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富山県信用組合出町出張所【藤井碧峰書作展】2023作品紹介

起業から5周年を迎え、次へと繋げる作品展示になりました

富山県信用組合にて藤井碧峰書作展2023

6月30日から8月31日まで開催させていただいておりました、富山県信用組合出町出張所における「藤井碧峰書作展」が無事終了いたしました。
わざわざ現地に足を運んで作品展を見て頂いた皆様に心より感謝申し上げます。

展示作品の全体の雰囲気、傾向は一概には語れませんが、『Simple & Clean』という表現が合っているかもしれません。
いかにも宇多田ヒカルファンって感じですね。(分からない方すみません)
小さい頃からスキーで行く、冬山の雪の白と、青空の世界が好きだった人間として、あの景色がいまだに自分の中では美しい世界の象徴のように捉えています。
今回の作品達は、そんな景色に近かったかもしれません。

【白馬八方尾根】自然風景ギャラリー「春夏秋冬」

期間中お越しいただけなかった方のためにも展示作品の紹介をいたします。
毎回の作品展と同様、展示作品の販売をしておりますが、当方の想いもあり価格はあえて提示しないことにしております。
お手数をおかけしますが、気になった作品があった場合には、お問い合わせフォーム等にてご連絡をお願いいたします。

商品ページの作成は後々行いますが、一品モノでありますので商品ページの有無にかかわらず連絡した者勝ちとなります。
ご理解の程よろしくお願いいたします。  

展示作品紹介

【風月滿樓借一醉乾坤萬里豁雙瞳(曾肈)】(190x60cm)

「風月満樓借一醉乾坤萬里豁雙瞳」|書道家 藤井碧峰作品集
「風月満樓借一醉乾坤萬里豁雙瞳」|書道家 藤井碧峰作品集

直訳:「美しい風景と月の光景が満ちる屋上で一度酔いしれ、天地の広さや遠くの地域が両眼で広がる。」

この詩は、美しい風景や月の光景に身を委ねながら、現実の束縛から解放され、広大な宇宙の奥深さや遠くの未知の領域に心を広げることを表現している。
漢字創作においては全体におけるリズム感や醸し出す雰囲気が大切なように思う。
加えて今の時代的には、草書を読める人が減っていることもあり、極力は読みやすい書体を使うことが現代の作家として意識しているところである。

【魂】(35x45cm)

「魂」|書道家 藤井碧峰作品集
「魂」|書道家 藤井碧峰作品集

<意味>人・物の精神。心。心持ち。心境。

時々何気なく書いた線が極めて奥深い味わいを出すことがある。
これは再現性が無く、後から取り返すことができない。
でも我々の生きる瞬間も同じかもしれない。
どんな時も二度とは訪れないのだから、毎回真剣に向き合いたい。

【こっつん、こっつん、打(ぶ)たれる土は、よい畑になって、よい麦生むよ。(金子みすゞ詩「土」より)】(35x45cm)

「土」金子みすゞ|書道家 藤井碧峰作品集
「土」金子みすゞ|書道家 藤井碧峰作品集

童謡歌手の友人のコンサートで、この詩を歌っているのを聴き、書いてみようと思った。
音楽は最高の伝達手段だと感じることもあるが、書の面白いところは、そのリズム感を上手くつかみ取り、筆勢や線質等によってその詩の世界観を表現できることだ。これが楽しい。

「こっつんこっつん」は一見硬そうなイメージだが、詩を読むと柔らかい印象を受けた。
だから渇筆を用いて柔らかく書いてみた。
こんなことも書や歌なら表現可能だ。

【寛容】(43x40cm)

「寛容」|書道家 藤井碧峰作品集
「寛容」|書道家 藤井碧峰作品集

<意味>心が広くて、他人の言動をよく受け入れること。

たまたま臨書をしていた際にアヒルの顔のように見えてしまった「容」の隷書体。
以前本で「顔のように見えたら良い書だ」と見たことがある。
狙い過ぎても駄目だが、印象に残る作品はやはり表情があるものだ。
それによって飾る空間の雰囲気も変えてしまうのだろう。

【ありがとう】(43x40cm)

「ありがとう」|書道家 藤井碧峰作品集
「ありがとう」|書道家 藤井碧峰作品集

開業5周年を迎え、シンプルに関わってくださった皆様にありがとうとお伝えしたい。
それはやはり自分一人の力があまりにも微々たるものであることを想像はしていたけど、ことごとくそれを味わったからだ。
これからも多くの人に出逢い、新しい価値、感動を生み出し続けたい。

【先義後利(孟子)】(60x45cm)

「先義後利」|書道家 藤井碧峰作品集
「先義後利」|書道家 藤井碧峰作品集

<読み下し文>義を先にして利を後にす。
<意味>人としての道義を優先させて利益は後回しにすること。

ここに述べる利益は自分の欲とも言える。
如何に自分を高め、人のために自分ができることに対して、純粋かつ情熱的に取り組むかが、よりよい未来を手に入れるために必要だ。
結果は自然とついてくる。

【人の行く裏に道あり花の山。いずれを行くも散らぬ間に行け。】(35x45cm)

「人の行く裏に道あり花の山 いずれを行くも散らぬ間に行け」|書道家 藤井碧峰作品集
「人の行く裏に道あり花の山 いずれを行くも散らぬ間に行け」|書道家 藤井碧峰作品集

人々が普段見過ごすような裏側や日常の中にも、道や美しいものが存在することを示している。
どちらの道を選ぶにせよ、大切なのは早く行動し、チャンスを逃さずに前に進むこと。
また、花が散らぬうちに行動することで、一瞬の美や喜びを大切にする心を表現している。
千利休の言葉と言われるが詳細は不明。

【獨歩青天】(43x40cm)

「獨歩青天」|書道家 藤井碧峰作品集
「獨歩青天」|書道家 藤井碧峰作品集

青空の下をひとりで歩く、の意。
何物にも束縛されることなく自分の道を歩むこと。

この事業にライバルがいないように、ただ自分のやるべきこと、世間に求められているものを大切にしながら、堂々と自分の王道を進みたい。

【閑かさや岩にしみ入る蝉の声(松尾芭蕉句)】(45x35cm)

「閑かさや岩にしみ入る蝉の聲」松尾芭蕉|書道家 藤井碧峰作品集
「閑かさや岩にしみ入る蝉の聲」松尾芭蕉|書道家 藤井碧峰作品集

久しぶりの夏の作品展示ということで、松尾芭蕉の名句を取り上げた。
時代が経っても素晴らしいものは素晴らしい。
その素晴らしさを感じ取るには多少なり知識や教養が必要であるが、それを学ぶことが自分には無い感性を知ることにもなるため侮れないのだ。

【百折不撓】(90x90cm)

「百折不撓」|書道家 藤井碧峰作品集
「百折不撓」|書道家 藤井碧峰作品集

<意味>失敗を何度も繰り返し、困難に何度も直面しても意志がくじけないこと、意志が極めて固いこと。

前に進んでいなければ壁には当たらない。壁は乗り越えていくために存在するものであり、乗り越えた先で新しい世界と自分に出逢える。
出来れば壁を乗り越えることを目標にするのではなく、壁を乗り越えた先で何を実現していくのかという、大きな目標を思い描いていくことが、挑戦者における正しい努力の仕方のように思う。

【守清虚】(90x50cm)

「守清虚」|書道家 藤井碧峰作品集
「守清虚」|書道家 藤井碧峰作品集

<意味>心が潔白でわだかまりのないこと。
 
一度墨をつけて一気に書いた作品なだけに、非常に息の長い雰囲気となった。
実際に書を嗜む人から非常に人気のあった作品で、渋すぎると思っていたために意外であった。
個人的には相当苦労した作品だっただけに嬉しかった。

【麟】(70x70cm)

「麟」|書道家 藤井碧峰作品集
「麟」|書道家 藤井碧峰作品集

<意味>「麒麟」は善性と吉兆の象徴とされる想像上の動物。麒麟のメスを麟と呼ぶ。

いつも一字書は力強さを意識したものが多いが、漢字の意味を把握したうえで、今回は凛とした雰囲気をイメージして書いた。
この書を見て身が引き締まる気持ちがした人がいたなら幸いである。
今回の作品展示では一番奥側に飾っていたが、作品展示全体の雰囲気を象徴する作品でもあったと自覚している。
額の雰囲気とも極めて合っていると思う。

【継志】(60x45cm)

「継志」|書道家 藤井碧峰作品集
「継志」|書道家 藤井碧峰作品集

<意味>先人の意志を受け継ぐ。

この言葉の意味合いは大変良いが、実際に先人のことを学び、極力寄り添って理解して、実際に行動できるかどうかと言われると実に難しい問題だ。
先人も何か夢や希望を持って物事に打ち込んだ日々があるはず。
それを叶えることも、後に残された人々に与えられた使命の一つだと言える。

【道具にとって都合の良い存在となることが、職人の生きるひとつの正しい道だ(自作)】(35x35cm)<売約済み>

「道具にとって都合の良い存在であることが職人の生きるひとつの正しい道だ」(自作)|書道家 藤井碧峰作品集
「道具にとって都合の良い存在であることが職人の生きるひとつの正しい道だ」(自作)|書道家 藤井碧峰作品集

書家とは筆、紙、墨、硯など、多くの道具を使う仕事であるが、道具を使いこなそうという気持ちで接していると上手くいかないものである。
そうしたなかで自然と感じるのは、道具にとって都合の良い書き手となることである。
他人の書き方を見て学ぶことも大切だが、根本的に書き手自身が道具との対話をできるようになり、それぞれに合った自分を演じられるようになれないといけないように思う。

臨 顔真卿「自書告身」【將以本固必由教先非求忠賢何以審諭】(190x50cm)

臨顔真卿「自書告身」
臨 顔真卿「自書告身」|書道家 藤井碧峰作品集

<意味>まさに根本が堅固であろうとせんとすれば、必ず教えが先立つことにもとづく。
忠賢を求めるのでなければ、どうして審らかにしようか。

唐の四大家である顔真卿の書法の特徴は「蚕頭燕尾」とも呼ばれる。
起筆が蚕の頭のように丸く、右払いの収筆が燕の尾のように細くなる書き方である。
楷書体としては変化が多い用筆法で、躍動感が強く感じられる。
自書告身には力強くおおらかな雰囲気があり、それを表現できるように意識して書き上げた。

【祥風】(90x45cm)

「祥風」|書道家 藤井碧峰作品集
「祥風」|書道家 藤井碧峰作品集

<意味>めでたい時に吹く風。

自分で書いておきながら何度も見たくなる、大変気持ち良い作品になった。
黄色のフレームに漢字を合わせるのは至難の業だ。それでも書き方次第では必ずマッチングすると信じて言葉選びから慎重に行った。
額装については自分のみならず、関係業者とともにつくりあげていくものであるため、引き出しが増えていくと色んなことに挑戦をしたくなっていく。

【諦めが悪いという潔さと共に夢に挑む(自作)】(45x35cm)<売約済み>

「諦めが悪いという潔さと共に夢に挑む」(自作)|書道家 藤井碧峰作品集
「諦めが悪いという潔さと共に夢に挑む」(自作)|書道家 藤井碧峰作品集

起業して5周年となった今だからこそ、ずっと書きたいと思っていた言葉の断片を紡いで書こうと思った。
周りから見て無謀と思われることに挑戦することは、前例が少ないだけに理解されず否定されがちだ。
それでも大義のある挑戦なら諦めずに歩み続けてほしい。
諦めが悪いことは見栄えが悪いこともあるが、成功した時には誇れることになる。
泥臭くても、悔しくても、無様であっても、やりたいならやり切るだけ。

作品展を終えて

「藤井碧峰書作展」|書道家 藤井碧峰作品集

今年は5月の北陸銀行砺波支店での作品展示が終了してからの7~8月のけんしん展となりました。
実際かなり大変だろうと思っておりましたが、本当に言葉にならないほど大変ですね。
18点の作品を展示したわけですが、単純に数を多く作ればいいというものでもありません。
やはり一つ一つの作品に飾る意味・意義があって、それでこそ作風が変わってくるんです。

前回の北陸銀行展はそれぞれの作品が何度書いても上手く書けなくて、それこそ追い込まれながら自分の底力で書いたような作品で、それはそれで思い出深い出来事でした。
まさか5周年記念の日を迎える少し前に、これだけ苦しむとは思ってませんでしたね。

今回はそこから心境的にも結構変わりまして、展示作品についても時期が近かった割には結構雰囲気の変わった展示となりました。
それがどう受け止められるかも想像していませんでしたが、思いのほか評判が良く、毎回の展示を見てくれている父が、「今回のけんしんの展示は、これまでの展示の中でも特に凄いな」って言ってくれました。

昨年のけんしん展が大好評だったので、結構プレッシャーがありました。
あの時の額装もなかなか凝ったことをしていたし言葉選びも良かったです。
何度も作品展示を行っていくうちに選べる言葉も減っていって、常に新しいものを出したい自分にはそれも気が重かったです。

書道

それでも壁を乗り越えて、2か月間の展示を終えて沢山のご感想を頂いて、この長い数か月間の作品展の戦いに勝利したような気持ちでいます。
自分にとっては毎回の展示が真剣勝負で、絶対に誰にも負けない展示をしたいし、その時その時の良さを出したい。
沢山の方が楽しみにしてくれているし、平日のあの動きづらい、忙しい時間帯に、わざわざ遠くから時間を作って、ガソリン使ってお越しくださる方々のことを思えば、誠意を尽くすことは当然。
皆様にどれだけ多くのものをお渡しできるかを真剣に考えてここまできました。

だから僕の展示はただの作品展示じゃないんですよね。
自分の分身がそこにあって、そこに生き様も現れる。
そんなの興味が無い人がほとんどであっても、想いが伝わるまで必死に叫び続けたいし、挑戦し続けたい。
地方都市の街中での銀行展という、様々な制限のある環境のなかで、まだまだできることがあると思いますし、変えていかなきゃいけないことが沢山あります。
地道な活動であっても必ず結果を出していきます。

富山県信用組合にて藤井碧峰書作展2023

この記事の著者

藤井碧峰

1990年2月富山県砺波市生まれ。平成生まれの若手書道家として、古典臨書に基づく正統派の書が持つ本物の字の良さを追求しながら、現代的で、誰よりも敷居の低い、身近な書道家を目指して活動しております。第七回比田井天来・小琴顕彰佐久全国臨書展 天来賞受賞。令和元年、日本三霊山 立山山頂 雄山神社峰本社に看板奉納。

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