大日倉庫株式会社さま「社訓額」「経営理念額」制作|2か月間向き合った書
大日倉庫株式会社さま「社訓額」「経営理念額」
前回のブログで紹介させていただいておりました、松栄エンジニアリング株式会社さまよりご依頼いただいて制作した作品ですが、お取引先企業にお贈りになられたという風に書いておりました。
その作品をお贈りになった先の企業が今回紹介する、大日倉庫株式会社さまです。
1965年の創業以来、住宅建材・住宅設備の物流に軸足を置きながも、時代のニーズに即し、現在では多種多様な商品の保管・配送にも事業領域を広げ、総合物流企業として進化を続けてこられた企業で、今年、京都の京田辺市に新社屋を竣工されました。

8月に「敬天愛人」の作品を贈られた後に、作品を受け取られた青井社長よりご連絡をいただき、「社訓額」「経営理念額」の制作のご依頼をいただきました。
そして、それから2か月掛けて制作してきた書を、先日自車で京田辺市まで納品してきたということで、この社長室の写真があります。
今回はその制作した社訓額、経営理念額の紹介をさせていただきます。
使用した額のフレーム内寸法は957x1321mm、重さにして感覚的に20kgはあろうかという、とても大きな額でございます。
社訓額

「七つの心得」のところは、実際に口にするにもリズム感のあるところですが、それを頭の中で唱えながら書いていきました。
僕自身、前職で港湾会社にいた際に、指差し呼称というものがあったんですが、その頃の画が思い浮かんできましたね。
こちら1枚目に書いたものが、最初から綺麗に中心が取れて「これでも良い!」と思ったりもしましたが、綺麗で正確なだけでつまらないと感じ、その後何度も日を分けてトライして書いていきました。
楷書という書体はただ綺麗に書いてあるだけでは、手書きで書いてある意味が無い、生命感がある字を書かないといけないと、そんなことを頭の中で思いながらですね。

今回は楷書で4パターンほど提示させていただいたなかで社長にお選びいただいたのは、書の古典で言う欧陽詢の楷書を意識したものでした。
気の抜けない精緻なものを書きあげようと思う一方、圧倒的に集中力が必要な制作になりました。
中心線がずれていないことなども大切ですが、使う紙・墨であったり、筆の状態なども非常に繊細に気にしながら書いていきました。
毎回時間の掛かり方は変わってきますが、この社訓は書くのに大体2時間以上かかります。
「一、」「と云う」の箇所は、手書きなので一つ一つ違うのは当然ですが、違い過ぎないように気を付けつつ、勢いを失わないようにして書いていきます。

この本番書きの紙に書く前にも沢山下書きをしているのですが、この時点で良いと思っていたものが、実際に書いてみると答えが違っているということが多々ありました。
それは局所的に見て良いと感じていたものが、全体で見ると他と違って見えたということです。
特に平仮名の書き方にしても何度も見直しましたが、その時の1枚の調子に合わせて、咄嗟の判断で平仮名を書き換えていくというのが一番良かったです。
経営理念額

ご依頼いただいた際に、経営理念の文面を頂いて、中身を何度も確認していたのですが、方向性というものが分かりやすく、従業員の方にも共感していただきやすいのではと思っていました。
今回社長とお話させていただいたなかで、『従業員の幸せ』ということを強く意識され、大切にされていることが深く感じられました。
その想いを、更に形にしていくため、意識を高められるのがこういった書なのであります。
経営理念はリズム感が社訓に比べて結構変わってきます。
文章としての流れがあるため、より自然に漢字と平仮名を仲良くさせる必要が出てきました。
こういった時に近代詩文書の学びが活きてきます。

また字の内容のみならず、額縁のサイズと内側の余白のつくり方も重要です。
実際に書く紙より、額の内窓から見える部分は小さくなるため、その計算もしつつ作図的なことをして、書かなければいけません。
最初書いた1枚は全体的にも良かったんですが、「経営理念」の書いた位置が右過ぎて修正していきました。
ちなみに、こちらの経営理念を書くには3~4時間かかります。
集中力と、その時のリズム感であったり勢いが大切なので、僕はこの手の制作の際は一気に書きます。
それで出来上がった後に確認して、喜べるかやり直しになるかどうかが判明するという・・・、まさしく修行です。

社訓額も経営理念額も、データ化を希望いただいたので、当方でデータ化したものも納品させていただきました。
こういった機会に、どんどん書をご活用し、従業員の皆さま方に共有いただけることは大変光栄です。
作品の制作と納品を終えて
2か月間にわたる制作と納品を終えて、富山に戻る際に「やはり作品は直接お渡しして良かった」と感じました。
どれだけの時間を過ごして、どれだけのことを考えてきたかが、この2つの作品に詰まっていたわけですから、当初は路線便での発送を検討していたものの、『最後まで大切にして届けたい』という気持ちが強く出て、直接納品という形になりました。
今回の作品にしても、額装されるまで非常に緊張しました。
少しのエラーが、全体の印象を変えてしまうほど、非常に几帳面な字を書いていると感じていたからです。
紙は気持ち大きめのものに書き、どういう配置でパネルに貼り込んでもらうかも、砺波の画材たんぽぽさんと入念に打ち合わせ。

お忙しいなか、この書き手の”直接お会いしたい”というわがままに付き合っていただけた、青井社長に感謝申し上げます。
目の前で大日倉庫さまの皆様方にお喜びいただけて嬉しかったです。
そして、この素晴らしいご縁を繋いでくださった、松栄エンジニアリングさまも本当にありがとうございます。
この書には、お客様に最高の作品を届けること以外にも、書き手の僕にしか分からない、成し遂げたいものがありました。
小さい頃から大切にし、起業後も大切に磨いてきた楷書の、最高傑作を作る。
それを今、成し遂げた余韻に浸っています。
これが書家として生きる喜びです。
□大日倉庫株式会社
本社所在地 :京都府京田辺市河原御影30-10
主な事業内容:倉庫業、貨物運送、産廃収集運搬、リース・不動産、保険代理など
ホームページ:大日倉庫株式会社




