藤井碧峰
1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。
INFORMATION
11/26(火)、南砺市福野に新しくオープンする簡易宿泊施設(ゲストハウス)【福の栖(ふくのすみか)】の看板の字を揮毫いたしました。
今回は当方おまかせの状態で字のイメージを作っていき、最後に2択の中で運営会社リアールプランニング株式会社の久保田社長にお選びいただきました。
看板が結構縦方向に長いこともあり、なかなか難しい字面でしたね。
”福のスミカ”なので、福がやってきそうな温かな場所をイメージして書きました。
昭和初期に創業された旧佐々木旅館の歴史的な建造物をリノベーションした施設で、宿泊者にはあえて食事の提供はせずに”地域誘導型ゲストハウス”として、市街地の飲食店へ足を運んでいただきたいとのこと。
なお、施設内はまさしく昔懐かしい昭和な雰囲気が感じられ落ち着く空間でした。
一方で要所は新しくし、現代に相応しい利便性と安全性を持つシステムを備えているというこだわりが見えます。
私は、一つ憧れていた「宿の看板を書く」という目標を達成しました。
それも母校福野高校の近くで叶えられるとは光栄なことです。
南砺、砺波地域にお越しの際は、是非ご利用くださいね。
【福の栖(ふくのすみか)】
富山県南砺市福野1594
客室:5室、最大収容人数:19名
宿泊料金:4,800円~
HP:福の栖【公式】
そうして看板を揮毫したのですが、我が家は田舎の家らしく庭があるもので記念撮影してみました。
紅葉と青空が映えてまた違った印象になりますよね。
映えを狙う意味は特に無いのですが(笑
この板は、福の栖の元々の施設「佐々木旅館」に掲げられていたものです。
どちらも結構真っ黒になっていて、これを再利用するとお聞きした時に大丈夫か正直不安でしたが、見てのとおり綺麗な板の面が出てきました。
板の様子を見る限り、今回の板は桜でしょうね。
左手の先の板は昭和32年の8月に書かれたもので、右手が平成4年5月に書かれたものです。
右の板を使って生まれ変わったのが今回の看板でした。
私も書き手なので、看板側面に落款を入れて仕上げました。
その後に表面加工を念入りに施して完成。
看板でもロゴでも何でも、書はその商品や存在を印象付けるものです。
その割に木製看板は一発書きとなるため、確かな知識と経験、度胸と正確性が求められます。
紙のように何度もやり直せないので、書としてはまた違った価値を持っているかもしれませんね。
木材を使う以上、そこに木目があったり色合いがあるのですが、それは作品における額縁であったり掛け軸のような存在です。
雰囲気を創り上げる重要なものなのですが、住宅等と同様に温かみや手触り感が得られるのが良いですよね。
今や木材を多く手掛ける書き手となりましたが、初めての頃から今になっても、どうすべきかは他人に聞かず自分の感性で、木と会話しながら判断しています。
今回も木材と仲良くなれて、無事宿に掲げられた看板を見てホッとしております。
木製看板を掲げる場も減っていますが、少しでもその魅力が広まれば良いなと思います。
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