臨空海「風信帖」書軸と書道教室の作品展示
臨空海「風信帖」書軸
毎年恒例の公民館まつりに際して、慌てて作品を制作しました。
というのも今年金融機関での作品展示をしていないため、
・お客様のご依頼で制作した作品
・競書雑誌の作品
くらいしか、ほぼほぼ書いていません。(つまり手元に残っていない・・・)
ただ9月頃に書いた、書道教室の指導用見本作品が何度見ても良く、これは残しておきたいと思ったため軸装しました。
空海の風信帖の臨書作品を掛け軸にしたものです。
少し荒っぽい書き方ですが、若い頃から水上碧雲先生から学んでいた書き方を今は自分のものとして手にし、藤井碧峰書道教室の生徒さん達にも受け継いでいってもらえたら、という想いのもと書いた一作です。

風信上のこの箇所は、10年以上前に課題で出合ってから何度も書き込んでいる箇所で、非常に難敵。
どうしたら残したくなるほどの作品が残せるかと、毎度苦しくなるくらいに書き込んでしまいます。
今回は思い切って、スタートから5字書いて、4、3、3字と墨継ぎしながら書きました。
作品の方は写真だと今一つよく分かっていただけないかもしれませんが、ご覧いただいた生徒さんはそれぞれに感じてもらえたようで、それだけでもこの作品が生まれた価値がありました。

(圧倒的に軸の裂地が格好いいですよね)
水上碧雲先生に書で心動かされた瞬間がありました。
それは半切サイズで南無阿弥陀仏を書いた時でしたが、書きあがったものが良いと書のことがよく分からなくても感動するものです。
作品サイズを問わずです。
何かの時に、「感動するというのは、心に嘘をつけない状態の出来事で、感動しようと思って感動できるものではない」と聞いたことがあります。
周りが凄いとか言うのでなく、あの時純粋に自分の心で感じて、感動していました。
生徒さんにもそういう経験を届けてみたいし、お客様にも是非そういうものを届けられる人間でありたいです。
砺波と金沢でそれぞれ作品展示をしました
11月は公民館まつりの時期!ということで、地元砺波の中野振興会館と金沢は薬師谷公民館にて作品展示をしました。
砺波会場
砺波のほうは、中野地区在住か出身者しか出せないので、藤井碧峰書道教室からは自分含めて6名、12点の作品出品となりました。
僕だけで5点出品で、今年の新作は4点でした。
生徒さんは大きなもの以外にも、ボールペン字や筆ペン・細字の作品を出したりして、実用性との結びつきを見せてくれる良い展示になりました。


【山路来て何やらゆかしすみれ草】松尾芭蕉
こちらは、公民館まつりだからって秋にこだわる必要ないだろ、と思って、いつも季節外れの作を入れる中で書いたものです。
(僕には秋以外の俳句が寂しそうにしている声が聴こえます)
新作とか作品と言いつつも一般的な作品ではなく、こんな額も展示してみました。


となみ夜高まつりのポスターと郡上踊りin富山のチラシをそれぞれ額装したものです。
書いたものを直接表具するだけが作品ではなく、書いたものが実際にどう使われているかを紹介するのも作品としての役割です。
これらも大切に書き上げてきたが故に、家で丸めたり、重ねて保管するのが惜しいため、普段から良い額に入れて仕事場のギャラリーにて展示しています。
金沢会場
金沢会場は、藤井碧峰書道教室からは自分含めて13名、17点の作品出品でした。
昨年より半切作品を出す人が増えたのですが、壁がいっぱいいっぱいで迫力が増しました。
更に、半切作品が書けるけど今回出していない方もいると思うと、壁が足りないという嬉しい悲鳴を来年味わえそうで楽しみです。

こちらは半紙や色紙仕立ての作品が揃いました。
もう少し自分の作品を入れれば良かったなと後悔しつつも、やはり生徒さんに期待してみたいなと思います。

金沢教室は5年前の発足当時からひたすらに元気活発で、生徒さんの募集も当初はもっとする予定でしたが、一人一人が何点も字を書くこともあり僕が手一杯で、あまり募集しないようにしていました。
ただ、今は大人の方ならお一人入っていただけるかなという状況ですので、良い志をお持ちの方は是非一度お問い合わせくださいませ。
伝統と美しさを学ぶ正統派書道|藤井碧峰書道教室〈砺波・金沢〉
書道教室に思うこと
最近Threadsの方で書道教室に関する闇について語るような投稿が多いですが、それなりに閲覧数は多いことと思います。
僕も業界に対して思うことは色々ありますが、文句を言ったり、書くのではなく、自分の身で行動して検証し、訴えかけていくことが大切かなというところです。
闇も何も、それを忘れさせるような選択肢を見せた側の勝ちです。
書道は義務でもないし、そこに奴隷になる必要は無い。
だから僕は、書道教室の生徒さんに何かを強制することもないし、無理にこの教室にしがみついてもらう必要も無いと思って、日々の教室を行っています。
変に受賞のことや写真版のことばかり称えても、それを推奨している教室という風にも見えてしまうし、Instagramで教室の生徒さんの紹介をし始めると、載らなかった人の中でムズムズする現象も起き始めます。
結構人は繊細なものなので、実は気を付けるべきことが多いのです。
そんなことを言っていながらも、いつでも書道教室における原理原則を大切にしています。
何で書きたいのか、何で習いたいと思ったのか。
迷った時、いつでもそこに答えがあります。




