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「書道家」の作品集を集める

書道家は芸術家

「書道家は芸術家」だと感じざるを得ないのが、個展であったり作品集を見た時。
その人の世界観であったり価値観のようなものが伝わってきます。

先日、東京に行った際に比田井天来先生の作品集を2点手に入れました。
物凄く歴史を感じさせる雰囲気の2冊!!笑

書道家作品集|比田井天来、金子鴎亭、金子卓義

天来先生の書き方というのはどうお伝えすれば良いのかわかりませんが、うーん、、、凄いです笑

書道家作品集|比田井天来、金子鴎亭、金子卓義 

臨書の大切さを説いた比田井天来先生ですが、本当にどれだけ臨書されたのだろう?と疑問に感じるくらい線が凄いんですよね。

物凄く早い運筆。
これを真似しようとするとすぐに「無理だな」と感じます。
やはり沢山書いたものにしかたどり着けない境地なのでしょうか?

そして字形に関しても造形力が素晴らしい。
造形力というのはセンスのようなものですので、なかなか誰にでも真似できません。

まあ28歳でこんな風に比田井天来先生の書業、考え、作品に惹かれて、天来先生の作品集を持っている人間なんてなかなかいないと思います。。。笑

でも「書を本気で学ぶ」と考えた時に、比田井天来先生を学ぶことは非常に有意義なことです。   

金子鴎亭、金子卓義作品集 

今週買ったのは金子鴎亭先生、金子卓義先生の作品集。

書道家作品集|比田井天来、金子鴎亭、金子卓義

これは作品が素晴らしいのはもちろん、所々に先生の遺した言葉が記されています。

<金子鴎亭先生>

・書の律動性
書と最も近い芸術はおどりである。

中でも能の仕舞は最も多くの共通点がある。すなわち、リズムに乗って美しくおもしろい線や形を描いて行く。そして一度描いた線・形はもうやり直しがきかない。

人間の心の動きを瞬間ごとに作品に定着させてゆくおもしろさは、書の大きな魅力である。

・弘法筆を選ばず
筆の持っている能力の何分の一しか使いこなせなかったり、また逆に、その筆の能力の限界以上のことを要求し、無理を強いること頃に悪作が生まれる。

技法の老熟した人は、筆を使いこなすというよりは、むしろ筆と妥協し、筆に使われるくらいの余裕をもっている。

・破壊と創造
一つの境界に達し、そこに安住してしまうと、単に職人になってしまう。

芸術家は、苦心して到達した新しい道でも、出来上ったらぶち壊して又新しいものを求める。

常に自分自身が新しくなる。日々新たでなければならない。

・時代がつくる
私は美術は個人がつくるものではなく、時代が生むものだと考えます。現代が、今の作家に画をかかせているのです。

明治と今と二十一世紀と、美術はおのずから違っていかなければならないと思う。

 
・師風を否定
つとめて師風を避け、古典の理法を現代に蘇生させ自分の作風を創造する。いわゆる創作を第一義として奨励している。

三千年に亘る日本と中国の書の資料を縦横に研究し、その精髄を汲んで創作した者が最後の勝利者なのです。

<金子卓義先生>

 

・書の魅力の一つは一過性にあるという。二度と同じ線は引けないのだから、筆の軌跡は必然と偶然の極地にいなければならない。

・「努力することのできる人が書の天才である」と思います。書道において大きく分けて、書く努力、見る努力、聞く努力、この三つが柱だと思います。

・線が感情、感動を表現できると信じ、自分の心を伝えるために書をやっている。

 

古典から個性へ、模倣から個性を学ぶ

書道家として沢山学ぶことに大いに越したことがありません。
より多くの古典に出会うことは、より個性を格調高いものにするには欠かせません。

それと同じくして、他の書道家の先生方の作品を同じように書いてみることから得ることも沢山あります。 

書道家作品集|比田井天来、金子鴎亭、金子卓義

こちらは金子鴎亭先生の作品を真似して書いたものです。

リズムも違えば筆遣いも違う。
字の造形性も違う。

新しい発見も沢山あります。

”真似””模倣”というと、どうしても”パクリ”みたいなイメージがあるとは思いますが、高度になってくると「解釈」であり、自己の表現方法を拡げる手法となります。

向上心を持ち続け、絶えず勉強していきたいものですね。

この記事の著者

藤井碧峰

1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。

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