」等色々あります
このホームページでは書の楽しさや奥深さを広めるべく、起業時よりずっと活動してきました。
その身だからこそ今回の書の三人展を、現役プレーヤーながら実施することができました。

【書の三人展】中野公民館まつり特別展示|富山県砺波市

今回また沢山調べごとをして、益々書の魅力にはまってしまいました・・・
小さい頃から歴史が好きで、突き詰めると時間を忘れてしまう性質なもので、どうしてくれるんですかと言いたいところですが、また皆様に書の魅力を知っていただく機会を設けたいと思います。

日下部鳴鶴先生のことについて序盤触れましたが、あの石碑があってこそ比田井天来先生の存在を知り、古典臨書に励むなかでここまでやってきました
(詳しくはこちらのブログで
自分の今ある環境を運命的に感じられたなら、学ぶ姿勢も大きく変わります。

たまたま自分が深く知りたい性質であったために、書の三人展を行うほどの人間になりましたが、それが藤井碧峰という一人の書家としての個性を生み出している事実があります。
それもまた運命であり、使命であり、生き様であります。

他の【書の三人展】のまとめ記事ついてはこちらのページよりご確認ください。

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