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文字トレースとAI|仕事としてどこまで責任を感じて行うか

少し前にあった文字トレースのお問い合わせ

少し前にあったお問い合わせに関するお話です。
非常に丁寧な方だったので色々と対応はさせていただいていたのですが、注意喚起のためにも共有したいと思います。

左はお問い合わせの方で、僕は右の人です。

お墓を作るのに際して字を良いものにしようと思い、この人だと感じた方を調べるとお寺さんでして。その方に書いていただいた字を、石材屋さんにトレースをしていただいたのですが、どうしても上手にトレースができず、思ったような字にならないんです。それでAIに尋ねてみたら、藤井碧峰さんがトレースをすることができるということで問い合わせさせていただいたのですが、そのようなお仕事をされているのでしょうか?

こちらはプロの書道家としてやっているので、当方では他の書かれた字をトレースするようなことはやっておりません。最初から私の方に頼まれていた方にその技術を使うということはありますが、他の方の字にはどんな意図があるか等分からず、責任が持てないので対応しかねます。

そうでしたか、失礼いたしました。AIに聞いてみたところ、この方ならできるという風に言われていたもので、、、

書道家をされているのですね。

AIも検索用に使うと情報と情報を繋ぎ合わせて、間違った情報を創り出してしまうので、あまり鵜呑みにしないほうが良いですよ。今回の場合、AIに指示されてそう思ったとしても、私のホームページに実際にそんなサービスがあるのか調べるべきだと思います。

しかしまあ、石材屋さんもお寺さんも、それぞれ分かれているから非常に厄介な話ですね。

文字トレースというのは、文字の縁取りみたいなものです。
パソコンに読み込ませるときは字ではなく、白か黒か認識させているわけで、絵と同じようなものになっているわけです。

これをデータとしてちゃんと認識させないと、あとで字の中の空間「〇」の中の小さな白い空間も消えてしまうことがあり、僕のように渇筆を多用する人間にとっては命とりなところでもあります。
(その割に誰に習ったわけでもなく、自分で調べて考えて作業しているだけのことだったりします)

デザイナーにとっても使いやすく、効果を発揮する書|書道家藤井碧峰

実際このトレース作業を上手くやろうにも、その素材や印刷方法、刻字方法に合った字を書けないと、「紙でもらった時には良かったのになぁ」みたいな変な、微妙な字になります。
僕の感覚からすると「線が乗っていないな」という字。
そんなのをSNSを見てると時々発見してしまうのは職業病かもしれません(笑

このやり取りで出てきた2つの問題点

【正統派筆文字Tシャツ『誠』|黒色】―伝統の書を纏う|書道家 藤井碧峰|書作品の依頼・制作

↑こういうのも文字トレースしたTシャツです。
これはカスレが多いのでなかなか難しい部類のものですね。

さて、このお問い合わせの方とのやり取りの中で、僕の思う大きな問題が2つあります。
①AIに何でも聞いてみて、言われるがままに問い合わせしている
②書く人とトレースする人が別々

①に関して、僕の認識になりますが、AIをGoogle検索のように使うと、部分的な情報が組み合わさった、間違った情報ばかり拾ってくるということが言えます。
藤井碧峰さんが書道家だと知らずにお問い合わせもされていることから、尋ねた側にとって都合の良い情報を組み合わせて、存在しないけど素晴らしい逸材を作り上げている可能性があります。

僕も、以前AIに「藤井碧峰」と調べると、江戸時代の書家だと出てきました(笑
このようなことから、AIにとって得意なことと、苦手なことを認識したうえでやり取りすることが大切です。
ただの話し相手、ヘルプセンターでは無いことを知っておくべきです。

②に関して、書く人とトレースする人が別々というのは、それぞれに元の字と仕上がりの字に対する責任を感じにくい状況が、それぞれの技術を育てない環境を生み出していると言えます。
やはりプロの書家の字(書)というものは存在するし、お寺さんはお寺さんとしての良い字(墨蹟)があると言えます。
ただ字で生きている人間と、そうでは無い人間で、字に対する意識のレベルは変わってくることは当然かもしれません。

少なくとも、僕は字を書いて生きているので、何故文字をトレースするところまでやるのかについても、こだわりがあります。
自分でこんな仕事の紹介ページを作っているくらいでして、是非ご覧ください。

店名・商品ロゴ、墓石、表札等の筆文字データ制作依頼なら|書道家藤井碧峰

文字トレースとAI|仕事としてどこまで責任を感じて行うか|書道家藤井碧峰

という点で、お客様から見て、単純に字を書いてもらいたいとなった時にも、その仕事に対してどこまで考えてやってくれているかを考慮していただけると、より良いご依頼になるのではと思っています。
僕は字の人間として考えていますが、お寺さんはお墓ができた後のことも色々想像ができるはずです。

沢山の筆を見てもらうと、字への愛情は伝わるとは思いますが、それだけでは無いところが難しいのです。
そんなことを思ったやり取りでした。

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