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BLOG 書道・習字の豆知識コラム

書道は流派ではなく会派!所属する書道団体が重要

書道は流派でなく、会派で違い、特徴、方向性を知る世界

時々ある質問ですが「書道の世界には流派は存在しますか?」というものがあります。
日本の書道には流派も存在するようですが、基本的には所属する会派(所属団体)で違い、特徴、方向性が表れる世界となっています。
例えばですが、創玄書道会書宗院独立書人団奎星会玄潮会玄土社といった会があります。(無数にあるので全て取り上げられません)
要はそれぞれに目指す方向性が違うということです。

金子鷗亭先生石碑|佐久市望月|比田井天来先生

私の関係する創玄書道会はホームページによりますと、

「書道は漢文や草書・変体仮名などを用いるため、親しみにくいイメージがありました。この現状に疑問を抱き唱えたのが本会の創始者金子鷗亭先生(1906ー2001年)です。鷗亭先生は昭和10年(1935)より「日本の美しい言葉、詩や俳句・随筆といった日常私たちが使う文学の中での感動した言葉を書にしましょう」「分かりやすく読みやすい文字を使いましょう」「漢字書は『大字書』として少ない文字数で読みやすく表現しましょう」といった誰もが親しむことができる大衆の書を訴えたのです。この新しい現代の書運動に賛同してできた団体が創玄書道会です。」

との記載があります。
これが社会で言う企業理念、経営方針のようなものと言えます。

上田桑鳩先生石碑|佐久市望月|比田井天来先生

奎星会ですとホームページでは、

現代の日本の書道界において最も尖鋭的な創作活動を行っている書道団体であり、前衛書の旗手として書壇をリードしています。初代会長上田桑鳩の「自己に忠実であらんことを」、を基軸として各会員の個性と創造性を重視し、新たな現代書の可能性を探り旺盛な展覧会活動を続けています。

との記載があります。
先述の創玄書道会の「分かりやすく読みやすい」という方向性と、抽象書との違いを感じとることができます。

毎日書道展と読売書法展の二大潮流

毎日書道展

先ほどはあえて毎日書道展に関する会派を取り上げてみました。
日本の書壇は各書団体の上部構造として、主に毎日書道展と読売書法展という存在があります

戦後の書壇は日展と毎日書道展が二大潮流でしたが、今は毎日書道展と読売書法展という二大潮流であると言えます。
読売書法会は元々毎日書道会が分裂して生まれたもの。
日展は読売書法展の上部構造として位置づいているので、日展という存在への捉え方は人それぞれです。(色々とややこしいため各自調べましょう)

そして毎日書道展と読売書法展とでは結構書き方(書風)が違います。
現代派と伝統派だとも言われます。

日展は戦後の占領政策から伝統芸術を守ろうとしていたのに対し、奎星会の初代会長上田桑鳩先生は表現の自由をもって対抗。
当初はオール書壇で始まった日展も、上田桑鳩先生の品という文字を書いて「愛」と題した作品を発表し問題になってから、大澤雅休先生の遺作出品「黒岳黒豁」が搬入拒否されたりするなどの経緯があり、上田桑鳩先生、宇野雪村先生が日展を脱退。

以上の流れから、それぞれに言い分があります。
その上で書とは、所属団体とは何なのかを深く考える必要性があります。

楽しい書道ライフのために知っておきたい会派

【書の三人展】中野公民館まつり特別展示|富山県砺波市

難しいことを色々書きましたが、先日の【書の三人展】での沢山の調べ事をして感じたのは、「それぞれの会派ごとに理想・考え方があって、それぞれに求めた先にこの作品がある」ということです。
これは創作的な点では明らかですが、書道教室に実用書を求める場合も同じことが言えます。
ストレートに実用書を教える場合と、古典臨書をやり込んだうえで実用書をするのでも違います。

書道の指導者(書道教室)の上部組織には会があって、それを知ることが結構大きな意味を持つと言えます。
それでも私の場合は独自性が強すぎるので、個人の理念はホームページに沢山記載しています。
つまり書道を習う上では、直接教わる人の考え方を深く知ることの次に、所属する団体のことも知ることができると良いでしょう。

今や社会人の企業の選び方も給料や福利厚生だけで選ぶのではなく、会社としての考え方、従業員としてどのように働けるかがより重要になっている時代になっています。
「近所の教室だから選んだ」「お月謝代がお得だから選んだ」といった理由でなく、もう少し踏み込んだ理由で選択できたなら、その環境をより気に入ることができて、書に対する姿勢も大きく変わっていくことでしょう。

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